午前中はO.G.C.NICE Cote d’Azur FootballのスポーツディレクターRoger氏とミーティング。
現場で新しい選手の獲得や評価の為にどのようにデータや分析ソフトを活用しているか?
各コーチのデータに対するリテラシーはどんなものか話を聞いた。
Roger氏も好き嫌いは別にしてデータや個別選手を編集した映像は必要欠くべかざるものとの認識だった。最終的に選手の獲得は自分の目でするもののそこにいくまでのプロセスの効率性と精度が飛躍的に上がることは間違いないとのこと。
この辺の話は当然そうだと思うしその立場の人がどう思うかと言う意識の問題だと思っていたので彼の話を聞いてホッとした。昨日もそうだったがやはり印象的だったのがコーチングスタッフのデータとITに関するリテラシーの高さだった。
ここニースでも驚くほど各コーチが分析ソフトを駆使しデータを出し、分析しトレーニングと戦術に活かしている様だ。
ではそのデータはどんなものか?
その分析ソフトはどんなものか?
その足でそれらを提供している会社に視察に行った。
1995年に設立されたSports Universal Processは選手、レフェリー、ボールの追尾システムのリーディングカンパニーで今シーズンは欧州45のクラブでそのシステムが採用されている。
モナコでもニースでもコーチやスポーツディレクターが扱っていたのがまさにそのソフトだった。
社長とその他主要スタッフとのランチの後、会社概要のプレゼンを受け、その後システムの詳細の説明を受けた。
昨日のマンチェスターU対バルサの試合があまりにも素晴らしく、その中でもパクチソンの動きが印象的だったので出来立てのほやほやのデータを見せてもらった。
その試合で当然1番の運動量と思っていたが実は一番走っていたのがバルサのシャビで12,000M台後半の走行距離。2006-2007年のCLのCentral MFの平均走行距離が11,556.7Mだからまずまずの数字だ。
そして次がパクチソンで12,000M中~後半の距離。
「いや、もっと走っているはずだ!」
そう思って他の数字も見てみると、時速21Km~24km+24Km以上のスピードでのダッシュの数が44回と他の選手を圧倒している。このハイスピードのダッシュとダッシュとの間の平均時間も1分台と他の選手の2分台よりも短い間隔でハードワークをこなしていた。
「昨日の彼の頑張りの印象はこれだったのか!」
因みに昨年のCLの中盤の選手のデータは27~28回だった。
こんな事が分るとフィジカルコーチは、
「この選手は日頃のフィジカルテストで本来ならこれくらいのハードワークが可能なのだが試合では出来ていない。戦術上の問題ではないとすると何が原因だろう?」
あるいは、
「このポジションではこの位の運動量が要求されるがそれが十分ではない。技術的には良い物を持っているのだがフィジカルが原因でそれをゲームで発揮出来ない。その部分を向上させよう。」
といった観点でトレーニングを組み立てる事が出来るわけだ。
欧州で活躍している日本人選手のデータも見せてもらったがこれもまた興味深かった。
中村俊輔選手も松井大輔選手も今シーズンで12Km以上走っている試合が“何試合”かあった。
二人とも運動量に特徴がある選手とは思っていなかったので「結構走っている試合もあるんだなあ。でも10Kmに満たない試合もあるし結構むらがあるなあ。」などと感じながらデータを見ていた。
例えば中村選手が非常に長い距離を走っていた試合はCLの試合、松井選手の場合はチームがその当時非常に近い順位のチームとの試合だったりダービーだったり。
「やれば出来るんだからどの試合でも常に一杯一杯まで頑張ればいいのに。」
何てことも分ってしまうわけだ。他にも色々と学んだし刺激も受けたがランチ後18時過ぎまで続いたミーティングの内容はとても書き切れないのでまた何かの機会に紹介出来ればと思う。
ここまで最高のアレンジをしてくれたRomeinとAngelliqueとはこの日でお別れ。
Bon travailler! Merci beaucoup! Et Au revoir!!