相続とは | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属

2章 相続とは

1 相続人

1 相続人の範囲と順位

1)相続人・被相続人

 相続人とは、法律によって被相続人の財産法上の地位を承継する者のことをいいます。

 被相続人とは、相続の開始によって承継される財産的地位の従来の主体のことをいいます。

 配偶者は常に相続人になります(民法890条)。そして、他に血族相続人がいる場合には、それらの者との共同相続になります。なお、内縁の配偶者は相続人にはなりません。

2)相続人の順位

 血族相続人には、民法上、その順位が定められており、相続開始時に生存する最優先順位の血族相続人のみが相続人になります。その順位は、以下の通りです。

1順位・・・子とその代襲相続人(再代襲相続人も含む)

2順位・・・直系尊属

3順位・・・兄弟姉妹とその代襲相続人


※代襲相続とは、法の定める代襲原因、すなわち、相続人となるべき者の相続開始以前の死亡、相続欠格、廃除により相続権を失ったときに、その者の直系卑属がその相続人となるべき者に代わって相続を受けることをいいます。

まず、第1順位の子またはその代襲相続人がいれば、第2順位の直系尊属や第3順位の兄弟姉妹は、相続人となりえません。

 次に、第1順位の子またはその代襲相続人がいない場合には、第2順位の直系尊属が相続人となります。直系尊属の中では、親等の近い者が優先します(民法88911号但書)。つまり、被相続人の父がすでに死亡していて、被相続人の母が生存している場合には、被相続人の母のみが第2順位の相続人になり、被相続人の祖父母は相続人になりません。

 さらに、第1順位、第2順位の相続人がいない場合には、第3順位の兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹が既に死亡している場合には、兄弟姉妹の子が第3順位の相続人になります。

3)相続人とならない場合

 推定相続人が相続人として資格を喪失する場合として、相続欠格(民法891条)、廃除(民法892条、893条)、相続放棄(民法938条以下)があります。相続欠格と廃除は、相続開始前に、推定相続人がその意思に反して相続資格を奪われるものであるのに対して、相続放棄は、相続開始後に、相続人が自らの意思で相続人としての資格を放棄するものです。

相続欠格とは、民法891条所定の欠格事由がある場合に当然に相続資格を失う制度です。事業承継との関係では、民法891345号が遺言と関わり、問題となりますが、これについては、第76 遺言と相続欠格事由の関係 で記述しています。