先週土曜日、福岡市埋蔵文化財センターという、市のはずれにある小さな施設で、庚寅銘大刀を見ました。
福岡市の西区ですが、岡と田畑しかない元岡というところに、九州大学が移転することになり、
事前調査したら、その後元岡古墳G-6号墳と呼ばれるようになった古墳が見つかり、
その玄室から庚寅ほか十数文字の銘文を刻んだ太刀が発見されました。
同じ干支は60年毎に巡って来ますが、いろいろな理由から、西暦570年の庚寅と確定されました。
銘刀は、有名な稲荷山古墳から出た七支刀など幾例かありますが、
庚寅銘刀は、日本に暦が齎された553年から僅か17年後の570年に作刀されたことが明示されている点で、
非常に注目されました。
当時都は、飛鳥か、その辺りでしょう?都を遠く離れた、旧伊都国の糸島の豪族の墓から出た刀に、
もうその暦が使われているのですから、面白いです。
他の銘刀では、刀の出土から銘文の解読まで数年ないし数十年かかっていますが、
この銘刀の場合は2時間で解読されたそうです。
この日1日だけ実物を展示するというので、しげしげと見たその刀は、泥の塊のようでした。
従来は、丹念に泥を落とし、いろいろ処理してからでなければ読めなかったのが、
X線CTで色々な角度から色々な拡大倍率でたくさんの画像を得て、忽ち解読出来たというのです。
写真で見ると、金象眼の文字は、一部金が剥げ落ちていますが、素人でも十分鮮明に読み取れるものでした。
X線CT装置は、大きな病院なら珍しくありませんが、考古学の施設では日本に2箇所しかなく、
その二つとも福岡県にあるのだそうです。
それで、出土するとすぐ、その一つに運び、忽ちに解読されたということでした。福岡は、面白いところです。
※太刀ではなく大刀