坂の上の雲 第五回『留学生』を観る | (不肖)大河ドラマ批評家「一大河」の批評レポート

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坂の上の雲 第五回『留学生』を観る


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明治の女子留学生



◎坂の上の雲 第1部登場人物◎


「力の裏付けを持たぬ外交は、絵に描いた餅です」
(陸奥宗光)



【あらすじ】
明治28年(1895年)9月、真之は「筑紫」が呉に
帰還したのを機に、松山に子規を見舞った。


その頃、子規は大学時代からの友人である
夏目金之助(後の漱石)が松山中学の英語
教師として赴任しており下宿をともにしていた。


帰途、真之が律に子規の病状を尋ねると、
自分が必ず治してみせると律は気丈に答える
のだった。


子規は松山を離れ、上方のあちこちを
観て回る旅に出る。

柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺

しかし、その途上でカリエス※を発症する。

※骨組織の結核菌による侵食


明治30年6月、海軍の若手将校に海外留学の
話が持ち上がる。
真之はヨーロッパの大国への留学よりも、
敢えて新興国アメリカへの留学を決意。


真之の親友・広瀬武夫は将来の日露の衝突を
予見し、ロシアへの留学を希望する。
出発を前に見舞いにきた真之に、子規は命がけで
俳句を作ると決意を語る。


留学中、真之は世界的に著名な海軍の戦術家
アルフレッド・マハンに教えを乞い、勃発した
米西戦争では観戦武官となる機会を得た。
その報告書は日本の海軍史上比類なきものとなる。


一方、広瀬はロシアで諜報活動の役むきも
果たしていた。
そんな中、海軍大佐の娘アリアズナ知り合い、
見事なダンスを披露して喝采を浴びる。


真之はアメリカで新興国の勢いを感じ、
伝統にとらわれない合理的な戦術に目を
見張ることになる。
また、駐米公使の小村寿太郎から日英同盟の
構想をきかされるとともに、英国駐在武官を
内示される。


明治33年1月、真之は英国を目指す船上にあった。
世界情勢はヨーロッパ列強に日本、アメリカが参入し、
新しい時代を迎えようとしていた。


【レビュー】
本編は最終回を迎えましたが、まだまだレビューは
続きます。
今回は、第一部の最終話『留学生』をレビュー。


戦こそありませんが、一回の放送のうちにかなりの
歴史的大事件、物語的事件が勃発します。
大雑把に言うと、


・三国干渉
・閔妃暗殺事件
・日本の軍備拡張
・子規のカリエス発症
・真之の渡米、広瀬のロシア駐在
・米西戦争
・真之、広瀬のロンドン留学
・小村寿太郎の日英同盟構想


すべてを書ききれないので、気になったシーンを
かいつまんで。


日清戦争が終わり、部下を命令で死なせてしまったと
自分を責める真之。
最終回でも「坊さんになって戦歿者を供養したい」と
嘆くように、決して戦が好きな人物ではなく、心に
傷を負いやすい人物であった描写でしょうか。


その真之の心の傷を癒すのが子規なんですね。
従軍記者として清へ向かうも、喀血して帰国。
健気に振る舞う子規とりーさんが、力強くも
あり痛々しくもあり……


日清戦争の後、日本にとって痛恨の閔妃暗殺事件と
三国干渉はさらっと流れ
ます。
日本は日清戦争に勝ったとはいえ、軍事力ではまだまだ列強の
足元にも及びませんでした。


冒頭に挙げた陸奥宗光の言葉、現代の日本にも同じことが言えます。
軍事力のない国は平和な国なのではなく、今も帝国主義の名残の残る
世界の中では、いつ権益を侵されても何もできない弱小国に過ぎぬのです。


そのような情勢下で、留学生の制度が復活。
真之は留学生候補になるべく海軍兵学校へ。
そこで先輩で親友の広瀬武夫と再開します。


女性視聴者の心を奪ったあのシーンが。
はい、ふんどし姿での写真撮影です。
広瀬さん一人だけならまだしも、なぜかふたりとも
ふんどし姿になって肩を組んでの撮影。
後々まで女子の間の語りぐさとなったのでした…(嘘)


ツーショットはドラマオリジナルですが、凄惨な
戦の後にちょっとクスッとさせるこういうシーンを
挟むところが憎いですね(笑)


さて、今回の見所はこの後。
アメリカ留学が決まった真之が、東京の子規の元を
訪ねます。


京都巡りの帰途でカリエスを発症した子規。
病気はしても食い意地は衰えないと言っていた
子規も、頬はこけほぼ寝たきりの生活を強いられる
ことに……


ここでの二人の言葉が、まるで現代に生きる
わたしたちに投げかけられるように語られます。


真之
「日本には大きくて、深い皿がある。そこに色々乗っかるのが日本の面白いところよ」
「そういう国を滅ぼしてはならん」


子規
「国が滅びるということは文化が滅びるということよ」
「アシはどのくらいまで生きられるかわからん…」
「じゃがアシが死ぬまでの間にやり遂げようとすることを…
 無駄にならんようにしておくれ」


真之
「…よし!引き受けた」


死と向き合う子規にとって、自分の作品が後世に
残らないことほどの無念はありません。
明治という時代は、西欧列強の帝国主義で否応なく
植民地化か、産業を興して他国を支配するか、いずれか
しかない時代
でありました。


ともすれば、国、国家というものを意識せずに
生きている我々に、命をかけて守るべき国、文化とは
何か、それを呼びかけてくれているのでありましょうか。
真摯に受け止めねばならぬ言葉であります。


真之がアメリカに旅立った頃、広瀬は諜報活動との
兼務でロシアに留学します。


そこで出会ったのが、あの「ボリス」


あいや、のちに恋仲になるアリアズナですね。
アリアズナたんかわいいよアリアズナたん。


しかしまあ、ボリスの存在感が大きすぎてですね(笑)
アリアズナと良い感じなっている広瀬に嫉妬して、
ジュージュツ勝負を申し出ますが、あっさりと一本背負いを
くらって、大恥をかきます

ボリスの表情がもうメシウマで(笑)


この一件の後、広瀬はロシアの駐在武官の中でも抜きん出て
人気者と成るのですが、のちに敵国となるロシア。
日露海戦の時の広瀬の胸中は如何ばかりでありましょうや。


長くなりそうなので、今日はこのへんで!


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