東京電力福島第1原発事故で指定された緊急時避難準備区域について、対象の福島県の5市町村が20日までに解除の前提となる復旧計画を政府に提出し、9月中に一斉に解除される見通しとなった。


藤村 修官房長官は記者会見で月内の解除を目指す考えを表明し、園田康博内閣府政務官も同日午後、

「復旧計画の確認作業の段階。しっかり実行できることが確認されたら、解除の段取りに運んでいきたい」

と述べた。


準備区域は広野町全域、南相馬市、田村市、楢葉町、川内村の一部で、山間部が多くを占める。対象住民は約5万8500人で、うち約2万5千人が避難。


復旧計画などでは帰還完了のめどを、田村市、川内村が来年3月、広野町が2012年末としたが、南相馬市は明記せず、楢葉町は警戒区域の解除に合わせるとしている。


また計画の柱は

「除染の優先順位」

「教育や医療施設の再開」

「上下水道などインフラの整備」

など。放射性物質を取り除く除染が鍵だが、山間部については具体的な方法などが定まっていないため、計画などに沿って住民が帰還できるかどうかは難しい情勢だ。


復旧計画を13日に公表した川内村の場合、空間放射線量の目標を年間1ミリシーベルト以下とし、除染を10月から教育施設、役場、住宅、道路の順で進め、山林は4月の帰還後に約20年かけるとしている。


準備区域は半径20㌔圏の警戒区域の外だが、子どもや妊婦、要介護者、入院患者らを避難させ、学校なども休校するよう求められている。


政府は8月、原子炉冷却ができなくなるような可能性は低くなり、仮に異常が起きても20㌔離れた地点での被ばく線量は低いと判断、準備区域の解除方針を決めた。




岩手日報・日刊
2011年9月21日付

総合・国際 5面