この人を初めて取材したのは、もうずいぶんと昔のことです。

それ以来、いつも気になる存在であり、敬愛する商人の一人です。

 

 

「ここにしかない! ここでしか買えない! そんな商品が必要だ」

そんな思いで書き上げた一枚の企画書。

そこには「戸越銀座オリジナル商品開発参加のお願い」と書いてあったそうです。

 

当然、みんな面白がって賛同してくれるだろうと、商店街の理事会に提案したところ、、、。

「他人の店の商品にまで口出しするな!」

「いったいどれくらいコストがかかると思ってるんだ!」

「売れなかったら誰が責任をとってくれるんだ!」

「おまえは自分の店を棚に上げて、他人の店の文句が言いたいのか!」

 

 

それでも彼はその可能性を訴え続けました。

やがて一人、また一人と彼の熱意に打たれ、賛同してくれる先輩たちが現れました。

とごしぎんざブランド第一号「江戸越えの純米酒 とごしぎんざの御酒です」が誕生したのは1999年のことでした。

折しもまちづくり三法施行、大店立地法によって全国の商店街衰退に拍車がかかる前夜のことです。

 

以来、彼はとごしぎんざブランドづくりを進める一方、オリジナルキャラクター「戸越銀次郎」の誕生、コロッケによる活性化など一つひとつを、商店街の仲間、地域の生活者・学生などさまざま人を巻き込みながら走り続けてきました。

 

 

そんな彼が自らの取り組みを綴った一冊の冊子が手許にあります。

『街のあかり ふたたび 戸越銀座商店街物語』

著者は、戸越銀座銀六商店街で宝飾・時計・眼鏡店「ギャラリーカメイ」を営む亀井哲郎さん。

店は客のためにある――という商業界精神を実践する商人のお一人です。

 

関心のある方は、品川区商店街連合会まで。

商店街に関わるすべての人に読んでほしい一冊です。