分離処分可能規約は建物区分登記の添付情報ではありません3 | 土地家屋調査士受験!カネコのちょっと役立つハナシ

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不動産登記令のお勉強をしましょう。



まずは,土地からです。

地積測量図は,土地の分筆の登記の申請に際し提供する添付情報であるが,土地の合筆の登記の申請に際し提供する添付情報ではない。

どうしてですか?

下記のとおり,不動産登記令別表に,分筆の登記では添付情報として規定されており,合筆の登記では添付情報として規定されていないからです。

不動産登記令別表第八の項;分筆の登記の添付情報欄

イ 分筆後の土地の地積測量図

ロ 地役権の登記がある承役地の分筆の登記を申請する場合において,地役権設定の範囲が分筆後の土地の一部であるときは,当該地役権設定の範囲を証する地役権者が作成した情報又は当該地役権者に対抗することができる裁判があったことを証する情報及び地役権図面

不動産登記令別表第九の項;合筆の登記の添付情報欄

地役権の登記がある承役地の合筆の登記を申請する場合において,地役権設定の範囲が合筆後の土地の一部であるときは,当該地役権設定の範囲を証する地役権者が作成した情報又は当該地役権者に対抗することができる裁判があったことを証する情報及び地役権図面

もしも,地積測量図が合筆の登記の申請における添付情報となるなら,上記第九の項に添付情報として示されるはずです。



次は,建物です。

分離処分可能規約は,区分建物の表題登記の申請に際し提供する添付情報であるが,建物区分登記の申請に際し提供する添付情報ではない。

どうしてですか?

下記のとおり,不動産登記令別表に,区分建物表題登記では添付情報として規定されており,建物区分登記では添付情報として規定されていないからです。

不動産登記令別表第十二の項;建物の表題登記(十三の項及び二十一の項の登記を除く。)の添付情報欄

イ 建物図面

ロ 各階平面図

ハ 表題部所有者となる者が所有権を有することを証する情報

ニ 表題部所有者となる者の住所を証する市町村長,登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては,これに代わるべき情報)

ホ 建物又は附属建物が区分建物である場合において,当該区分建物が属する一棟の建物の敷地(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第五項に規定する建物の敷地をいう。以下同じ。)について登記された所有権,地上権又は賃借権の登記名義人が当該区分建物の所有者であり,かつ,区分所有法第二十二条第一項ただし書(同条第三項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規約における別段の定めがあることその他の事由により当該所有権,地上権又は賃借権が当該区分建物の敷地権とならないときは,当該事由を証する情報

ヘ 建物又は附属建物について敷地権が存するときは,次に掲げる情報

 (1) 敷地権の目的である土地が区分所有法第五条第一項の規定により建物の敷地となった土地であるときは,同項の規約を設定したことを証する情報

 (2) 敷地権が区分所有法第二十二条第二項ただし書(同条第三項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規約で定められている割合によるものであるときは,当該規約を設定したことを証する情報

 (3) 敷地権の目的である土地が他の登記所の管轄区域内にあるときは,当該土地の登記事項証明書

ト 法第四十七条第二項の規定による申請にあっては,相続その他の一般承継があったことを証する市町村長,登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては,これに代わるべき情報)

不動産登記令別表第十六の項;建物の分割の登記,建物の区分の登記又は建物の合併の登記の添付情報欄

イ 当該分割後,区分後又は合併後の建物図面及び各階平面図

ロ 共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物について建物の分割の登記又は建物の区分の登記を申請するときは,当該建物の所有者を証する情報

ハ 建物の区分の登記を申請する場合において,区分後の建物について敷地権が存するときは,次に掲げる情報(区分建物である建物について建物の区分の登記を申請するときは,(1)及び(3)を除く。)

 (1) 敷地権の目的である土地が区分所有法第五条第一項の規定により建物の敷地となった土地であるときは,同項の規約を設定したことを証する情報

 (2) 敷地権が区分所有法第二十二条第二項ただし書の規約で定められている割合によるものであるときは,当該規約を設定したことを証する情報

 (3) 敷地権の目的である土地が他の登記所の管轄区域内にあるときは,当該土地の登記事項証明書

もしも,分離処分可能規約が区分の登記の申請における添付情報となるなら,上記第十六の項に添付情報として示されるはずです。



分筆の登記の場合と比較して下さい。不動産登記令に規定が無いので,合筆の登記の申請をする場合には地積測量図は添付情報にはなりません。

表題登記の場合と比較して下さい。不動産登記令に規定が無いので,区分の登記の申請をする場合には分離処分可能規約は添付情報にはなりません。



私は,このような説明しかできないし,受験生も,この規定の差異で添付情報であるか否かを確認し,受験勉強をしています



それが,問題作成者のご都合で,不動産登記令に規定が無くても,区分の登記の申請をする場合には分離処分可能規約は添付情報になります。と訳のわからないことを言われたら,「不動産登記令の規定って何なんだ?」ということになり,不動産登記制度に関する規定は無視され,問題作成者とフィーリングが合う者だけが合格することになるでしょう。

このようなことがまかり通れば,自然と受験する者は減り,調査士となる者がいなくなり,調査士の資格は測量士との統合,行政書士との統合といったことにつながっていくと思います。