産経新聞に「日本企業の知的財産を守る『秘密の金庫番』来年度からスタート」という営業秘密関係の記事が載っていました。


「営業秘密の開発時期と内容を暗号化したデータを専用サーバーで保管」というのは、タイムスタンプの秘密鍵のことでしょう。


サーバーからデータが盗まれると、営業秘密も盗まれるように読めてしまいますが、秘密鍵だけ盗んでも、営業秘密は復元できません。


営業秘密は顧客が管理し、INPITに預けた秘密鍵と合わせると、タイムスタンプにより日時が証明されるという仕組みです。


なお、タイムスタンプを押しただけで、営業秘密としての保護や先使用権の抗弁を主張できる訳ではありません。


営業秘密であれば、①秘密管理性、②非公知性、③有用性

先使用権ならば、①自ら発明をし又はその者から知得し、②他社の特許出願前に実施又は実施の準備、③発明の範囲、④実施の目的の範囲

という要件を満たす必要があります。


http://www.sankei.com/west/news/150721/wst1507210012-n1.html

 特許庁が、暗号化された企業の営業秘密のデータを保管する“金庫番”の無料サービスを平成28年度から始めることが20日、分かった。産業スパイによる情報流出やサイバー攻撃が社会問題になるなか、日本企業が持つ知的財産の保護を強化する狙い。一方、民間団体も有料で情報流出を防止するサービスを展開しており、営業秘密の管理への取り組みが活発化している。


 日本では特許を出願すると、1年半後に出願した技術内容が公開され、模倣の危険にさらされる。そのため、極めて重要なノウハウについてはあえて特許を出願せず、秘匿するケースが増えている。


 ただ、特許を出願していないと、営業秘密が奪われて訴訟などを起こす場合に、企業はそのノウハウをいつから保有していたかを示す証拠を示しにくいデメリットがあった。


 特許庁はこうした課題を解決するため、営業秘密の開発時期と内容を暗号化したデータを専用サーバーで保管。政府機関の管理により、裁判でも使える有力な証拠を残す仕組みを整える。



以下は、INPITによるタームスタンプの公募内容です。

http://www.inpit.go.jp/kobo/anken/h26/h270309.html

(1)公募の内容   
 独立行政法人工業所有権情報・研修館(以下「情報・研修館」という。)では、タイムスタンプ認定事業者(一般財団法人日本データ通信協会の時刻認証業務認定事業者)(※)が発行したタイムスタンプトークン(TST)を、ユーザの申請に基づき長期間安全にユーザのバックアップとして保管し、ユーザがTSTを必要とした場合に、保管されたTSTを提供するタイムスタンプ保管システムを構築する予定である。


 タイムスタンプ保管システムの構築にあたっては、ソフトウエアの設計・開発及びシステムの運用事業の請負先を、総合評価方式による一般競争入札により選定することを予定しており、本事業はタイムスタンプ保管システムの設計・開発・運用事業の調達に関し、調達仕様書の作成支援等調達に関する支援業務を行うための事業者を公募型企画競争により選定するものである。