今回は棋聖戦二次予選、深浦康市九段対佐藤天彦名人の対局を紹介します
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戦型は角換わりに

最近の流行は▲48金・29飛型で、両者共にこの形になりました


前例で△54歩とした将棋がありますが、
玉が4二にいたままだと▲97角のような手が気になります

そこで先に玉形を整えたのが佐藤名人の修正手順でした


先手が2筋の歩交換をしてきたところで端攻めを敢行

▲23歩には△31銀で耐えてるとみたギリギリの攻めです


後手が△97歩と垂らしたところで▲29飛と引きました

ここでは△59角の狙いを消す意味で▲68玉も有力でしたが、「早いと感じた」との深浦九段の感想が残っています


お互い角を好位置に据え、一触即発の局面

本譜は▲35歩△同角▲93角成とし、△53角と戻る手が冷静でいい勝負

代えて▲45桂とし、△44角となってから▲93角成も考えられたところです


ただ、本譜も桂交換となり、▲64桂と急所に打ち込んで△41玉と対応したところ

ここで▲56馬としたのが地味ながら好手
△32玉と上がる手を牽制しています

そして満を持しての▲68玉
左辺に攻め駒が集中しているので遠ざかっておきたいのです

△86歩▲同歩△同飛
には銀を引くしかなかそうですが…


▲77金が強手!

△88飛成には▲78馬として9筋の駒を取り込んでしまおうということです

実戦は
△84飛▲86歩△87歩▲85歩
として下図


1人時間差で飛車にアテました

歩を垂らしたことにより飛車先が重くなったとみているのです


△92桂には▲72桂成が筋なのでしょうが、精算してスッキリされるのを嫌いました

本譜は▲96歩とし、
△84桂▲86香△83歩▲84香
△同歩
では下図


ここで
5五桂!
と歩頭に桂を打ちました


△同歩▲同馬は必然の手で、その際に▲11馬と▲54桂の両狙いを楽しみにしています


△78銀の王手に▲58玉と逃げたところ
▲56玉は
△64角▲同歩△54銀▲同馬
△51飛
と攻められて恐いです

本譜のほうが後手は応手が悩ましく、ここで佐藤名人は誤りました

△36桂と金取りに打ちましたが、▲37金とされて攻めは空振り
代えて△35桂または△54銀▲同馬の交換を入れてから△35桂とし、玉の逃げ場所を制限すればまだ難しかったと思います


△53銀!と香の頭に銀を上がったのが迫力ある勝負手でしたが、
▲74馬△32玉▲53香成△同金
▲24銀
が冷静な対応で、大勢は決しました


151手まで深浦九段の勝ち

両者の受けの強さが光った一局でありながらも、▲77金、▲55桂といった面白い手が続出し、見所満載の将棋でした


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