緑は潤いだけもたらすわけではない。 | cova nekosukiの世相言いたい放題。

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言いたいこと、言ってます。ただし、主に政経ですけど。

樹林地・草地・畑・水田などは、雨水を地表面上へ一時貯留し、また地中へ浸透させる働きを持っています。


これが市街地化されると、流域の雨水貯留能力が大きく低下します。


 この市街地化の弊害を日ごろから警告してくれていたのが、鳥害だった。


緑地は、鳥たちの居場所であり、雨水を地下に浸透させてくれる場所でもあるのです。


 緑地が減ったことで居場所を失う鳥もいれば、したたかに居場所を確保し続ける鳥もいる。


どういう鳥が地域に増えたか、減ったかを見ればどれだけ地域の市街地化によって、緑が減ったか気がつけたでしょうね。


また市街地化は、屋根の占める面積の増大、道路・駐車場等の舗装などによって雨水が浸透しにくい土地の面積割合を大きくします。


 雨水が浸透しにくい土地の面積割合が増え、浸水被害の半分は内水氾濫になったという。


内水氾濫が生じやすい地形というのは、こういう場所です。


平野の中のより低い個所である後背低地・旧河道・旧沼沢地,砂州・砂丘によって下流側が塞がれた海岸低地や谷底低地。


昔の潟、つまり出口が閉ざされた入り海を起源とする凹状低地。


市街地化の進んだ丘陵・台地内の谷底低地、台地面上の凹地や浅い谷。


地盤沈下域。


ゼロメートル地帯。


干拓地など。


内水氾濫とは、強い雨が降った平坦地に、雨水がはけきらずに地面に溜まる状態です。


それに対して、本川の堤防が切れたり溢れたりして生ずる状態を外水氾濫といいます。


内水の範囲は、あいまいです。


ある平野を流れる主要河川つまり本川の水を外水とし,その堤防の内側にあたる平野側における水を内水と呼んでいるからです。


どの河を本川とするかによって、内水の範囲が変わります。


ようは、川から離れているはずなのに地面に水が溜まれば内水氾濫と思えばいいでしょう。


低いところには、周囲から水が流れ込んできて浸水深がより大きくなります。


また,排水用の水路や小河川は水位を増して真っ先に溢れ出します。


このようにして起こる洪水を、内水氾濫と呼ぶのです。


 普段地下に隠されている下水も、内水氾濫の原因となる。


ただし通常,平野内に水源をもつ比較的大きな排水河川が溢れ出す場合や、台地・丘陵内の小河川が谷底低地内に氾濫する場合も内水氾濫に含めています。


東京など、内水氾濫による被害は9割と言いますよ。


東京の深刻なヒートアイランド現象の原因となった緑地の減少は、内水氾濫による被害の増加にも繋がっているのです。


整地・路面舗装・側溝などは、雨水流に対する地表面抵抗を非常に小さくして流速を大きくします。


 雨水流に対する地表面抵抗を、粗度という。


このような地表面貯留および地中浸透の減少、表面粗度の低下という雨水流出条件の変化が、緑地の減少によって引き起こされてきたのです。


降った雨の量に対する流れ出た水の量の割合、つまり降雨の流出率が増加し、また流れが速くなって周りから低い土地に短時間で集ってくるようになります。


新設の道路などの構造物が流れを妨げて、新たな排水不良地を出現させることもあります。


 ヒートアイランド対策として広まった、ベランダ園芸や屋上緑化も、内水氾濫の対策にはならない。


ベランダ園芸や屋上緑化も結局は、排水を下水に頼る場合が大半ですからね。


それに、街路樹や公園の樹木のように、ある程度の高さを持った木々を好む鳥もいます。


公園や、個々の庭は、内水氾濫防止、ヒートアイランド対策、鳥害対策に役立ち、一石二鳥に三鳥にも、なるわけです。


さらに、多彩な植生を公園や庭で心がけることは、生物多様性にも繋がるでしょう。


水がはけきらなくて溜まるという場所は、もともと排水条件の悪い凹地のような地形のところです。


かつてはこのような場所は、大雨時に雨水が滞留して遊水地となり、周辺の浸水を防いでいたのです。


しかしそこが市街地化されると、遊水が有害水に逆転してしまいました。


 内水氾濫常襲地は、本来遊水地として残しておくべきだった。


そういう場所は、地名にも住みたくないと思えるものが多かったのですよ。


周辺域の市街地化により、以前に比べより多くの雨水が流れ込み、これまではなかったところで内水氾濫が発生するようになった場合もあるのです。


このような場所は、鳥たちにとってもかけがえのない場所でした。


人々はそのような場所にも市街地を広げ、結果として内水氾濫や鳥害に悩むことになったことに、もっと目を向ける必要があるでしょう。