こんにちは。院長です。
 
3月の月半ばも過ぎ、年度末のせわしなさや寒暖の差の激しさが影響しているためか、このところ口唇ヘルペスで受診される方が増えています。
 
口唇ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルスによる感染症で、その中でも特に口の周りに症状を認めたものを指します。
 
皮膚科診療のなかで、最も遭遇する機会の多いウイルス感染症の一つです。
 

具体的には、口の周り、口唇と皮膚の境目、口唇そのものなどに赤い発疹がでて、そのあとその赤い発疹の上に水ぶくれをつくります。
 

 
 

 
人を住みかとして増殖するウイルスで、以前ブログに書きました、帯状疱疹(http://ameblo.jp/0927538119/entry-12202245231.html)・水疱瘡の原因となるウイルスの親戚にあたります。
 
一度感染を起こすと、体の中から出ていかず、こちらもやはり神経の中を好んで住み続け、宿主が弱ったときに神経の中で増殖し、その後皮膚にまで増殖して症状が出現してきます。

 
 
(単純ヘルペス、帯状疱疹などはまとめてヒトヘルペスウイルスと呼ばれており、現在9種類
が知られています。そのうちのひとつが口唇ヘルペスを引き起こすウイルスと帯状疱疹・水疱瘡を引き起こすウイルスにあたります。)
 
 
 

単純ヘルペス(Herpes Simplex Virus 以下 HSV )は主に、接触感染でうつります。 
水ぶくれや破れた後のびらんや、唾液を触ったり、くしゃみをして飛んできた唾液からうつったり
 
また、直接ではなくても、水ぶくれを触った手で扱った遊具や器具についているウイルスを、他のヒトがさわることで感染することもあります。
 
 
単純ヘルペスは全身どこにでもうつりますが、特に感染してから発症した部位によって病名が異なり、
 
 唇に出現 ➡ 口唇ヘルペス
 
 唇以外の顔に出現 ➡ 顔面ヘルペス
 
 お尻に出現 ➡ 臀部ヘルペス
 
 外陰部に出現 ➡ 陰部ヘルペス
 
 
というような具合です。
 
 
顔では三叉神経に感染を起こします。
 
この神経は 顔のあちこちに走っているのですが、ウイルスは口の周りの神経を好むため、口唇周囲に皮疹がしばしば出現します。
 
 

このウイルスは種としての保存を目的にしているためか、感染したことを宿主である人間に気がつかれないようにするためなのか、初めて感染を起こしたときに(初感染) 無症状であることが大半です。
 
しかし症状が出現するときは ヘルペス性歯肉口内炎 と呼ばれ症状が重くなります。
 

 
 
 
 
一度感染したあとは生涯にわたり神経の中に潜んでいるのですが、体が弱っている時や紫外線に暴露したあとに、神経の中で増殖し(再活性化)皮疹を生じます。
 
 
 
何度も感染を繰り返されている方は、慣れてくると「皮疹がでてくる前からのむずむず感」などの症状を認めることもあります。
 
 
治療は HSV の増殖を抑えることが目的になります。
抗ウイルス薬を使用することで治るまでの時間を短くすることができます。
 
軽度な場合は外用だけで治療することもありますが、やはり内服の方が治療期間は短縮しますし、また、次にウイルスが再び活性化する頻度を減らせる可能性もあります。
 
(内服外用の選択に関してはご本人と相談しながら処方しています)
 
 
この季節は 受験、人事異動、卒業など、人生での様々なイベントが重なります。 
ご自分で思っているよりも体に負担がかかっていることもあります。
 
睡眠、休養は積極的に取るようになさってくださいね。 
 
また、露出部位である顔面は、紫外線にも特に注意が必要です.(紫外線には免疫を低下させる作用があります)。
 
この時期はもう紫外線が強くなり始めています。 
お花見など外に出られることも増えるかと思いますが、遮光にもお気を付けくださいね。
 
浄水皮ふ科クリニックHP http://josui-hifuka-clinic.com/