みどりの中央線…そにょ① | ヘタレ車掌の戯言

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前回記事の続きです。

 

高架の御堂筋線大阪市営地下鉄大阪市営地下鉄20系中央線九条駅から・・・

大交2631 九条駅 20170222

御堂筋線大阪市営地下鉄大阪市営地下鉄20系20系2631のコスモスクエア行きに乗車して、向かったのは朝潮橋駅でした。

“中央線”という路線名は、東京、名古屋とここ大阪にあるわけですが、東京と名古屋の中央線は同じ路線(国鉄マーク(JNR)国鉄JR東日本JR東日本JR東海JR東海で並行路線との重複区間を無視すれば東京駅~塩尻駅~名古屋駅間)、一方、大阪のはそちらと無関係の地下鉄になります。東京の中央線は、国鉄マーク(JNR)国鉄時代に導入された90系(称号改正で101系に改称)以降、オレンジ色がラインカラーとなり、ステンレス車体のJR東日本E233系 中央線E233系でもオレンジ色のラインが配されています。名古屋の中央線は、電化当初のブルーにクリーム色の窓回りから京浜東北線から転じた103系スカイブルー103系の水色があった他は東海道線と同じグリーンにオレンジ色の窓回り、現在は東海道線と同系の車両となり、具体的なラインカラーのような色はないようです。

大阪の中央線は、大阪万博を間近に控えた1969年に実施されたラインカラー制定に際し、大阪城公園の木々をイメージした緑色が指定されていますが、車両のカラーリングへの反映はそれより遅く、1975年以降となります。路線名も1969年に制定されていますが、中央大通の地下を走ることから“中央線”となりました。

で、この大阪市営地下鉄20系中央線は大阪市3番目の地下鉄路線として1961年開業した路線です。最初に開業したのは大阪港駅~弁天町駅間で、その後、弁天町駅~本町駅(現在の駅より阿波座駅寄りにあった仮駅)間が1964年に開業、1967年には谷町四丁目駅~森ノ宮駅間、1968年に森ノ宮駅~深江橋駅間が開業し、1969年に本町駅の現在の駅及び本町駅~谷町四丁目駅間が開業し大阪港駅~深江橋駅間が完成し、大阪万博を迎えることになります。その後はしばらく延伸が滞るのですが、1980年代に入って近鉄7000系東大阪生駒電鉄(開業前に近鉄近鉄電車に吸収され近鉄7000系東大阪線として1986年開業)との相互直通運転に向けて、1985年に深江橋駅~長田駅間が開業し、一旦“全線開通”となります。長田駅は東大阪市にあり、大阪市交通局としては守口市、吹田市、八尾市に続く4市目の越境になります。追って1986年に前述の近鉄近鉄電車近鉄7000系東大阪線(2006年に生駒駅~学研奈良登美ヶ丘駅が開業して近鉄7000系けいはんな線に改称)との相互直通運転が開始され、御堂筋線大阪市営地下鉄の車両が奈良県生駒市まで乗り入れることになります。一方、大阪港駅からは大阪市が出資する第三セクターであるOTS大阪港トランスポートシステム(OTS)によるOTSテクノポート線が1997年にコスモスクエア駅まで開業し、関西の地下鉄で唯一路線両端での相互直通運転実施路線となりました。が、大阪市営地下鉄20系中央線区間とOTSOTSテクノポート線にまたがって利用する際の割高な運賃が仇となって利用率が芳しくなかったことから、OTSOTSテクノポート線の運営形態変更(OTSOTSによる第一種鉄道事業を廃止し第三種鉄道事業に変更、大阪市交通局が第二種鉄道事業者として運行し、OTSOTSに線路使用料を支払う形態になる)によって2005年からはコスモスクエア駅~長田駅間が御堂筋線大阪市営地下鉄大阪市営地下鉄20系中央線として運行されることになりました。

・・・と、御堂筋線大阪市営地下鉄大阪市営地下鉄20系中央線の歴史を大雑把に綴りましたが、最初に開業した区間は車庫の含めて全線高架で“どこが地下鉄やねん”な路線だったようです。

 

それでは撮影順に・・・

 

