行政機関による労働紛争解決の手段 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属

労働審判以外の他の手続選択のポイント




◎行政による労働紛争の解決

都道府県労働局長の助言指導


紛争調整委員会

・費用がかからない。

・個別労働関係紛争の解決促進に関する法律

・個人の労働者と使用者が当事者。労働組合が当事者、労働者間の紛争は扱わない。

・解決率は4割弱

・使用者は、あっせんに応じる義務はない。

・あっせん期日は1回のみ。

・あっせん委員は学識経験者、労働事件に詳しい弁護士など。

・解決金の額が、労働審判によるよりも、低額。

・労使双方の対立(考え方、解雇の可否、解決金の額)が激しい事案には不向き。

・あっせんの結果について、裁判外の和解と同じ効力しかない。強制執行はできない。


労働委員会

・集団的労使紛争、労働組合に関する不当労働行為・労働争議、不当労働行為に関する組合員個人の救済に限られる。

・東京都にはないが、他の地方では、個別労働紛争を扱う場合がある。

・各都道府県に1つの地方労働委員会と、東京に中央労働委員会がある。

・個別の案件を扱う委員は3人(学識経験者、労働者委員、使用者委員の各1名)

・労働委員会によるあっせん手続の対象は、労働組合法20条に定める団体交渉拒否、不誠実な団体交渉


労働基準監督署

・費用がかからない。

・労働基準法違反事件を取り締まる。

・なお、賃金や残業代の未払い、労働災害など、刑罰の適用がある案件が、対象となる。

・使用者が是正勧告される。

・集団的で悪質な賃金不払いについては、労働基準法違反(刑事事件)として立件されることもあるが、稀である。