円先高観 弱まる 「警戒指標」5カ月ぶり低水準 | マクロ経済のブログ

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 外国為替市場で円の先高観が弱まっている。先行きの見通しを反映する通貨オプション取引では22日、円高への警戒感を示す指標が約5カ月ぶりの低水準となった。

輸入企業の円売り需要が根強いほか、投機筋による円の買い戻しも一服したためだ。ただ、日銀の追加緩和観測は後退しており、さらに円安・ドル高が進むには米金利の上昇が必要との見方も多い。

 先行き円高が進むとの見方が強まると、通貨オプション取引では、円を安値で買える権利(円コールオプション)の需要が高まりやすい。

円を買う権利と売る権利の価格を示す「ボラティリティー(予想変動率)」の差をとった指数は「リスク・リバーサル」と呼ばれる。どちらの需要が多いかを反映するため、相場の先行きを読むうえでも活用されている。

 円を買う権利の需要が減ってきたことを反映して、この指数(1カ月物)は22日午後に0.175%となり、昨年11月末以来5カ月ぶりの低水準となった。

 円の先高観が弱まっている最大の要因は、輸入企業が輸入代金を手当てする円売り・ドル買いだ。貿易赤字の拡大に伴い、輸入企業の円売り注文が増える一方、輸出企業の円買い需要は弱まっている。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作氏は「貿易赤字は定着する可能性が高く、当面は円安・ドル高圧力がかかりやすい」と指摘する。

 ヘッジファンドなどの投機筋がこれまでに膨らませた円売りの持ち高を解消する円買いの動きが一巡しつつあることも円高圧力を和らげている。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物取引で、投機筋の売買を示す非商業部門の円売りの持ち高が昨年末のピークからほぼ半減し、昨年10月末以来の低水準にある。「潜在的な円買い需要が細っており、今後円高が進むとみる市場参加者は減っている」(大手銀行)という。

 ただ、日銀が早期に追加緩和に踏み切るとの見方は後退しており、急速に円安が進むとの見方は少数派だ。クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司氏は「円安が続くには米長期金利の上昇が必要となる」と指摘していた。