葵徳川三代 第一回『総括関ヶ原』を観る | (不肖)大河ドラマ批評家「一大河」の批評レポート

(不肖)大河ドラマ批評家「一大河」の批評レポート

海外ドラマより、韓流ドラマより、もっと面白いドラマがある。
日本でもっとも歴史あるドラマ、それが「大河ドラマ」である!
不肖・大河ドラマ批評家「一大河」が、古今の大河ドラマのレビューを
つづっていきます。

葵徳川三代 第一回『総括関ヶ原』

$(自称)大河ドラマ批評家「一大河」の批評レポート

関ヶ原合戦図彦根城博物館蔵)



◎登場人物/キャスト

【東軍】
徳川家康(津川雅彦) …五大老の一人。関ヶ原の合戦では東軍の総大将を務める。
徳川秀忠(西田敏行) …家康の三男。徳川の本隊を率いて中山道を西に進軍するも遅参する。
本多正信(神山繁) …家康の謀臣。関が原の合戦では中山道の秀忠に従う。
本多正純(渡辺いっけい) …正信の長男。家康本陣に控える。
松平忠吉(寺泉憲) …家康の四男。関が原の合戦では福島正則を出し抜き、先陣を切る。
井伊直政(勝野洋) …忠吉の舅。忠吉に付き従い、抜け駆けを勧める。
福島正則(蟹江敬三) …関ヶ原の合戦では先鋒を務めるが、忠吉に出し抜かれる。
黒田長政(山下真司) …関ヶ原の合戦では東軍の主力として戦う。

【西軍】
石田三成(江守徹) …五奉行の一人。関ヶ原の合戦にて西軍を率いる。
島左近(夏八木勲) …三成重臣。関ヶ原の合戦で三成の盾となり凄絶な死を遂げる。
蒲生郷舎(竜雷太) …三成重臣。
毛利輝元(宇津井健) …五大老の一人。西軍の総大将。
宇喜多秀家(香川照之) …五大老の一人。西軍の主力として戦う。
大谷吉継(細川俊之) …寝返った小早川勢と対峙するも敗戦、自刃する。
島津義弘(麿赤兒) …西軍の敗退を見届けるや、東軍の中央突破を試みる。
島津豊久(山口裕一郎) …東軍中央突破の際、義弘の身代わりとなって戦死する。
小早川秀秋(鈴木一真) …西軍として参戦するも、家康の脅しに屈して寝返る。

【その他】
豊臣秀頼(大高力也) …豊臣秀吉の嫡男。
淀君(小川真由美) …豊臣秀吉の側室で秀頼の母。お江は実妹にあたる。
片桐且元(小林念侍) …秀頼の傅役。
お江(岩下志麻) …秀忠の正室。
水戸光圀(中村梅雀) …本作のストーリーテラー。


「三成が挙兵に及べば勿怪の幸い。だれとだれがこれに加担するのか」
「時を与えてじっくりと見極めようぞ」
「あとで、十把一絡げに葬り去れば、手間も省ける!!」
(徳川家康)



【あらすじ】
慶長5年9月15日(1600年10月21日)、徳川家康率いる
東軍85,000と石田三成率いる西軍80,000が、美濃国は
不破郡関ヶ原にて対陣。
ここに、関ヶ原の合戦の火蓋が切って落とされる。


【レビュー】
年の瀬も近うなって参りました。
(自称)大河ドラマ批評家一大河でございます。


今回、レビューを開始するのは『葵徳川三代』
実は2ヶ月前にレビューを書いておるのですが、
記事を見返してみると我ながらひどい駄文で
ござります(笑)


今でも拙筆に変わりはござりませぬが、いま一度、
2000年代最初にして最高傑作、『葵徳川三代』
レビューいたしたく思いいたりましたる段、伏して、
お察しいただきまするよう、お願い申し上げまする。


