○企業内での政治的活動
一般私企業が、企業秩序維持の見地から、就業規則により職場内における政治活動を禁止することは合理的であり、許される。
もっとも、実質的に職場の秩序を乱すおそれがない特段の事情がある場合、例外として、許される。
最高裁昭和52・12・13判決・目黒電報電話局事件は、以下のとおり判示している。
元来、職場は業務遂行の場であって、政治活動その他従業員の私的活動の場ではない。したがって、従業員が職場において、当然に政治活動をする権利を有するわけではない。
職場内における従業員の政治活動は、従業員相互の対立・抗争を惹き起こすおそれがある。
使用者の施設を利用して行われるから、使用者の施設管理権を侵害する。
就業時間中に行われる場合には、当該従業員の職務専念義務に反するし、他の従業員の業務遂行を妨げるおそれがある。
就業時間外であっても、休憩時間に行われる場合には、他の従業員の休憩時間の自由利用を妨げ、ひいては、就業時間中の作業能率を低下させるおそれがある。
したがって、企業秩序維持に支障をきたすおそれが強い。
したがって、一般私企業が、企業秩序維持の見地から、就業規則により職場内における政治活動を禁止することは合理的であり、許される。
政治的なスローガンのプレート・ワッペン着用とビラ配りにつき戒告処分を有効とした。
○宗教活動についても、政治活動と同様に考えられよう。