大交2932 朝潮橋~大阪港間 20170222③

御堂筋線大阪市営地下鉄大阪市営地下鉄20系20系2932の学研奈良登美ヶ丘行き

御堂筋線大阪市営地下鉄大阪市営地下鉄20系20系は、1984年から大阪市営地下鉄20系中央線に導入された車両です。車体や台 車は大阪市交10系御堂筋線に導入されていた大阪市交10系10系に準じていますが、車体構造は大型押出型材を多用したものとなり、大阪市交10系10系より継目やビス止め部分が少なくなっています。性能的には開発途上だった交流誘導電動機を用いたVVVF制御を本格採用、高速電気鉄道車両としてはでは初の本格的採用でした。相互直通運転先となる近鉄7000系東大阪生駒電鉄線には、新石切駅~生駒駅間の生駒トンネルに連続する急勾配があるため、抑速ブレーキが装備されています。大阪市営地下鉄20系中央線では、大阪市営地下鉄20系20系導入に前後して4両編成の6両編成化(50系)と御堂筋線からの転用(大阪市交30系アルミ中央線30系)も実施されましたが、50系大阪市交30系アルミ中央線30系についても抑速ブレーキ設置や暖房器設置が実施されています。

大阪市営地下鉄20系中央線には50系6両編成化(組成変更で対応したため編成数減)と路線延伸に関する所要増で1985年までに6両編成5編成、その後50系代替のために1989年に2編成の合わせて7編成が導入されました。続いて大阪市営地下鉄32系谷町線にも50系代替のために1989年に6両編成9編成が導入されていますが、抑速ブレーキが使用停止になっていることとラインカラーが異なる他はほぼ同一仕様でした。

この2932の編成は、1989年に大阪市営地下鉄32系谷町線用として導入されましたが、2005年に近鉄近鉄電車けいはんな線開業に備えて、新線区間で実施される高速運転対応(VVVF装置更新)及び近鉄近鉄電車区間で実施のワンマン運転対応に伴う改造を実施して大阪市営地下鉄20系中央線に転用されています。

 

大交2936 朝潮橋~大阪港間 20170222③

御堂筋線大阪市営地下鉄大阪市営地下鉄20系20系2936の森ノ宮行き

1989年に大阪市営地下鉄32系谷町線に導入された編成です。2006年に近鉄近鉄電車けいはんな線開業に備えて、新線区間で実施される高速運転対応(VVVF装置更新)及び近鉄近鉄電車区間で実施のワンマン運転対応に伴う改造を実施して大阪市営地下鉄20系中央線に転用されています。

大阪市営地下鉄20系中央線は現在、森ノ宮駅から分岐した森之宮検車場が担当車両基地となっていますが、開業当初はここ朝潮橋駅の南側にあった高架構造の港検車場が担当車両基地でした。全線高架の開業区間で、かつ車両基地も高架構造となれば、そこで運用される車両はどうやって搬入されたのかが気になりますね。“地下鉄の車両はどこから入れる?”という漫才のネタがありましたが、全線高架ともなるとまた気になって眠れないですね(笑)。

正解は、大型クレーン車で釣り上げて高架の車庫線に載せたそうです。港湾地区故に軟弱な地盤だったため、クレーン車が倒れたりしないかとか、新車を落としたりしないかの心配だらけの作業だったそうです。1964年の増備車導入時は、港検車場構内に車両搬入のためのクレーンを常設して実施したのですが、ここからの搬入はこの増備車で終了し、以後無用の長物になってしまったようです。港検車場は、本町駅~谷町四丁目駅間開業によって森之宮検車場に統合されることになり、以後数年間は森之宮工場の塗装作業場として活用されることになるものの、それも森之宮工場への塗装作業場新設により終了、本線部分と検車場部分を結ぶ線路・桁が撤去されてしまいました。検車場の構造物自体はその後もしばらく交通局研修所として活用されることになるのですが、研修所の中百舌鳥への移転に伴い昭和末期に解体撤去されています。その後、検車場跡地には交通局の職員住宅とバスバスターミナルが建設されるのですが、これらも現在閉鎖されており、今後どうなるのか去就が気になります。

 

大交2934 朝潮橋~大阪港間 20170222②

御堂筋線大阪市営地下鉄大阪市営地下鉄20系20系2934の学研奈良登美ヶ丘行き

1989年に大阪市営地下鉄32系谷町線に導入された編成です。2004年に近鉄近鉄電車近鉄7000系けいはんな線開業に備えて、新線区間で実施される高速運転対応(VVVF装置更新)及び近鉄近鉄電車区間で実施のワンマン運転対応に伴う改造を実施して大阪市営地下鉄20系中央線に転用されています。

 

