半音下げ時、ムスタング・ベースに張る弦に関する考察と施策 | 続・我が逃走

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不完全密室殺人/JONNY/パイプカツトマミヰズでベースギターを担当する舟橋孝裕のブログです。


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エレクトリック・ベースギターの弦を製造/販売しているメーカーは数多くあれど、僕が最も愛しているのがD'Addarioだ。どの楽器屋にも置いてあり、種類も豊富でベース専門誌で弦の引き比べ特集等が掲載される際にも「基準」の音として扱われている程ポピュラーなメーカーである。


ひとえにベース弦といってもメーカーは元より、スケール、ゲージ等様々な種類が存在する。

今までは.105-.045の4弦、3弦が太目のものを張っていたのだけれども、ここにきて最近愛用しているムスタングベースに関しては若干の工夫を強いられる事となった。

フェンダージャパンのムスタングベースは、裏通しで弦を張るというその構造からショート・スケールながらミディアム・スケールの弦を張る事が推奨されている。しかして今まで僕は無頓着にもYAMAHA SBVやその他のベースに張っているものと同じものを張っていた。張れない事はない。ペグのポスト部分にまき付けられる細めの部分、そして指板上にくるはずの太い部分、そこが少しばかり帳尻があわなくなるだけで(ペグのポスト部分に細い部分はおろか、太い部分も巻きつける事にはなるが)、演奏上支障はない。なかったはずだった。


しかしペグのポスト部分への巻きつけが、その太い部分がきてしまうが故に巻きつけ数がしっかりと確保できず、せいぜい2、3巻きしかできず、テンション的に不十分感が否めないばかりか、チューニングが若干不安定になってしまう。これはロングスケールなら問題はないのだけれども(事実ロングスケールのYAMAHA SBVは同じ程度の巻き数なれども問題はない)、ショート・スケールでしかも半音下げに設定しているムスタング・ベースでは放っておけない問題点である。元々チープなつくりの楽器ではあるが、その中でも「実戦で使える」ムスタング・ベースを組み上げたい僕としてはこれは改善すべき点であったのだ。


というわけでゲージは細くなるけれども、同じくD'Addarioのミディアム・スケール用のベース弦を張ってみる事にした。

これはゲージが.100-.045と4弦、3弦が若干細くなる。それらの弦が細くなる事によるテンションへの影響は懸念されたけれども、ペグのポストにしっかりと巻きつける事で影響が出るのか、また弦のゲージが細くなる事で聴感上どの程度音色に影響が出るのか、その事への興味が勝った。

さて、実際張ってみた結果である。以下に弦のゲージ変更前後で何が変わったかを記しておく。


・弦のゲージが3弦、4弦に限り細くなった。

・スケールにあった弦を張る事で、ペグのポスト部への巻きつけ数がしっかりと確保出来た。巻きつけた弦の長さはフレットでいうと5フレット分である。これは4.5巻きに相当する。

・ちなみに弦高はショート・スケールである事、さらに半音下げチューニングである事から4弦/3弦が12フレット部分で2.5mm、1弦/2弦が2.00mmである。これはロングスケール、レギュラーチューニングのベースより0.5mmずつ高く設定されている。


大前提として、物理学の範疇では弦高やその他、諸々の諸条件は弦のテンションに関係ないという事らしいけれども、あくまで素人知恵、そして演奏上の違和感改善として今回の処置を行った事を追記しておく。

楽器のテンションに与える楽器本体の条件、調整についてはクラフトマンによって違った内容を話す事さえある程難解な事象であり、それは今回自分の浅知恵の範囲内で推測、そして実践した。これは実戦で使えればそれで良いという発想の元、精神衛生と演奏性、そして出音を重視した結果である。

「理論上」というのはこの際置いておく事にする。


さて実際弦を張り替えてみると、違和感は然程ない。テンション感は十分であるし、チューニングは安定したように思える。今後実戦で使っていって検証する事になるけれども、今後ムスタング・ベースに張る弦に関して僕がこのブログで言及しなければ、それはすなわち今回の施策が上手く機能した事と同義であると受け取って頂きたい。


ムスタング・ベース、手はかかれども、だからこそ可愛い!