おはようございます。
私の事務所にも、昨日「今後の弁理士制度の在り方に関するアンケート調査」が届きました。
これは、特許庁が一般財団法人知的財産研究所へ委託して行う、弁理士法改正に関係するアンケート調査です。他に、弁理士のクライアントである企業知財部向けアンケートもあると聞いています。
弁理士試験制度の改正、著作権登録など周辺業務の拡大、一人特許業務法人、外国での秘匿特権、弁理士単独での特定侵害訴訟代理など、改正事項案として聞いたことのある話がほとんどでした。
弁理士法の改正については、ある程度話が進んでいるようです。アンケート結果と改正案の方向性にずれがないことを確認して、概ねその方向で改正しましょうという話だと理解しています。
特定侵害訴訟の単独代理には反対しておきました。弁理士会研修所で能力担保研修部の仕事もしていますが、弁理士が侵害訴訟を単独代理にするには、実力・実績不足で、まだまだ時期尚早と感じるからです。
ところで、私が論文答練の添削業務をしている受験機関から、最近、受講生から、添削内容についてのクレームや再添削の依頼等が頻発しており、添削者を集めた説明会を開催するという案内が来ています。
幸い、自分の添削にはほとんど苦情等はなかったようですが、残念ながら添削者の中には、丁寧な添削をしていない方や、実力不足で模範解答以外の別解を知らない方もいるようです。
弁理士法の改正とも関係しますが、以下のように現行試験は問題点が多いと感じています。
(1)短答試験は約6割の37点程度で、2年間短答試験が免除されます。
短答試験は適当にマークしても正解する場合があり、6割程度の得点では、知識の半分近くがあやふやということになります。そういった方が翌年以降短答免除になると、さらに知識不足になります。
(2)論文必須科目は特実、意、商の4通のみ。
論文答練のように12回試験で16通程度書いてもらえば、実力が良くわかりますが、1日の4通のみでは、たまたま得意な問題が揃えば、合格点に達してしまいます。
16通は無理でも、やはり2日間で8通位は書くようにしないと実力が計れないと感じています。
(3)口述試験も、合格率約7割と昔に比べて厳しくなってはいますが、短答と論文がまぐれでも合格できる制度になっており、不合格者が多いのはその影響もあります。
厳しいといっても6割以上の方が受かる試験ですから、運良く2科目答えられる問題が出れば、最終合格できてしまいます。
直前期の論文模試を採点した感触では、良くできている方は1割程度で、論文受験者が3000人とすると、300人位が成績優秀という感じです。
ただ単純に合格者の人数を減らすのではなく、実力を計れる制度にする必要があると思っています。
なお、論文試験に条約が入るという噂もあります。日本の内々出願が減り、外国への内外出願が増えている状況を鑑みると、その可能性は高いと予想しています。