心の底から願った。
あの人が笑っていてくれますように。


高遠さんの新刊です。

元教え子×元高校教師

全編攻め視点。2部構成になっていて、高校生編と
その7年後再会編・・となっています。

タイトルにあるように「うた」が一つのキーワード。
全編に渡ってある曲が出てくるんだけど、
歌詞を読んだ時に

「おおおおおお・・・・」

と感嘆してしまいました。
だって私が大好きだった「calling you」が使われているんですもん。
この歌、映画「バグダッド・カフェ」で一躍有名になりまして、
アカデミーでもノミネートされたんですよね。

受けが放課後の暗くなった音楽室でこの曲を歌うんだけど、
ちょっとこの曲は人気のない暗いところで歌うには怖いかと思われるww
そりゃ幽霊説が出ちゃうのもわかるなーww





でも私はこの曲が大好きだったので
ハウスミュージックversionも持っているというww
いったいいつの時代だ・・・ってくらいですけどね。懐かしい・・・w


高遠 琉加著「こいのうた」

こいのうた (ガッシュ文庫)/高遠 琉加

¥690
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両親が不仲の家に帰りたくなくて、放課後を空き教室で過ごしていた高校生の八尋。ある日、英語教師の狩谷がピアノを弾きながらひそやかに歌っているところに遭遇する。甘くせつない旋律—その歌声は八尋の胸にさざ波をたてた。その日から狩谷と過ごすようになり、朗らかで優しい狩谷の秘めた寂しさを知るうちに惹かれていった八尋。けれど、彼の心は別の男にとらわれていた—。それから7年後、社会人になった八尋は狩谷と再会し…。



2部構成になっている最初の高校生編の方が私は好きでした。
ただ物語を全部読み終わっていると
どうしても高校生の攻めでは受けを支えるにはまだ年齢的にも経験値もないので
後半の7年後というのは攻めのために必要な時間だったんじゃないかって思えます。

高校生の八尋は両親が不仲でいつもいがみあっていたため家に帰りたくない。
だから毎日のように放課後は学校で時間をつぶしていたんだけど、
ある日、うっかり寝入ってしまってすっかり校舎は暗くなっていたのだ。
そんな時、音楽室から聴こえてくるピアノと歌に惹きつけられる八尋。
その時、見回りの先生に見つかり怒られてしまう八尋なんだけど、ちょうど音楽室から歌の主である
英語教師の狩谷に助けられるのだ。
まさか歌の主が狩谷だったとは思わなかった八尋は驚くが、
なぜかその日から狩谷のことが気になって、暇さえあれば狩谷と校内では過ごすように・・・
そして狩谷の方もまた八尋の家庭環境を知り、それとなく居場所を提供してくれるのだった。
夏休み、狩谷に誘われて狩谷の友人の経営するレストランがやっている海の家でアルバイトをする八尋。そこで狩谷の過去に繋がるあることが起きて・・・

八尋はどんどん狩谷に惹かれていくのね。
まずはその狩谷の容姿・・・
狩谷の髪は半分が真っ白で遠目からは全体に灰色に見える。
優しいのに突き放すような狩谷の態度もまた気になって仕方ない。
決定打のように狩谷はあのレストラン経営者である友人とただならぬ関係にあるようだし、
何か2人には彼らにしかわからない秘密めいたものもあって。
それを目の当たりにすると嫉妬を覚える八尋なのだ。

狩谷の過去というのはとても辛くて悲しいものだ。
それはずっと狩谷を縛り続け、自ら幸せになるのを拒んでいるかのよう。。

高校生の八尋ではどんなに狩谷のことが好きでも
救える手立などないだろう。
八尋にあるのは一途な思いだけ。。。。
それでも八尋の思いは狩谷の退職という形であっけなく幕切れ。
最後の日に八尋は狩谷に告白をする。狩谷の過去を知った上でそれでも好きだと告白をするのだ。
このシーンがとても好きでした!
狩谷が困った顔をして「ありがとう、ごめん」と泣き笑いのような顔をする。
今の八尋にはこんな顔を狩谷にさせるしかできない。

いつか、この人の空白を埋められるような、そんな大人になれるだろうか


そうなんですよ。だから7年の月日が必要なんですよね。
八尋が大人になる時間が。

7年経った八尋は高校生の時よりも随分と背も伸びて高くなっていた。
すっかり攻めらしい雰囲気w
そしてあんなにいがみあっていた両親があっさりと離婚すると、
母親が再婚をしてその相手との間に子供が生まれ八尋には歳の離れた弟ができた。
そのおかげで八尋の精神状態もかなり安定する。

大学も卒業し、無事就職した八尋が弟の幼児学習として英語を習わせに行ったら
そこの先生があの狩谷だったのだ。
思い掛けない7年ぶりの再会。

再会したらあの時の思いがぶわーっと蘇ってくる。

そうするとあの狩谷の友人・柳本と本格的に狩谷を巡ってライバルになるわけでしてww
もちろん、八尋が主人公ですから最終的には八尋に軍配が上がるんだけど、
柳本もかなりいい男だったんですよねー。
狩谷の高校時代からの友人だから、過去に何が起きたのか知っている人間でもあるし。
それをひっくるめて狩谷を守っていきたいと思っていた人なんだよ。
だから狩谷もそれにすがったこともあるわけだし。
でも狩谷は柳本に堕ちなかった・・・
なぜなんでしょうかね。近くにいすぎた?
それとも柳本が狩谷を知り過ぎてて中に踏み込むのが躊躇ってしまったからなのか。

多分、柳本は狩谷の負担にはなりたくない、という思いもあったから
狩谷を思いながらも他の人とも付き合ったりしていたんだよね。
でも八尋は違った。とにかくズカズカと狩谷の中に入り込んで、
狩谷しかいないんだ!っていうのを猛烈アピールしたわけですよ。
八尋の方が怖い物知らずだった分勝ったのかなって気がするな。

狩谷のような自分をコーティングして何重にも守っているような人は
八尋のような強引さが必要だったのかも知れない。

ただし!
確かに狩谷にはミステリアスな部分があって高校生だった八尋が惹かれたのはわかるんだけど、
過去のあの友人や柳本がなぜそこまで狩谷に執着をしたのか・・
うーむ、ちょっとそこんとこの魅力には欠けたかなー?って感じがした。


H度ドキドキドキドキ
ストーリー度満月満月満月半月

ペタしてね


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