先週の日曜日、特養には行かないつもりでしたが、いても立ってもいられなくなり、少し遅くなったけど、行ってきました。

玄関を入ったところで、入所担当のTさんにバッタリと出会い、立ち話をしました。
私が、全て特養側のやり方を受け入れたところで、まだ入所させるかどうかの結論は出ていなくて、今回と来月、様子を見て判断するということでした。

夫のところへ行ってみると、夫は肘掛け付きのソファに座らされていました。
眠ってはいなかったですが、ぼーっとした顔つきで、私を見ても反応しませんでした。
お散歩しようねと言ったら頷いたので、立ち上がらせようとしましたが、全く立てませんでした。
少し離れたカウンターの中にいた若いスタッフさんが、あ、行きますと言ってくれ、すぐ来て立ち上がるのを助けてくれました。

腰砕けにはならなかったものの、かなりひどい状態でした。
大丈夫ですか?とその人が心配してくれました。
お礼を言って、大丈夫ですからと言って、両手で引っ張りながら、少しずつ歩かせました。

ソファは窓際にあり、そこから反対側の廊下に出るまで、何も寄りかからせるものがありません。
内心、支えきれないんじゃないかとハラハラしながらやっと廊下まで連れ出しました。
後ろにのけぞるので、全力で引っ張らないとだめで、腕が抜けそうでした..。

やっと廊下まで連れ出し、手すりがついている壁に寄りかからせて休ませようとしました。
後ろにのけぞっている夫の向きを変えて、壁に背中を向けさせるのが大変でした。
悪銭苦闘していると、そばにいた人が支えてくれました。
お礼を言いかけたとき、その人は、私を無視して、別の人に、「車いすを持って来て。危ないから」と言いました。
言われた人は、どうしていいかわからなかったのでしょう..ちょっと戸惑っていました。
それを見てイライラした様子で、「ほら、早く持って来て!」と重ねてきつい口調で言っていました。

私は、「いや、大丈夫ですから」と言ったのですが、そこで初めてその人は私の方を見て、「だって傾いていますよ。ほら、手を離したらこうなるから」と言って、パッと手を離しました。
夫は少し傾いたけど、すかさず私が向きを変えて、背中が壁に当たるようにして安定させました。

「もっとひどい時も歩かせていますので、大丈夫です」と言いましたら、その人は何も言わずにプイっと向こうに行ってしまいました。
私は、あっけにとられて見送りました。
他のスタッフさん達とは雰囲気が違って、もしかしたら看護師なのかな?あの命令口調から判断するとおそらく役職を持っている人なんだろうなと思いました。

そうか...こういう私の行動自体が迷惑なんだなとひしひしと感じました。
だから、断られるんだろうなと思いました。
特養側にとっては、歩けなくなろうが、認知症が進もうが関係ない。
ただ怪我をさせないのが、一番大事なんだ..。
生かさず殺さずってやつか。


とにかく、ここで転倒させるわけにはいきません。
慎重に慎重に夫を歩かせました。
廊下を斜めに横断するようにして、すぐ反対側で休ませました。
ジグザグに歩かせて、二つ目の角まで行き、そこにあったソファに二人で腰掛けて休みました。
へとへとになりました。

休憩の後、立ち上がってくれるかどうか心配しましたが、案に相違して簡単に立ち上がってくれました。
また歩かせて、次の廊下の半分まで来たとき、向こうからスタッフさんが二人来て、トイレに連れて行きたいと言うのでお願いしました。

部屋のトイレに入ると、一人が支えていて、もう一人が「失礼します」とだけ言ってズボンに手を掛けました。
私は、ズボン降ろすよ~と声をかけました。
声かけが大事だと気づいてくれればいいんだけどなと思いました。
これから何をされるのか、わかるのとわからないのとでは、不安感がまるで違うと思いました。

ズボン、ズボン下の下は布パンツでしたが、なんと、更にその中に紙パンツを履かされていました..。
私は思わず、え?紙パンツ?と言ってしまいました。
一人のスタッフさんは、あれ~?紙パンツは帰る日だけですよね?と言っていました。
私は、そうなんだけど、紙パンツでも構わないけど、でも、その上に布パンツ履かせるのは意味ないよねと答えました。

もう一人のスタッフさんが、いやーおかしいと思うけど、上の方の指示でこうなっているかもしれないので、聞いてみないとどうにもできないですと言いました。

そうなんだろうな..。
この人達は、全て上にお伺いを立てないと動けないんだろうな..。
利用者のためによかれと思ってしたことでも、上の考え方次第ではは叱責される。
だんだん、自分でものを考えなくなる人になって行くんだろうなと思いました。

紙パンツをおろして、二人がかりで便座に腰掛けさせましたが、のけぞった態勢のまま座らせていました。
座り直させますからと断って、足の位置を直し、一旦立ち上がらせて、いつものように座らせました。

