スマホをデジカメ並みに、日本勢が増産 | マクロ経済のブログ

マクロ経済のブログ

株式市場で注目されそうな経済のニュースを取り上げています。個人的な独断が多少入っていますが(^^)






 スマートフォンの撮影機能がデジタルカメラに一段と近づきそうだ。電子部品各社はスマホのカメラに使う手ぶれ補正用部品を一斉に増産する。

 ミツミ電機(6767)が2014年度の出荷数を前年度比3倍に増やすほか、アルプス電気(6770)も増産体制を整える。

 米アップルや韓国サムスン電子などスマホ大手の搭載をにらんだ動きで、14年度の手ぶれ補正付きスマホの世界出荷台数は前年度の3倍以上の1億台に達する見通しだ。

 ミツミ電機などが増産するのは、カメラの焦点を合わせるアクチュエーターという部品のうち、スマホ用の「光学式手ぶれ補正」機能を搭載した部品。

 スマホ用アクチュエーター市場は世界で約1000億円とみられ、日本勢が約6割のシェアを握る。単価は1個数百円のもようで、消費者は負担増につながらずに高機能が利用できる見通し。

 スマホはカメラの画素数が上がる一方で、光の感度が下がり暗い所で撮影するときに手ぶれしやすくなった。新部品を搭載すれば暗い所でも撮影しやすくなるため、アップルやサムスン電子などが今後の主力機に採用するとみられている。

 ミツミ電機は新型アクチュエーターの14年度の世界出荷数量を前年度の約3倍となる約6000万個に増やす。フィリピンにある生産拠点を増強し、供給力を高める。

 TDK(6762)は中国スマホメーカー向けなどの小型新製品を開発中。現在のシェアは数%だが、製品投入で2ケタのシェア獲得を狙う。アルプス電気は宮城県大崎市の古川工場と、中国・無錫の製造拠点で増産に備える。

 スマホ向け電子部品で日本勢はコンデンサーやインダクターなどで世界シェアトップを握る。しかし、汎用品は中国勢が追い上げているうえ、高機能品は半導体メーカーが一部シェアを侵食している。

 手ぶれ補正機能付きアクチュエーターの増産など、日本勢が強い分野を伸ばして収益拡大につなげたい考えだ。

 デジカメとスマホのカメラ機能を比べると、スマホの高級機種では画素数ですでに遜色ないレベルになりつつある。今回の手ぶれ補正機能がスマホに標準搭載されれば、撮影機能も大きく向上する見込み。

 高級機種の一部スマホではズーム機能付きカメラも登場しており、消費者にとっては用途に応じて端末を選べるようになりそうだ。

カメラはズームに磨き 高倍率投入、競合避ける

 スマートフォンのカメラ機能の進化で、デジタルカメラ各社は一段の対応を迫られそうだ。カメラ映像機器工業会(CIPA)によると2013年のコンパクト型デジカメの総出荷台数は約4570万台で、ピークの08年の4割にとどまった。

 14年も前年比26%減る見通しだ。デジカメ各社は高倍率ズームを搭載する機種の投入などで生き残りを図る。

 調査会社の米IDCによるとスマホの13年の世界出荷は10億台を超えた。撮影後すぐにネットに投稿できる手軽さなどから、デジカメではなくスマホで写真を撮影する人が増えている。スマホのカメラ機能が向上すれば、こうした流れは一層強まりそうだ。

 ニコン(7731)やソニー(6758)などは特徴を出しにくいコンパクト型の機種数の削減に着手した。代わりに高倍率のズームレンズを搭載したコンパクト型や、高性能な画像センサーを搭載した機種を投入し、スマホとの競合を避ける。

▼アクチュエーターとは カメラのピントを自動で合わせる機構部品。光学レンズをモーターなどで動かし焦点を合わせる。光学式の手ぶれ補正に使う場合は、光学レンズを水平方向と垂直方向に動かし、手ぶれの影響を吸収する。デジカメのほか、ビデオカメラやスマートフォンなどに使われ、世界的に需要が伸びている。