笹井清範の商人応援ブログ「本日開店」

お客を愛し、お客に愛される商人に、元気と役立つ情報をお届けします


テーマ:
昨日は、京都・西舞鶴への日帰り出張。
移動距離は往復でおよそ10時間。
〆切の迫った校正ゲラに目を通し終えると、ぼくは一冊の本を開き、その著者の世界へと入っていきました。

{E2D84D0A-7C43-410F-8A09-FCB03CC3D820}

商品をどのように揃えるか(専門用語でいうとマーチャンダイジング)という観点から見ると、小売業は大きく二つに分けられます。
みずから商品を作る製造小売業と、多くの商品の中から品揃えの方針に従い調達する仕入れ小売業です。

いま、仕入れ小売業はいずこも厳しさと難しさに直面しています。
より安く、もしくはより便利に買うならば、インターネット通販が最も最適な時代において、他でも手に入れられる商品を、なぜあなたの店で買う理由があるのでしょうか?
その問いに明確に答えられなければ、そこに品揃えの哲学がなけれび、お客さんはあなたの店で買うはずもありません。

今ではあらゆる商品を扱うアマゾンが、その事業を何からスタートさせたかはご存知ですね。
そう、本、書籍、BOOKです。
ぼくが出張の連れとしたのは、岩手・盛岡のさわや書店フェザン店で店長を務める田口幹人さんによる『まちの本屋』です。

ご承知のように、低粗利、定価販売、ほぼすべての商品が仕入れという特徴を持つ書店が、その店数を減らしています。
地域に書店が一軒もない市町村はどのくらいあるのでしょうか。日本書籍出版協会の資料(2015年5月1日現在)によると332に上っています。
全国の市町村数は1727ですから、書店をもたない割合はなんと2割近くに上るのです。

とりわけ、資本力、売場規模でスケールメリットを持たない“まちの本屋”厳しさは並大抵ではありません。
仕入れ小売業の中でも絶滅危惧種の一つといっていいでしょう。

しかし、だからこそ、そこで取り組まれる商いには、研ぎ澄まされた知恵があるはずーーこれがぼくの持論であり、この本を手にした主な理由です。

{AF13DFF7-3557-4BE8-900C-5D0614F8391B}

著者は書店での修業の後、実家の書店を継ぎ、心ならずも廃業を経験。
しかし、本の世界を離れることなく、勤め人としてさわや書店に入り、これまでに学び、教えられてきたことを実践する中でつかんだ大切なことが書かれています。
多くの読みどころと共感を含んだ一冊のうちでも、ぼくがいま皆さんに伝えたいのは、次のくだりです。
田口さん、少し長い引用をお許しください。

ーー僕が意識したのが、本屋を「耕す」ことでした。(中略)
一つは、お客さまとのコミュニケーション。積極的にお客さまと本をめぐる会話をして、お客さまとの関係を耕していく。そうすることで、信頼関係が深まり、僕たちの提案も聞いてもらえるようになる。
本が詰め込まれた棚も、常に手を加えていくことが「耕す」ことになります。
みんな「当たり」が欲しいのです。「これは売れる」というものが欲しい。しかし、大事なことは、すでに売れている本を読ん仕入れることではなくて、売れる本を自分たちでどうやってきつくっていくか、ということです。その店の中できちんとプロセスを踏んでいかないと、実は本当は売れていかないのです。
そういうことを、一つ一つやっていくことが、最大限の売り上げを生む。いざ平積みにして売ろうというときに、耕してきたお客さまがいて、耕して来た棚を知っているお客さまがいるから売れて行く。耕されていないところに、突然ポンと置かれただけの本に、お客さまは反応できません。普段から耕されていることが大切なのです(41ページ)ーー

{454DFC2A-783C-4AD6-8F88-5EB337476ABB}

いかがでしょうか?
文中の「本屋」をあなたの店に、「本」をあなたが扱う商品に置き換えてみてください。
そのとき、お客さまと売場は耕されているでしょうか?
地域に密着して仕入れ商品を商う人には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)