尿取りパッドはびっしょり濡れて、紙パンツを通してズボンまで濡れていました。
私が歩かせていたときには、ズボンが濡れているようには思わなかったので、ここに来るまでに出たのかもしれません。

とりあえず、下半身は総取り替えになりました。
紙パンツでも布パンツでも、結局は同じなんですよねと私が言ったら、スタッフさんはズボンを脱がせながら、そうなんですよねーと同意していました。

夫は、腿やらあちこちを掻きむしっていました。
ここしばらく湿疹も治まって、きれいな肌の状態になっていたのに、逆戻りで、あちこちが赤くなっていました。
皮膚が弱いので、どっちみち同じならということで、布パンツを履かせているんですよと言ったら、その方がいいですよとスタッフさんは言っていました。

大きめの尿取りパッドを持って来て、替えの布パンツを履かせてくれ、そのままズボン下、ズボンを履かせ、トイレは終わりました。
とりあえず、この時は紙パンツは履かせませんでした。
その後はどうなのかわからないけど..。

部屋で少し休んで、その後コーヒーを買いに行こうとしていたら、入所担当のTさんが入ってきました。
紙パンツの報告を受けて来たようでした。
上の指示とは、この人のことだったのか。

現場の判断で、紙パンツの方がいいということになれば、紙パンツにしてもらいますと言うので、それで構いません、紙パンツの上に布パンツを履かせていたので、あれ?と言ったのですと言いました。
私は布パンツを履かせてもらいたいと要求したわけではなく、今までの経験で紙パンツを履かせていても漏れるときは漏れるし、布パンツでも、びったりしたボクサーパンツならほとんど変わらないので、できれば布の方でとお願いしていただけです。
でも、紙パンツがいいなら、それで構いませんと重ねて言いましたら、それで構いませんと言われるけど、不満があったまま入居して頂いても、こちらとしては心苦しいし、やはり来月の様子を見て判断させていただきますと繰り返し言われました。

なーんか、うまく言えないけど、私としてはどうすりゃいいんでしょ..。
特養側のやり方に全て従うと言っているのに、それでは、心苦しいからとか...。
前回ここから帰った時のポカポカ心が温まる感じは、もうありません。
砂を噛んだような苦い気持ちで家路につきました。
その日は、かなり大勢のスタッフがいる感じでした。
とても顔を覚えきれないけど、いい人と、冷たい人が混在しているようでした。
ここには夫を入れたくないなと思いながら帰ってきました。


翌々日の火曜日、夫が帰って来ました。
ひどい状態でした。
次の日になっても回復しませんでした。
私一人ではもう歩かせることが難しくなりました。

入浴の後、マッサージがある日は、マッサージの人が二階まで送ってくれます。
食堂のベンチに座らせて、食事をします。
食事が済んだらトイレに連れて行き、その後、リビングのソファへ連れて行くのですが、それがもう無理じゃないかと思いました。
ソファの手前で傾きがひどくなり、私は支えきれずに夫は倒れ込んでしまいました。

これまでは二階でそうなった場合は、階段まで引きずって行って、段を利用して立たせていましたが、もうとてもそんな状態じゃありませんでした。
立ち上がらせることができたとしても、階段を登らせることはもうできそうになかったからです。
訪問看護ステーションに電話して来てもらい、起こしてもらいました。

ずいぶん前から外へお散歩に連れ出すのは、私一人では無理になっていました。
家の中は大丈夫でしたので、よく家の中を一緒に歩いていました。
でもそれもいよいよだめそうです。
歩かせなければ歩けなくなるのですが、私には歩かせることができませんでした。
やはり3日間放置されるのは、夫にとって重大なことでした。
結局週末のお泊まりデイにでかけるまで、改善しませんでした。

お泊まりデイでは、二人がかりで歩かせてくれていると思います。
特に気をつけますと言ってくれました。
それでどれだけ回復するかわかりませんが、今はそれに期待するしかありません。


海に面した素晴らしい景色、家から電車一本で行ける手軽さ、そこに入所時期もこちらの都合に合わせてくれるという条件に目が眩んでいました。
夫は、歩けるか歩けなくなるかの瀬戸際です。
それなのに、その場で立ち上がらせることすら特別の対応になるからと拒否してきた特養..。
ケアマネさんとも相談して、この特養はあきらめることに致しました。
6月までショートステイの予約はとれているのですが、それを断ってもらいます。
このまま歩けなくなれば、早晩、他の施設を探さなくてはなりませんが..。

でもそんなことより、来月、また夫をあの特養に預ける気がなくなったのです。
前回の記事に頂いた皆様のコメント、本当に助けになりました。
ありがとうございました。



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