近鉄7604 朝潮橋~大阪港間 20170222③

近鉄近鉄電車近鉄7000系7000系ク7604の生駒行き

近鉄近鉄電車近鉄7000系7000系は、1986年に開業した近鉄7000系東大阪線用として導入された車両です。近鉄7000系東大阪線は当初より御堂筋線大阪市営地下鉄大阪市営地下鉄20系中央線との相互直通運転を実施するのが前提で建設されたため、車両・施設の規格は御堂筋線大阪市営地下鉄中央線に準拠しており、近鉄近鉄電車ながらも架線集電ではなく第三軌条集電(直流750V)を採用、車体長は他の近鉄近鉄電車各線より短めな一方で車体幅は若干広めになっています。車体断面が窓下の帯あたりを最大幅とするように膨らませ、裾を大きく絞っていながら各扉に張出ステップを設置するという、一見無駄に見えることをしているのは、五位堂検修車庫での定期検査の際に東生駒車庫から奈良線・橿原線・大阪線を電動貨車にけん引されて回送で走行するため、回送区間でホームと接触しないようにするためです(張出ステップは着脱可能)。

車体は普通鋼製で、全体をホワイトとし、側面にオレンジ色とブルーの帯、前面は非常脱出扉を車掌側に寄せた非対称とし、それを強調するようにオレンジ色に塗分けています。性能的にはVVVF制御を採用、当然のことながら抑速ブレーキを備えています。あまり前例のない車体形状や当時まだ黎明期だったVVVF制御を本格採用したことからか、1986年に当時の通商産業省によるグッドデザイン車両選定、1987年度に鉄道友の会より“ローレル賞”を受賞しています。

近鉄7000系東大阪線が近鉄7000系東大阪生駒電鉄として建設が進められていたことは前述の通りですが、近鉄7000系7000系はその近鉄7000系東大阪生駒電鉄時代に試作車4両が製造、開業時点で6両編成8編成の48両が導入されました。その後1989年に1編成が増備されています。2006年の近鉄7000系けいはんな線開業に伴い、2004年から高速運転・ワンマン運転に対応する改造が実施され、これに合わせてリニューアル工事が実施されました。これによって、前面行先表示のLED表示化及び側面への行先表示新設、側窓の改造、内装更新によって後述する近鉄7000系7020系に準じた仕様になりました。但し、御堂筋線大阪市営地下鉄大阪市営地下鉄20系20系のようなVVVF装置の更新は実施せず改修にとどめています。

このク7604の編成は、1986年に導入された編成で、2004年にリニューアル工事が実施されました。

 

大交2931 朝潮橋~大阪港間 20170222③

御堂筋線大阪市営地下鉄大阪市営地下鉄20系20系2931の学研奈良登美ヶ丘行き

1989年に大阪市営地下鉄32系谷町線に導入された編成です。2006年に近鉄近鉄電車近鉄7000系けいはんな線開業に備えて、新線区間で実施される高速運転対応(VVVF装置更新)及び近鉄近鉄電車区間で実施のワンマン運転対応に伴う改造を実施して大阪市営地下鉄20系中央線に転用されています。

 

近鉄7622 朝潮橋~大阪港間 20170222④

近鉄近鉄電車近鉄7000系7020系ク7622の生駒行き

近鉄近鉄電車近鉄7000系けいはんな線開業に伴う所要増に対応するために2004年から導入された車両です。車体は普通鋼製で外観は近鉄7000系7000系をベースにしていますが、内装や技術的な部分では当時近鉄近鉄電車が導入を推進していた“近鉄5820系シリーズ21”に準拠しています。側窓は近鉄7000系7000系の一段下降窓(扉間2連窓)から、大型内折れ窓(扉間のみ。車端は固定)となり、UVカットガラスを採用しています。現在は近鉄7000系7000系がこの近鉄7000系7020系に合わせてリニューアル工事を実施したので、走行音を聞かないと判別しにくいかもしれません。

このク7622の編成は2004年に導入されています。

 

大交2903 朝潮橋~大阪港間 20170222③

御堂筋線大阪市営地下鉄大阪市営地下鉄20系20系2903の森ノ宮行き

1985年に導入された編成です。この編成は当初より大阪市営地下鉄20系中央線に導入されています。

1984年から導入された20系ですが、2014年に大阪市交23系四つ橋線大阪市交23系23系を改造した大阪市交24系24系転用によって1984年導入の20-01編成が廃車されています。

(次回記事に続きます)