自然公園に行く途中、ふと有栖の後ろを歩いていた帝が立ち止まった。
「?なんだ、どうした?帝・・・って、おい?!」
怪訝そうに有栖が振り返ったときには、もう帝は来た道を引き返していた。
「待て、帝!!どこ行くんだよっ!」
「帝?!」
あわてて有栖と黒が後を追う。
無視してすたすたと歩く帝。
「おいっ、帝!!」
有栖の手が肩にかかって、やっと帝が振り返る。
とても面倒くさそうに。
「んだよ。離せよ。」
「んだよ、じゃねぇだろーが!!なに一人ですたすた戻ってんだよっ!」
有栖がかみつくように言うと、黒もうなずく。
「何か気になることでもあったの?」
そう聞いてきた黒に帝は、
「さっきの赤眼ヤローのこと、ちょっと気になったんだよ。」
と、要点には変わりないが、どこか質問とは合っていない答えを返して、また歩き出す。
「いやその答えおかしいから!質問に合ってねーって!!」
なおも言う有栖に帝は、
「うるせぇ。黙って俺についてくりゃいいんだよ。」
と、とても俺サマなことを吐きすてた。
もう立ち止まりもしない。
「なっ・・・・・うるさいって、おまえなぁ・・・っうわ?!」
「きゃぁっ?!」
ふわり、と黒と有栖の体が宙に浮く。
それも2,30センチではなく、2,3メートルもだ。
力を使ったのは有栖でも黒でもない。
「だりーな・・・。」
つぶやいて帝が指を鳴らす。
パチンと言う音が消えるより早く、帝達の周りがぐにゃりと歪む。
うるさい有栖にイラついたのか、歩くのが面倒になったのかはわからないが、帝は空間を湾曲させ、空間移動、もしくはワープをやろうとしている。
いきなり体が浮かび、軽い混乱の中にある有栖は、咄嗟に叫んだ。
「どこ行くんだよっ?!」
「学校。」
簡潔に答えた帝の声を最後に、3人の姿はプツリと消えた。