ふたりのすごろく遊びは新境地へ/平清盛 第32回「百日の太政大臣」 | (不肖)大河ドラマ批評家「一大河」の批評レポート

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不肖・大河ドラマ批評家「一大河」が、古今の大河ドラマのレビューを
つづっていきます。

平清盛 第32回「百日の太政大臣」レビュー


【平清盛 登場人物/キャスト】

http://www9.nhk.or.jp/kiyomori/cast/index.html




【第32回「百日の太政大臣」のあらすじ】

http://www9.nhk.or.jp/kiyomori/story/32.html




【今週のひとこと】

「ぞくぞくいたしまする」(平清盛)



【レビュー】

京本政樹、奥州の覇者・藤原秀衡役キターーーーーッ!!


↓↓↓

http://www9.nhk.or.jp/kiyomori/news/index.html




ぞくぞくとしてこよう?



このネタだけで一記事書き上げたいくらいに京本ファンの
わたくしでございますが、今回は伸ばしに伸ばしてしまった
第32回「百日の太政大臣」のレビューをお送りします。



本編をじっくり見る時間もなかったため、非常に断片的な
レビューになっておりますが、そこは平にご容赦願いとう
ございます…



さて、今回は保元の乱以降の放送回の中では、個人的に
良作回であったと思います。



なぜなら

清盛の理想とする国づくりがスタートする晴れ晴れしい
瞬間を描くとともに、裏では、その犠牲となる者たちが
いるという残酷な現実を見事に対比させて描いたから。




今回特に注目したのは「遊びをせむとや」の今様の
使い方です。




清盛と後白河を支えてきた「遊びをせむとや」を、
今度は清盛と後白河の新たな「すごろく遊び」を
イメージさせる歌へと変化させたこと。



遊びはまだまだ、続くのだということ。



さらに、その清盛と後白河の「すごろく遊び」の裏で、
清盛が理想とする「誰もが安らかに暮らせる国づくり」の
裏で、悲しむ人間がいるというシーンにこの歌。



清盛の声による「遊びをせむとや」をバックに、
千鶴丸が伊東祐親に連れて行かれるシーンは、
だれもが強く印象に残ったのではないでしょうか。



それは清盛の力が伊豆の辺境にも届くほど強大であると
いう暗示であり、かつ清盛にとっては希望の歌のはずが、
一方では誰かを苦しめているということを暗示している。




つまり

清盛が長年追ってきた理想が、その志とは裏腹に、
ささやかな幸せを崩壊させた瞬間なのですね。



それを印象付けるシーンで、「遊びをせむとや」の持つ、
「希望」と「残酷さ」の両面を上手く演出として取り込んだ
ところは、実に素晴らしい。



峰竜太氏演じる祐親が、まったく表情を変えずに千鶴丸を
奪っていったシーンは、今回屈指の名シーンであったと
思います。



加えて、あのシーンに北条時政を混ぜたのもなかなか
面白い演出でしたね。



彼自身も平氏方の武士でありながら、頼朝と結託して
平氏と戦うわけですから、今回の千鶴丸殺害の悲劇が、
彼の心中にどのような思いを宿らせたのか。



視聴者に想像する余地を与えた点は素直に評価したい
ところであります。



ただし、注文がひとつ。



内裏の警護にあたっていた祐親が、清盛に話しかけられて
ドキッとするシーン。



清盛の強大さと、清盛に対する武士の畏怖を端的に表す
ことを目的としたシーンであったと思いますが…



あそこは、もっと清盛の強大さを強調するシーンで
よかったんじゃないかと。



例えば

公卿に対していっさい容赦しない様を見せるとか、
いっそ斬首を言い渡すくらいの冷酷さを見せつけるとか。



それくらい恐ろしい清盛像を祐親に見せていれば、
後半の千鶴丸殺害シーンが、より鬼気迫るシーンに
なったのではないかと思いますね。



とはいえ、峰竜太氏演じる祐親の迫真の演技と、視聴者に
「清盛は倒すべき存在でもある」ことをはじめて印象付けた
このシーンを見られただけでも、個人的には満足です。



そしてもうひとつ、一大河個人的に面白いな、と
思ったのが、乙前と清盛、後白河の再会です。



彼女がここで二人の前に姿を現したということが、
何を意味するのか。



それは、「もののけの血の行く末」、さらには二人の
「壮大なすごろく遊びの功罪」が、いよいよ明らかに…
ということではないでしょうか。



そもそも、『平清盛』のメインテーマである「血」、
その最も大きなものが、白河法皇という強大な
「もののけの血」でしたね。



その「もののけの血」を最も濃く受け継ぐのが、清盛と
後白河なわけです。
(鳥羽法皇と崇徳上皇はすでに崩御)



「ふたりの可能性」と、「もののけの血の恐ろしさ」を
知る唯一の人物こそ、他でもない乙前なんですね。



白河法皇の「もののけの血」は、50年の間に清盛と後白河
というふたりの最高権力者を生み出し、その二人の可能性が
もたらした「すごろく遊び」は新たな境地へ。



物語は、これからまさに「つよくてニューゲーム」!!

(これが言いたかった)



ということで、いよいよ栄華を極めた平家政権は、
これから坂道を転げ落ちていくだけ…



「つよくてニューゲーム」の意味がわからないひとは
ググってくださいね。



それでは、京本秀衡の登場を今か今かと待ちつつ、
次回、第33回「清盛、五十の宴」に乞うご期待!




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