【平清盛 第3部登場人物】
http://www9.nhk.or.jp/kiyomori/cast/index.html
【第38回「平家にあらずんば人にあらず】
http://www9.nhk.or.jp/kiyomori/story/37.html
【今週の一言】
殿の目指す国づくり、行き着く先はどんな形をしておるのでございますか。
（平時子）
【レビュー】
遅まきながらの登場、こんばんは、一大河でございます。
うーん、今回もレビューしづらい回でございました。
台風情報のテロップが気になって気になって…
「粛清」がテーマになると、どうしても２００４年の大河ドラマ
『新選組！』を思い出してしまいますね。
時忠役の森田剛氏もいよいよ冷徹な断罪人が板についてきました。
今回は時忠の名言「平家にあらずんば～」とタイトルをぶち上げたわりに、
やたら後白河院の「より大きいものを食うた方が～」の遊びがクローズアップ
され、視聴者すら振り回される有様。
そう言うそなたをわしは食おう。
どうぞお召し上がり下さりませ。
ｱｯｰ
（禿に捕らえられる貴族の断末魔）
などなど、一部の女子視聴者の心を掴んで離さない回であったか
どうかはさておき。
後白河院の回答って、結局ジャンケンでかならず勝てる
「グーチョキパー全部出し」と同じじゃね？というツッコミをも
抑えつつ、今回のレビューにいってみましょう。
まあ、難しい回だったわけです。
今回の展開が視聴者に伝えたかったことはなんだろうと。
何度か見直しはしたんですが、なかなかそのへんつかめず…
わたしが注目したのは冒頭の「一言」に挙げた時子の台詞です。
「殿の目指す国づくり、行き着く先はどんな形をしておるのでございますか」
この行き着く先とは、第34回「白河院の伝言」にて、清盛の夢のなかに
現れた白河院の「のぼり切ったその果ての景色」と対応しています。
大輪田の泊の改修もいよいよ佳境に差し掛かり、わが娘を入内させるという
悲願をも達成し、その基盤を磐石のものにしつつある清盛。
ですが、清盛は時子の問いに答えません。
それは、清盛がまだ果ての景色への途上にいるということを表しますが、
同時に清盛自身にもはっきりと思い描けてないということでもあります。
その清盛の「迷い」あるいは「不安」は、徳子入内を寿ぐ平家一門のシーンと、
ひとり福原で石いじりをする清盛のシーンという対比にもっともよく表れて
います。
悲願の徳子入内を果たしたものの、まったく嬉しい素振りを見せない清盛。
じつは、このときの清盛にはもうひとつ、始末をつけておかねばならぬ
ことがあったわけですね。
「疫病の噂を流布した犯人を粛清すること」です。
徳子の入内が叶ったとて、このたびの「羊の病が都に蔓延した」などという
八条院と以仁王が放った噂は、平家の信用を貶めるわけです。
張本人である八条院のもとに時忠と禿が乗り込みますが、差し込まれた
のが清盛の石いじりのシーンの直後であったことを考慮すれば、
時忠派遣は清盛の差し金とみて相違ないでしょう。
後に時忠が語る「平家にあらずんば人にあらず」とは、
清盛が目指す国づくりを邪魔する者は、たとえ王家の者であっても
人として見なさないという強烈な「宣戦布告」であるということ。
清盛自身、まだ見ぬ「のぼり切ったその果ての景色」を目指して
突き進み、その途上にいる邪魔者は汚い手を使ってでも排除する。
一心不乱に石いじりをする清盛の表情からは、その「覚悟」が見て
取れましたし、その役を担う時忠には、義兄に天下を取らせるために
ならどんな汚れ役も買って出るという「覚悟」がありましたね。
ここまでくるとやはり『新選組！』の近藤勇と土方歳三を思い出して
しまうのは大河ドラマファンの性か…
一方、かの五条大橋では平家の世をひっくり返す運命の出会いが！
そして、清盛の長年のパートナー、兎丸に忍び寄る時忠の魔の手…
次回、「収二郎、無念」
じゃなかった、第39回「兎丸無念」にご期待ください！
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