今回は、野村総合研究所の子会社が提供するデータベースを採り上げます。 NRIサイバーパテントデスク2です。

http://www.patent.ne.jp/service/patent/index.html


NRIサイバーパテントは、PATOLISを除くと、国内で最も歴史のある民間の特許データベースです。サイバーパテントデスク2へバージョンアップする前は、近傍検索ができないなど、新しい商用DBに比べて見劣りする部分もありましたが、バージョンアップされ、他社DB並みになりました。


NRIサイバーパテントのメリット

1.昭和46年以降の公報について、全文を対象とした検索ができる。

2.自然文を用いた概念検索が可能。

3.パテントファミリー情報が充実しており、INPADOCの経過情報も日本語で見られるため、わかりやすい。

4.公報一括ダウンロードが一度に500件まで可能。番号入力も1000件まで入力でき、色々な形式に対応しており、使いやすい。ダウンロードも高速。

5.遡及公報についても経過情報が収録されており、IPDLに比べて優位性がある。

6.テキストは、検索ワード以外でもハイライト表示が可能。

7."^"をつけることで、下位分類を含めた検索ができるようになった。

8.米国公報の和文抄録が収録されており、米国特許の概要をつかむのに便利。

9.前(株)、後(株)などを区別した検索ができ、出願人・権利者の検索が充実している。


NRIサイバーパテントのデメリット

1.平成11年前の公開公報番号リストが、西暦で表示される。例えば、特開1995‐123456(本当は特開平7-123456)。これは非常に恥ずかしい。御社の社長も弁理士なのにね。

2.公報めくり時に、もっさり感があり、遅く感じられる。また、2画面表示では、肝心の公報内容が見にくい。

3.集合演算のインタフェースが使いにくい。また、履歴集合が2日程度で消去されてしまい、プロユースには?。

4.概念検索が、要約または請求項を検索対象としているため、全文を対象とするパトリスや日立、リコーのDBに比べて精度が劣る。

5.米国や欧州、PCT、中国、韓国特許の検索も可能だが、おまけ的で外国特許DBには敵わない。

6.色々オプションをつけると、1ID当たり月額が5万円程度になり、割高感がある。大量導入時に割安な法人プランもあるが、機能が制限されるなど、中途半端な感もある。

7.実用新案をテキスト検索できるのが、昭和61年以降で、構造系の無効資料調査時には不便。


NRIサイバーパテントデスクは、どちらかというと研究開発者など、知財のプロでない方を対象とし、使いやすさに重点を置いたDBと思います。確かに公報ダウンロード機能は便利ですし、経過情報やパテントファミリー情報は見やすく作られています。ただ、サーチャーなど専門家にとっては、やや中途半端感があります。