◎前回のお話





I先生がドアを開けると

1年生担任2人と特別支援級の先生1人が入ってきた。


『今日は話せること何でも話してな。』


I先生に言われ頷いた。


I先生以外は私と目線を合わせない。


私もテーブルの隅の方に目線をやりながら自分に気合を入れた。


『今日は特別支援級でどんなことをしているのかとか、どのくらいの理解があるのかを聞きに来ました。』


大した返事もなく


『ももちゃんの意見言っていいよ。』


と、I先生に言われた。


『中学に入って息子が落ち着かないことがあったり、部活のことでいろいろ言われたり

正直不信感しかありませんでしたが、教わってるのは息子だけじゃないと思い見守って来ました。

どこかでいい方向に変わったりするんじゃないかと信じてきました。


でも夏休みの宿題を見て、果たして先生達は特別支援級をどう思っているのか分からなくなりました。

私は家庭訪問の時にも普通校への進学を希望していることも伝えていますよね?

頑張っても行けない時はこれは息子の力量だから仕方ないと思っていますし、全てを先生達に押し付けようなんて思ってもいません。

しかし、小学校の特別支援級からの引き継ぎもあったはずなのにこの宿題内容ってありますか?

先生達は特別支援級をどのようにお考えなんでしょうか?

息子の病院での診断結果も提出してますよね?』


最初に口を開いたのは担任の若い先生だった。


『でも…言葉を理解してないなと思うことはあります。』


『それは小学校1年生レベルまで遡らないといけないくらいですか?

例えば知能テストの結果を見ると言語の理解は2歳程度の遅れと出てます。

それって小学校1年生レベルですか?』


私も怒りがこみ上げてくる。


それに気づいたI先生が途中で入ってきた。


『ちゃんと柏崎さんちはこうして気にして病院に通ってるわけだ。

先生はそれを理解してちゃんと勉強のレベルを考えてあげてるの?』


すると支援級の担当の先生が口を開く。


『私、正直わからないんですよねぇ。』


と、ヘラヘラと笑いながら答えた。


『分からないってどうゆうことですか?』


『支援級の先生なんて2日の研修受けちゃえばなれちゃって、実際どう対処すればいいのかわからないんですよ。』


それを笑いながら平気で言う先生に苛立ちを覚えたが、私より先に口を開いたのはI先生だった。


『なんだよ!それ!

分からなくてももちゃんのことモンスターペアレント扱いか!

それはおかしいだろう!』


『分からなければ分からないなりに何故聞いてくれないんですか?

小学校の時の申し送りはどうなったんですか?

あの時間を無駄にしないでください!

先生にとったら厄介な子でも、この先の未来なんて今決められるものじゃないじゃないですか。

せめてちゃんとその子その子に合った授業をしてあげてください。

それが特別支援級のあり方じゃないんですか?』



息子が言っていた『先生授業中ずっと読書してるよ』ってことは言わなかった。

この先生がこの後どこまでこの子達を理解してくれるか…期待だけはしたかった。


『今回の件は明らかに学校側に問題があるな。

本当に悪かったな。』


I先生は私に向かって謝った。


『先生がいてくれたからここまで話出来ました。ありがとうございました。』


私は先生達の理解が深まるよう連絡帳を作ることを伝えた。

発達障害や知的障害と言うものを知ってもらって、支援級で勉強する子達の未来がもっと他方へ広がるように…

先生達がもっと福祉の心を理解してくれるように。

学校教育が変わるように…。


私のバカな頭で考えられる精一杯のことだったが何かが変わればいいと思った。



話が終わり職員室へ出ると先生達の机の上にプリントが置いてあった。

【発達障害・知的障害児の理解】と書かれたプリントだ。


教育委員会から送られたものだろう。


これをどのくらいまともに受け止めてくれるのか…。



次の日

息子の持って帰ってきた中学の問題のプリント。



前日見た発達障害のプリントの裏紙を使っていた。