データスタジアムのサッカーデータチームからの報告によるとJリーグ2006シーズンの実際の試合時間(以下アクチュアルタイムという)は、1試合平均、J1で56.02分、J2で54.06分、J平均で55.03分という結果だった。

2005シーズンに比べてJ1では2.22分、J2でも1.82分伸び、前年比で103.68%だった。

またシーズン中に開催されたドイツW杯の1次リーグのアクチュアルタイム55.08分比較してもやや上回る結果となった。


1. クラブ別に見ると、J1の大宮、大分、J2の東京V、神戸を除き、前年よりもアクチュアルタイムが伸びている。4分以上伸びたのは、鹿島、鳥栖、仙台。3.99の横浜FC。

東京VはJ1でこれでもかという程細かなパスを繋ぐサッカーを行っていたが、J2に降格し、小林大吾、慶行、林健太郎等ボールが収まる選手が出て行ってしまったこと、J2特有の守って縦に速く効率的に攻めるという意味でロングボールでの展開に巻き込まれたことが原因でアクチュアルタイムが短くなったのだろう。神戸も近くでサポートしていたので良く分かるが、最終ラインからのロングボールが劇的に増えたこと、相手に与えてしまったセットプレーに対してはかなりしっかりとマークの確認等事前の対応を行っていたためにそこでの時間が多くカウントされたのだろう。


2. 得点が多いと、得点後の喜びのシーンが増え、アクチュアルタイムが短くなりがちだが、J1、J2とも1試合あたりの得点数は増えており(J1で前年比111.8%、J2で101.86%)、ゴールが増えた割りに、ボールが動いている時間即ちアクチュアルタイムも増加したという結果になった。ゴールの後の行き過ぎたパフォーマンスに対してカードが出るようになり選手がかなり自粛した結果だろう。

3. それでも得点後は喜ぶシーンがあるので、アクチュアルタイムは得点と失点の数に影響を受けるという仮説を立てるために、得点+失点データの数値を出してクラブ別に比較してみるた。

J1】最も得点の入る川崎の試合のアクチュアルタイムが短いのは仮説を証明する形になるが、2番目に得点が多いG大阪が、アクチュアルタイムでも2番目に長い試合を行っているのは仮説を証明できない。

→この2つのチームに関してデータを細かく見ると川崎は1試合あたりの得点と失点の合計が4.09点でJ1トップとなっている。さらに1試合あたりの販促数が19.5となっておりこれは18チーム中8番目の多さとなっている。つまり「ルールに則ってプレーが中断する時間が長かったこと」即ちアクチュアルタイムが短かったことになる。

面白いのがガンバで得点と失点の合計が3.76で川崎についで2位だったが反則数はJ1最小の15.1(1試合あたり)だった。ガンバの試合を見た人はスピーディーなパス回し見てサッカーの醍醐味を感じると思うが、得点するための経緯が単にゴールへの最短距離だけを常に狙うのではなく、ボールを動かすことによってゴールへの花道をこじ開けるサッカーをしている。さらに反則数の少なさから実質プレー時間は自然に増えたことも大きく起因している。

こうしてみると、仮説は原理原則としては成り立つが、サッカーのやり方で必ずしも成り立たない場合もあるが、それでも成り立たない理由は十分に説明できるレベルであることが分かる。

次回はJ2や、その他の視点で分析してみる。