「ねー」
「Bリーグの開幕戦を見たんだけれど。テレビで」
「ああ、盛り上がってたねえ」
「ブロンコスの旗あった?」
「・・・・・なかったよな」
「説明しよう!」
「去年の夏前のことじゃ。
最後のシーズンを前に執り行われたbj修学旅行のバスから、
うっかり何チームかが転げ落ちたのじゃ。どうせ隠れて酒でも飲んでおったのじゃろう」
「落ちたって。つかその口調なに」
「語り部です。で、そのひとつが我らが埼玉ブロンコスなのじゃ。
落ちたやつらはもちろん地獄行なのじゃ。
地獄に落ちたからにはBリーグ開幕戦に旗が立つ道理もないのじゃ。
bjの功労者として魂ぐらいは体育館の上空をふわふわ漂っておったかもしれんがのう。
20年間よう頑張ったな。皆で冥福を祈るのじゃ」
「こら」「こらこらこら」「生きてますよ!」
「あ、いた。」
「地獄に落ちて途方に暮れていた僕らの前に、TOKIOのボーカルみたいな赤鬼が
<俺の~右腕は~♪ジョーダンの左腕~♪>とか変な歌を歌いながらあらわれて、
『おいお前ら!B3に入れ!』と言うのです」
「ビーチサンダル」
「ビースリーだと思うよ。で?」
「なんでも、地獄にもバスケ大会があってですね。そこでいい成績を収め、
なおかつ閻魔大王様のお眼鏡にかなえば、
現世に転生することも夢ではないそうなのです。
何しろ地獄なので、いろいろ緩くてかえって楽しそうだという意見もあります」
「よかったじゃん。参加するんだろ?」
「え?」「もちろん」「断りましたよ」
「なんでだよ!」
「えー」「だって」「bjのオリジナル6としてのプライドが」
「そういうことをどの口が言う」
「お前らは俺たちの代表でもあるんだからな。しっかりやってとっとと現世に帰ってこい」
「はーい!」「がんばります!」「僕らにも意地がありますからね!」
「B3のオリジナル9としての誇りを胸に!」
「そこは誇らなくていいところだぞ」
「すんません」