メインのIWGPヘビー級選手権

王者:オカダ・カズチカVS挑戦者:棚橋弘至

何度も見ているのに、何度も面白い、超名勝負数え唄。
もう、どうしてここまでのクオリティが出せるのか・・・と考え込んでしまうほどの内容だった。


1月4日、毎年恒例の新日本プロレス 東京ドーム大会。
毎年毎年ずーっと私は会場で見ている。

90年代のいわゆる黄金期も、00年代のいわゆる暗黒期も、そして10年代のいわゆる新日本プロレスブーム復活の現在も、毎年ドームでその空気を感じてきた。

16時開始のニュージャパンランボーを見るために15時45分の22番ゲート前で待ち合わせしたが、人でごった返していて入場への列が長く、甘い考えだった私はライガーと藤原組長の入場を見逃した。
今の新日本はなめちゃダメだった。

そして、本戦は17時開始なのに、16時の段階でアリーナ、スタンド、しっかり入っていた。
昨年のニュージャパンランボーの好評を受けて、みんな第0からしっかり楽しんでいた。
組長、ヒロさん、越中さん、カブキさんにキング・ハク!オールド世代にもウケるラインナップに、もちろん現在進行形の新日本所属選手も混ざってバトルロイヤル。
楽しいに決まっている。
そこに年末の青木真也戦で顔面を腫らしながら敗戦した桜庭選手が登場するもんだから、なんだかジーンときてしまった。
そして、ジーンとし続けている暇もなく、桜庭VSカブキなんていうTVゲームみたいな顔合わせが実現してしまう面白さ!
また、ROHのチーズバーガーがサプライズで登場したが、正直言ってほとんどが「誰?」だったはず。しかしそのコミカルなキャラクターが一瞬でウケて、翌日の後楽園では人気者になっていたんだから、このチョイスも正解。
そして、ももクロも加わり、もうお腹いっぱいな第0試合。

そこからジュニア4WAY、ブリスコ兄弟の登場、ROHタイトル戦と右肩上がりに盛り上がり、KUSHIDAのIWGPジュニア奪取、真壁&本間のIWGPタッグ奪取でお祭り騒ぎ。
こけし新日本初のベルト奪取は、それはそれはハッピーな空気に包まれた。

そして、内藤VS後藤の抗争にひとまず決着がつき、NEVER無差別級タイトル戦の石井VS柴田のバチバチ、ゴツゴツした男のシバキ合いに超熱くなる。

さらにセミでは正真正銘のシングル初対決の中邑VS AJで、何が飛び出すか分からないプロレスに大熱狂。
メインまでの興行の流れ、持っていき方、お見事なまでの右肩上がり。

そしてメイン。
過去何度もやっている「新鮮味」に関しては少ないオカダVS棚橋。
新鮮味で見せられないとなると、必然的に内容で見せないといけない。
前回より上、前回より上を繰り返さないといけないしんどさが確実にあるのに、何度もこのカードをもってくるという、このカードへの信頼感。
何をもって上なのか下なのかジャッジするのかもよくわからないが、見た者は毎回「前回より上」と感じる。
これぞ超名勝負数え唄。

私はメインの最中、アリーナの客席に注目していた。
90年代の新日本のドームの映像を観ると、ゴングが鳴った瞬間に選手への大コールが起こり、2.99でカウントを返した瞬間にアリーナ席が波打って、試合の決着がついた瞬間にアリーナがお祭り騒ぎになるシーンがよくある。
まさに大熱狂のシーン。

あの頃のシーンが今年のメインでは完璧に再現されていた。

昨年なども盛り上がってはいたが、私の記憶ではここまでの爆発は90年代以降見たことはないように思う。
もう、観客は思う存分に感情移入して、心の底から年に一度の新日本プロレスのお祭りを楽しんでいるといった様子だった。

観客動員的には曜日のこともあって、昨年より減ったようだが、来場した観客の熱量は確実に年々倍増している。
それは新日本の求心力とともに、ドーム大会の全体の構成がお見事だからこその熱だろう。

今現在のドーム大会はいわゆるサプライズゲスト的な出場者は皆無。
一年の流れに沿った「線」のカードしか組まない。
一部でカードのマンネリ化を指摘する声もあったりしたが、今回のドーム大会を目の当たりにするとこれが正解としか言えない。

私は様々な団体を見に行くし、ビッグマッチを成功させている勢いある団体も観戦して「お!すごいな!」と思う瞬間はたくさんあるが、今回のドームを見て、ちょっと新日本はズバ抜けてると確信した。

業界の盟主として新日本がガッツリ君臨して、そこに刺激されて他団体が更なる飛躍を目指していくと、業界全体がもっともっと面白くなっていくはず。

今年44周年の新日本プロレス。
6年後の50周年という大きな節目に向けて、もっともっと世間を巻き込んでデカくなっていってほしい!

そろそろ思い切って地上波ゴールデンでやってみるとかね!!