農業、製造業、流通業――1次、2次、3次それぞれの産業機能を併せ持つことによって価値を高める6次産業への取り組みが各地で盛んです。

注目される多くの成功事例もありますが、注目されない多くの失敗事例もあることも事実。

成功の秘訣はどこにあるのでしょうか。

 


 

今日まで、東京・六本木にある福島屋六本木店店頭で、画期的なイベントが行われています。その名は「農菓プロジェクト」の創作和菓子コンテスト。

農菓プロジェクトとは、石川県の農家と和菓子屋の有志が新たな菓子文化を創造し、双方の業界の活性化を目指す日本初の取り組みです。

 

石川県の農業といえば「加賀野菜」「能登野菜」というブランド野菜で知られていますが、農産物売上順位は47都道府県中43位と低迷。

さらに6次産業化といっても、一農家が加工・販売までを自力で行うことは簡単なことではありません。

 

また、茶道がさかんな石川県は和菓子販売額日本一としても知られ、各店高い技術力を持っています。

しかし後継者不足による継続の難しさは、ほかの中小企業と変わりありません。

 

そこで両者がそれぞれの強みと資源を生かして活性化に取り組むのが「農菓プロジェクト」です。

農業者13社、菓業12社がタッグを組み、新商品の創作和菓子を開発。

そのサンプルを小売店店頭で販売、お客さんに「味」「見た目」「価格」の観点から上位3品を投票してもらい、消費者に広くPRするとともに、これからの商品開発に生かそうというものです。

 

農業と製造小売業という“異なる業種”だからこその難しさはあるでしょう。

お互いが自分勝手に主張してもダメだし、遠慮しても成功は望めない。

しかし、そこに確固たる目的があれば、互いの強みと資源が生きます。

業種を超えた協業に注目しています。