人身事故~私 | たっくんぽっぷの小さな家

人身事故~私

楽しいはずの金曜の夜に、思わず遭遇した人身事故。
この連載は嫌な気分になるはずですので、読む場合は注意してください。


さて、床下から聞こえる女性の叫びに、私の身は固まりました。しかも声は私の足下から1mも離れていないところから聞こえました。地下鉄は車輌の壁沿いに向かい合わせで席があり、声が聞こえるすぐ上の席には、私と同年代の女性が座っていました。私から見て左斜め前という位置でした。
女性の顔は青くなっており、床を見る事もできず、かといって顔をあげる事もできず、どこを見ていいのかわからない様子でした。
その時、車内ではなく駅構内にアナウンスが流れます。
「お急ぎのところ、大変申し訳ございません。ただいま仙台駅にて、人身事故が発生いたしました。全車輌の運行を停止いたしております。」
いや、いいから助けてやれよ。
その間にも床下からは「だずげでぇー…」と、涙交じりの叫び声が聞こえていました。
そして駅員がやってきて「大丈夫ですよ。大丈夫ですよ。」と声をかけ始めました。
私は、もし、被害者が電車と線路に挟まれていたらと思うと、意味はないけど、せめて荷重が変わらないように、身動きしないで指示を待とうとしていました。
~続く