南部の人種差別 | アメリカ片田舎の毎日

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皆さんの知っているアメリカとは全く離れたところで生活しています。こんなこともアメリカでは起きるのです。

旦那はおばあちゃんのお葬式で、出身地のアラバマに帰っています。私たちは行きませんでした。旦那は小さいころおばあちゃんがかなり世話をしてくれたらしいので、お葬式は欠席できません。


こういう私もアメリカに来て一年以内に大好きだった母方のおばあちゃんが亡くなりました。でも両親はそのことを一週間も私に言ってくれなかったのです。どうせ帰ってこれないと思って、と言う理由で。私はすっごく腹が立ちましたけど。


まあ話が横にずれてしまって。人種差別の話でした。アラバマは Deep Southと呼ばれる州のひとつです。後は、いろいろ説があるようですが、私の感覚ではアーカンソー、ミシシッピー、ルイジアナ。説によってはこれにサウスカロライナ、ジョージア、フロリダを入れることもあるらしい。いまだに人種差別が根強く残っているところです。


旦那の出身地のセルマでは人権運動の有名なマーチがあったと書きました。この夏にはそのマーチを記念して、集会があり、大統領候補のバラックオバマさんとヒラリークリントンさんが、訪れていたようです。


私はアメリカに来ても人種差別で嫌な思いを直接したことは余りありません。女だし、日本人だからかな? と思っているのですが、男子留学生は嫌な経験をした友達もいました。大昔の話なので今ではどうなんでしょうかね。


旦那はアメリカ人ながら、やはりアフリカンアメリカンと言うことで、時々差別されることがあったようです。でもこのあたり、中西部の差別は本当に微妙なことです。たとえば、スーパーに行ってチェックを書いたときに私は身分証明書を見せろと言われないけど、旦那はいつも見せろと言われたり。また、知り合った人に私は招待されるけど、旦那が黒人だとわかると突然何も言われなくなったり。


でもほとんどの毎日が差別など感じることのない生活です。特に旦那は妻の私が言うのもなんですが、すごく良い人で、みんなから好かれているし、まじめ一徹なのが身からにじみ出ているような人なので、信頼もされています。


私は始めてアラバマに行ったのが2001年でした。すぐに気がついたのが、人種の混じったグループを商店街や、レストランでは見かけなかったことです。人種に基づいて雇用するのは、法律で禁止されているので、店などではいろんな人種の人が混じって働いています。でもプライベートな時間で人種が交じり合っていることを見ないのです。中西部のこのあたりでは、白人と黒人が一緒にジョギングしていたり、レストランではアジア人、黒人、白人、ネイティブアメリカンが一緒のテーブルで食べていたり、混じっています。アラバマではそのような光景は全然見かけませんでした。


アラバマから中西部に帰る途中、小さなガソリンスタンドに寄ったときにも差別を強く感じました。対応する店員の態度から、嫌われているのがすごく滲み出ているのです。言葉では説明できないけど、何でこんなところにいるのよ、と言っている感じ。ガソリンが買いたいからだよ。あほ。と言ってやりたかった。


また逆に黒人が白人を毛嫌いするケースも多いようです。息子などは、友達はほとんど白人で、皆と仲良くしていますが、いとこは白人は嫌いだとはっきり言います。嫌な思いばかりしてるとこうなるんでしょうけど、これもいけないです。逆差別(Reverse Racism)です。この子、中西部でしばらく過ごして、ほとんどの白人がいい人だと言うことを知って欲しい。


私達の世代のアメリカ人は、差別はいけないと学校で教えられて意識して差別しないように育った人が多いみたいです。でも子供の世代は、差別無しが当然のようになっているので、学校ではあまり言いません。かえって人種に対する意識が私達の世代より強いのでは?と感じることがあります。例えば息子は黒人なので、スポーツがすごく上手だと勝手に思われていたり(本当はすごく上手とはいえないのに)、半分日本人だとわかると、皆からコンピューターがすごく得意だと思われたり(使うのはいいけど、プログラミングなんて出来ないのに)。


私は人種差別などで嫌な思いをしたときは、私が悪いのでなく、そんな考え方をする人に問題があるのだと思うようにしています。哀れな人たちだと思うと怒りも薄れてくるからです。この考え方は旦那から学びました。きっと今までいろんな経験をしてきてここにたどり着いたのでしょう。親の気持ちとしては、息子にはそんな嫌な経験をして欲しくないと思うけど、きっといろんなことがあるんだろうな。強い人間になって、人種差別などに負けない人間になってもらいたいと思っています。


もちろん南部の人たちが皆差別するわけではありません。南部が全部こうだと思うとそれこそ差別です。また2001年と、2004年に行ったとき際の経験を比べても少しずつは良くなってきているようです。やっぱり進歩ですね。
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この橋は今でもあります
                        1965年3月7日にマーチが行われました。

町並みも余り変わらない
                             セルマはすごい田舎です。