Another fantasy - 108 - | Another やまっつぁん小説

Another やまっつぁん小説

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 屋根の上ではモンスターと戦う人々を見ておくくらいしかできない。
 魔法で遠距離攻撃はできないこともないけれど、僕はまだ魔法を使いなれていないところがあるから、味方に当たると大変なので、使うのは控えておこう。
 となれば下におりて加勢するのが一番いいのだろうけど、梯子の下は混乱を極め、降りられる状態じゃない。
 降りたとたん、味方に切られるか、モンスターにかみつかれるかのどちらかだ。


 飛び降りるスペースもないし、落ち着くまで屋根の上、か。
 僕は下を眺めるのも申し訳ないので頭上を見上げた。
 すると、バリアが僕らよりも少し高いところに浮かんでいるのが見えた。
 彼女のどこから出したのか杖を持っている。
 杖はとても珍しい形をしていて、大昔使われていたものと少し形が似ていた。
 なんだかその杖伝説の一つや二つは持っていそうだ。


 そしてバリアは金に輝く翼を羽ばたかせ、杖を突きだした。
 バリアはさっきの様子からすると羽なしでも飛べるようだ。
 何で羽がついているのだろう。
 天使だからかな。


 彼女の周囲を遠巻きに悪魔達が囲んでいる。
 一体どうやってこんな大勢の悪魔を一人で倒すというんだろう。
 やっぱり強力な魔法を使うんだろうな。
 あの杖で殴りかかるのはさすがにないだろうし。
 


 そうやって僕がいろんなことを考えながらバリアを見ていると、彼女は動きを開始した。
 悪魔は明らかに警戒していて、バリアが何かやろうとすればすぐにでも逃げられるよう準備している。
 ばたばたとせわしなく羽ばたき、すでに逃げているものもいた。
 


 バリアはそんな悪魔達の動きは気にせず、杖を空へかざし、思い切り降りおろした。
 すると杖の先からリボンのような金色の光がいくつも放たれ、宙をくるくると回り始めた。
 リボンは輪のように広がっていき、悪魔達を絡めとる。
 逃げていた者も容赦なく捕まえ、金のリボンの絡まった悪魔達はどんどんとバリアの前に集められていった。
 しつこくモンスターを船に落としていた者、戦場で戦っていた者もすべて集められていく。


 僕はその様子を見て、悪魔達を吐き出している穴のことを思いだした。 
 空を見渡すと、まだ穴はあいている。
 ただ時折穴の近くで、紫色の光が走った。
 目を凝らすとその光が走る周りに何か赤い色も見える。
 ただその赤はとても小さいので、はっきりとはわからない。


 元を絶たねば今いくら悪魔達を倒しても無駄になりそうな気がしたが、このまま船の上の悪魔を放っておいたら余計大変なことになりそうだ。


 僕は空の穴についても気にかかったが、バリアのほうに視線を戻した。
 彼女が一体どんな力を持っているのか、どんな技を使うのか、それを見たかったから。