まずもって注目したいのは人物描写
津川雅彦の叔父御が演じる家康公の悪役ぶり、
江守徹の叔父御が演じる三成の正義感ぶり、

そして各武将を演ずる役者がハマリ役もハマリ役
(特に蟹江敬三の福島正則!)
言葉遣いも当時のものに近づけようとする努力が
あったと思え、戦国時代末期の雰囲気を映像から
ひしひしと伝わるのです。


また甲冑フェチのお歴々必見、各武将の変わり兜。
代表的な変わり兜、福島正則の「桃形大水牛脇立兜」、
黒田長政の「一の谷形兜※」
などを筆頭に、こういった
小物にも制作陣の愛を感じます。


参考Webサイト
福岡藩歴代藩主の甲冑


この回の大詰めはなんといっても正味1時間にも
及ぶ関が原の合戦模様。
制作費の大部分をつぎ込ん
だ壮大なロケであったようで、出演者の演技、
豪華絢爛な装束、本気度の高い戦の描写、効果的な
CGなどなど、挙げるとキリがないほどの傑作回で、
一大河が選ぶ、大河史上最高傑作回でもあります。


本編は、語り役である水戸光圀公が、東西各隊の
陣構えの様相を解説するところからから始まります。
この光圀公の軽妙な解説もあいまって、
天下を二分する戦が始まるという高揚感と、
戦史オタクが今にも語り始めてしまうような
関ヶ原での東軍、西軍の陣構えぶり。



大抵の大河ドラマは主人公の幼少期から始まる、
ということもあってか、視聴者のボルテージは
回を追うごとに上がっていくものと存じますが、
『葵』は第一回に関ヶ原の合戦のダイジェストを
お送りする
わけで、いきなり最高潮から始まるわけ
ですね。


徳川家康役と言えば津川雅彦氏というように、
津川氏の好演は言うに及ばず。
無類の戦好き、戦巧者というところを反映してか、
戦場では感情を露わに、容赦なく西軍を攻め立てます。


その家康の息子、秀忠。
史実どおり、徳川の本隊を率いる秀忠は、上田城攻めに
手間取り、雨と川の増水で進軍ままならず、とうとう
家康に「見限る!」とまで言われてしまいます。


血尿に狼狽したり、疲労が極限に達して甲冑姿の
正室・お江殿の幻を見るなど、大君家康公の息子とは
思えないだめっぷりですが、その秀忠を演ずるのが
西田局長。
非常に人間臭い徳川の二代目を好演しています。


一方、『総括関ヶ原』の主人公ともいえる、江守徹氏
演じる三成とその家臣、島左近と蒲生郷舎。
敗軍の将である彼らの凄絶な死に様は必見。
とくに島左近は、鉄砲隊の標的となった三成の盾となり、
相果てるのですが、死に際、三成に捧げる言葉、
そして、左近の死を看取った三成のシーン。

石田三成
「左近んんん!!!」

島左近
「一命、捧げ奉る・・・」

三成
「……おのるぇぇええええ!!!!」


主役級の名優が数多く出演する本作において、
夏八木薫氏演ずる島左近、江守徹氏演ずる三成の名演。
主従愛といいますか、このシーンを見るたびに胸に込み
上げてくるものがあります。


そして何よりも『葵』の「関ヶ原の合戦」が優れているのは、
足軽ひとりひとりの「活躍」。

ともすれば、名将・猛将にのみスポットが当たりがちな
戦のシーンにおいて、真っ先に死に活路を拓く力なき存在を
しっかりと描写する姿勢に敬意を表したい。


他にも、小早川秀秋の寝返り、島津勢の東軍中央突破など
合戦のシーンすべてが山場といえる出来。


昨今、合戦のシーンが映像の使い回しや解説で終始し、
「大河ドラマはもうだめか」とも思われましたが、
それをブチ破ったのが『坂の上の雲』第三部でありました。


その10年前、ダイナミックな映像でお茶の間を沸かせたで
あろう作品が、『葵徳川三代』の「総括関ヶ原」
であります。
年末年始のくだらないバラエティ番組に飽いた御辺(あなた)に
是非とも見ていただきたい作品。


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