画期的な「なでしこ救済プラン」が一気に具体化した。活動を自粛している東京電力マリーゼが、J1ク


ラブに譲渡され来季から形を変え、再始動する見通しが立った。


 3月の東日本大震災、原発事故の影響を受けてマリーゼは活動を休止。今季なでしこリーグは1チー


ム減の9チームで行われている。マリーゼは選手全員が東電社員で福島第1原発で働いていた選手も


多く、原発事故が収束していないため活動再開のメドすら立っていない。なでしこジャパンのDF鮫島彩


が米国のボストン、MF斉藤あかねが浦和に移籍するなど複数の選手がチームを去ることを余儀なくさ


れた。残る選手15人は今も活動の場がなく、フットサル大会に飛び入り参加している選手もいるという。


すでに東京電力は撤退を表明しており、存続するには企業などにチームごと譲渡するしかない。


 そんな窮状に、受け入れ先として名乗りを上げたのが川崎Fだ。もともと女子サッカーへの理解が深


く、なでしこジャパンのMF宇津木瑠美(モンペリエ)もジュニア時代に下部組織に所属していた。複数の


関係者によれば、親会社の富士通を中心に女子リーグ参戦の準備をしているという。既に東京電力との


話し合いも進んでおり、近く譲渡案の骨子がまとまる見通しだ。練習場や施設などクリアすべき点も残さ


れているが、女子W杯優勝後、協力に興味を示すスポンサーも多く追い風が吹いている。


 マリーゼの選手は本拠地・福島への愛着が強く譲渡先の所在地にもこだわりがあり、比較的福島に


近い関東地区が優先される見通しだ。他にも鹿島、大宮、柏などが候補に挙がっており、特に鹿島は受


け入れに前向きな姿勢を見せているが、最も熱心な川崎Fが一歩リードしている。


 日本協会関係者も「まだクラブ名は言えませんが、譲渡する方向で進んでいます」と明言した。なでし


こリーグは9月下旬に来季日程を決める。そこが譲渡先決定の期限だが、それまでには交渉がまとまる


見込み。新チームは来季チャレンジリーグから参戦する。