国際関係を主軸としたブログではあるが、筆者は基本として、客観的に文化を理解することが国際情勢を解く鍵になると考えているので、文化論を中心に諸外国や日本の社会を分析、比較することが多い。単純に時事問題を並べて批評するのではこのブログの意味がないと思って日々書いている。そうしたブログは既にたくさんあるし、同じことを右に倣えでするなら読者に徹した方が良い。時に歴史、時に社会分析、時に文化比較をしながら国際関係を観ていきたい。

 さて、最近、優しさ文化と思い遣り文化の違いについて色々と書いた。しかし、こう書いても、日本人にはなかなかピンと来ないことが多い。それほどまでに思い遣りは日本の社会、文化では当たり前のものであるからだ。「全くないっていうのは言い過ぎじゃないの?」なんて言われることもあるが、一応、10年以上海外で生活している人間として断言するが、日本以外の諸外国には思い遣りは本当にない。繰り返すが「優しさ」はある。これは日本にもあるが、外国にもたくさんあるし、特に宗教を信仰している人は優しい人が多い。しかしあくまで優しさは思い遣りでないので、他者の立場に立って物事を考えることは絶対にない。しかし、親切にされたら嬉しいので、日本人は思い遣りと勘違いしてしまうが、実際全く違うものである。ちなみに、単語でも思い遣りと一致する言葉はない。筆者は英語、仏語、独語の知識が少々あるが、優しさ等を表す単語はあっても、やはり思い遣りに当たる言葉をついぞ見つけたことはない。そういう感覚がなければ、言葉としても存在しないのは当たり前である。

 思い遣りは客観的な思考が存在しないところでは成立しない。であるから、実は諸外国の中で唯一、これはあくまで筆者の経験による観察であるが、唯一、思い遣りに近い文化をもっている可能性があるのは、英国である。筆者による客観的観察では、日本を除く諸外国の中で最も日本に文化的に近いと言えるのは、英国である。あくまでも他国との比較においてではあるが。英国はリアリズムに代表される現実主義的な考え方の国として有名である。ドイツやフランスはそれに比して、観念的、理想主義的であるされる。こうした英国の現実主義が、客観主義と同じ意味合いを含むことを考えれば、英国に思い遣りが存在することは充分説明がつく、ただし、それでも日本のそれと比較したら大分違ってくるであろうが。

 ちなみに、良く聞く話で、日本は素晴らしい、外国とはこんなに違う、ということで、様々な具体的な事例が紹介されたりするが、これはようするに、諸外国には完全にかけている思い遣りがあるからである。具体例を100出すよりも、本質的な話をするのであれば、この思い遣りの有無の違いの一言で説明は終わる。外国人が日本に来て感動するのも、感覚的にこの思い遣りを体感するからであり、日本人が海外でうんざりするのも、感覚的にこの思い遣りの欠如を体感するからである。

 誤解のないように強調するが、これはあくまでも客観的観察であり、思い遣りがないという事実を客観的に観察しているだけで、その事実をもって諸外国を主観的に裁いている訳では断じてない。良いとか悪いとか、優れているとか劣っているとか、そういうことでは全然ないのである。何故そうなったのか、歴史を紐解いても中々結論はでないかもしれないが、長い歴史をかけて育んで来た伝統文化がただ、「そういうもの」というだけの話である。日本には思い遣りが育まれ、諸外国にはそれが発生しなかった、ただそれだけの「客観的事実」である。強調するが、主観的判断、つまり優劣の話では全くない。こう書いても、主観度の強い人は、すぐに主観的判断と判断するが、ここはきちんと理解していただかないと話が進まなくなる。

 筆者は10年以上海外で生活しているが、これは偏に、思い遣りが全くない外国での生活が、それはそれなりに面白く、楽しいと主観的に感じているからである。別に彼らが日本人より劣っているとか思うことはない。ただ、そういう文化でそういう人たちと思って生活しないと、ものすごく疲れることは疲れるが、それさえわかっていれば、それほど疲れることはないし、それなりに楽しめるものである。まさに、彼を知り己を知れば百戦して危うからず、である。

 国際結婚で成功しているケースもあるので一概には言い切れないが、外国で外国人男性と結婚して泥沼の離婚劇をする日本人女性は、ようするに外国人にこの思い遣りがないことをきちんと理解せずに結婚したからであることは以前に述べた。外国人と海外で結婚して離婚する日本人女性は、ほんとーに多いのである。離婚して逃げるように帰国する女性も後を絶たない。また、この思い遣りの欠如をきちんと理解せず、感覚のみで感じている人(ほぼ全員の日本人だが)は、ものすごく外国人の悪口を言ったり見下したりバカにしたりしていることもある。また思いっきり批判したりする。それもそれを外国人に直接したりするので、観ていて非常に見苦しかったりする。

 国家間の付き合い、国際関係についても全く同じ構造が適用されることを次回話したいと思う。

 今回も読んでいただき、ありがとうございます。

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