こんにちは、欧州車コンサルティングの井岡です。
いつも雑誌や批評家に受けの悪いクルマでも、いいところばっかり書いてるけど、たまには本当に手を出してはいけない車の話も。
フェラーリの傘下に入る前のマセラティと言えば、少し知ってる人なら手を出してはいけないクルマの代名詞であることは、今更言われるまでもないと思う。
ジャガーみたいに、実はこのモデルだったら、とかそういう例外はなく、やっぱりダメです。
ビトゥルボというのは直訳すると「ツインターボ」
マセラティの車名ってこういうのが多い、「クアトロポルテ」なんかただの「4ドア」。
近年、フェラーリの傘下に落ち着いてから、そのポジションがウヤムヤになってきてる気もするけど、元々モデナの名門、北イタリアの盟主だった。
60~70年代にはギブリ、ボーラ、メラク、インディ…と数多くのスーパーカーを輩出してきた。
そんな中、80年代にシトロエンの傘下からデトマゾ傘下に移行したときのスマッシュヒットモデルがこの「ビトゥルボ」
イタリアンテイストむき出しのレザー張りのインテリア、我が国のカローラに毛が生えたような車体にツインターボ加給されたエンジン。二つと無い独特の魅力を放っている。
日本でも当時結構人気があって、台数は多かったりする。
そして、どこが壊れるって、全部(笑)
ハンドルは壊れる、ホーンが鳴りっぱなしになる、ヒューズボックスは炎上する、雨漏り、ガソリン漏れ、電装系の不具合、錆による穴あき…
もう、何でも来いの世界。
恐るべき低信頼性なので、素人がうかつに手を出してはいけない。
素人ではなくても、修理する金銭的余裕が無いと、やっぱり手は出せない。
もし、果敢にもチャレンジするのであれば、このクルマのことを熟知した専門店で購入するしか無い。
専門店に話を聞くと、壊れる箇所だけでも本が2冊くらい書けるらしい。
本当にどうしようもないクルマなんだけど、その獰猛なハンドリング性格、スタイリング、グリーンハウスの強い絞りと、エレガントなディテールとのギャップの美しさ、このサイズのクーペの見本のような形をしている。
それでいて、厄介で手を出せないというところが、またその魅力を一段と押し上げてるようにも思う。
まさに、甘い甘い毒りんごのようなところかな。
行ってしまうと、途中では引き返せない。
でも、一度は行ってみたい。