肺結核に注意 続編 | レッシュドクターのブログ

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昨日の続きです

現在70歳以降の方が若い頃には今よりもっと結核が流行っていたので、既に感染していて体内に菌を持っている方が多いのです。

一方、今の50歳以下ぐらいの世代ではすでに結核の流行期は過ぎていたので、自然に感染している人の割合はグッと少なくなります。

つまり、結核菌に対して免疫を持っている人が少ない世代といえます。

ちなみに、子供の時にやりましたね、ツベルクリン反応とBCG予防接種。

ツベルクリン反応は注射したところにできる赤い斑点の大きさをはかるものですが、あれは結核菌に対する免疫を持っているかどうか、調べる検査です。

つまり赤い斑点ができず反応がない人は結核菌に対する免疫がないことを意味します。

ツ反陰性者が結核菌を吸い込むと、免疫がないためすぐに感染してしまうというわけです。

BCGは何かというと、毒性を弱めたウシの結核菌です。

覚えている方も多いと思いますが、あのハンコ注射で、結核の免疫がない人に免疫をつけることが目的です。

私たちが子供の頃はツ反陰性の場合にBCG注射を行っていましたが、2005年からはツ反は行わずに全員にBCG注射を行っています。

しかしBCGの免疫構築効果は10年ぐらいともいわれていますので、大人になると結核菌に対する免疫が弱かったり、なくなったりする人が増えてきます。

昔感染して体内に結核菌を持っているお年寄り達が老化やがんなどによって免疫力が低下し、再活性化を起こして菌を排出するようになり、その菌を免疫がない若者が吸い込んで感染が拡大するというパターンが多いのです

もし病院内で結核患者が発生してしまうと、他の低免疫力の患者さんや結核菌に免疫を持たない医療者に爆発的に感染が拡大してしまうことになり、大問題に発展します。

そこで病院や開業医さんでは、ご高齢の患者さんが熱を出して咳や痰が出始めたら、まず結核を疑って痰の中の結核菌検査を行うことにしています。

少なくとも痰の中に結核菌がいなければ、差し当たり他人が吸い込む危険は限りなく低いと言えるからです。

これがもし普通の風邪や気管支炎などと思って1週間も普通の薬で治療をしていると、その間にその患者さんに接したヒト全員に結核が感染してしまう危険があります。

最近も一か月近く咳・痰・微熱が出ていたおじいちゃんと同居していたお孫さんに結核菌が感染して結核性髄膜炎を起こしてしまった、という事例を経験しました

結核は過去の病気ではないということを覚えておいてください


おまけ:早く行こうよ~ by あいちゃん