浜松市美術館(マリー・ローランサン展) | れぽれろのブログ

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7月29日の水曜日、浜松に遊びに行ってきました。
浜松は今年4月に一度訪れていますが、このときにお会いしたお友達と
仲良しになり、今回またそのお友達に会いに浜松を訪れることになりました。

4月に浜松に訪問した際は、アクトシティや楽器博物館を廻りましたが、
今回はやはり美術館を訪れたいなということで、浜松市美術館に行ってきました。

新幹線「ひかり」に乗りお昼過ぎにJR浜松駅に到着。
お友達とお昼ご飯を食べた後、浜松市美術館へ。
浜松駅から北に歩いておよそ20分。
浜松城のある公園の敷地内に浜松市美術館はありました。

外観はこんな感じ。

浜松18


浜松市美術館は静岡県内での初の公立美術館とのことで、
昨年訪れた静岡県立美術館よりも歴史は古いのだそうです。
展示スペースはそんなに大きくはなく、
地方都市のこじんまりとした美術館といった感じ。
浜松市美術館はガラス絵を多く所蔵していることで有名なのでだそうですが、
展示スペースの制約からか、この日は常設展示は行われていませんでした。

今回訪れた際の特別展は「マリー・ローランサン展~愛らしさを求め続けて~」と
題された展示でした。
ローランサンはエコール・ド・パリの代表的な作家さんで、
日本でも人気のある画家。
平日ということもあってか館内は空いており、じっくり鑑賞することができました。
館内には小学生が多く、みんなメモを片手に鑑賞していました。
夏休みの宿題なのかな・・・?
ローランサンを鑑賞して感想を書くなんて、素晴らしい宿題ですね。

ということで、以下展示の覚書と感想など。


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マリー・ローランサンは20世紀前半に活躍したフランスの女性画家。
いわゆるエコール・ド・パリの画家で、1883年に生まれ1956年に亡くなっています。
独特の白い肌を持つ女性の人物画に、やや淡めの色彩(ピンク、緑、青、黄色)を
施した、ある種の幻想的な印象の作品が有名だと思います。
ローランサンがこのスタイルを確立していくのは1910年代から20年代にかけて。
この展覧会は一部を除きほぼ年代別に作品が並べられ、
独自のスタイルを確立するまでの模索時期と、
そのスタイル確立以降の30年代の変化についても確認することができ、
非常に興味深く鑑賞することができました。

初期は同時代の潮流の影響からかキュビスム風の作品が多く、
シンプルな線を組み合わせた作品が多いです。
人物は肌色で彩色されており、後の白色の肌はまだ登場しません。
目鼻や眉毛もしっかりと描かれています。
ピカソと親交があったらしく、ピカソの肖像を描いた作品も展示されていました。
この時期の印象的な作品は「詩人の家族」と題された作品。
人物の身体のライン・顔・手が形作る円形が組み合わさったリズムが心地よく、
面白い作品です。

1910年代に入ると、初期作品の傾向は残しつつも後のスタイルに
近づいてきます。
肌が白くなり、目はしっかりと描かれずほぼ黒目のみ。
カラフルかつ淡い色彩が施されるようになり、とくにピンクと緑の彩色が印象的。
このころは輪郭線が太く、作品によっては絵筆の勢いがかなり強い
輪郭線もあります。
キュビスムの影響が残っており、複数の視点から顔を描いたような作品も
残っていますが、全体的には後のローランサンのオリジナルのスタイルに
かなり近づいてきています。

1914年に第1次世界大戦が勃発。
ローランサンはこの時期にドイツ人の男性と結婚していたため、
大戦の勃発とともにスペインに亡命します。
この時期の「鏡を持つ裸婦」の黒髪の女性など、
何だかゴヤの描いた「マハ」のようにもみえ、非常に興味深いです。

10年代後半からは、身体の輪郭線がほぼ消失、鼻と眉毛も描かれなくなり、
ローランサン独自の幻想的なスタイルが確立します。
ピンク・緑・青・黄色などの淡めの色彩を施した画面の中の白肌の女性の
可愛らしさ。
動物が登場する作品も多く、犬が描かれている作品が多いですが、
犬以外にも、猫・馬・鳥なども登場します。
この動物たちがまた何とも愛らしく、魅力的です。
20年代になるとローランサンは夫と別れ、その後、このオリジナルスタイルの
魅力から、たちまち人気の高い画家になったのだそうです。
会場のキャプションによると、ローランサンのこの時期の絵画は
18世紀のロココ的な愛らしい女性を描いた作品の延長上にあるとも
考えることもできるのだそうです。
確かにこの愛らしさはロココ期の女性画に近いものがありますが、
ロココ期との違いは、女性が女性を描いているということ、
そして何よりもキュビスムなどの時代の潮流を経由した作品であることが
ローランサンの面白い部分なのだと思います。

30年代になると再び作風が変わります。
白い肌や淡い彩色はそのままですが、平面的だった身体が立体的になり、
顔からは鼻が復活、
幻想的な雰囲気から、やや古典的な人物画に移行していきます。
男性の肖像画も登場しますが、やはりこの時期においても魅力的なのは
女性画です。
全体的に柔らかな優しさに満ちた印象の作品が多く、作品によっては何やら
日本の菩薩像のような慈愛が感じられる作品もあり、面白いです。
ローランサンは晩年に至るまで制作を続け、
1956年に亡くならられたとのことです。

今回の展示はマリー・ローランサン美術館に所蔵されている作品が中心でした。
この美術館、てっきり海外にあるのだと思っていましたが、
帰宅後、あとで調べてみるとなんと長野県にあるのだそうです。
さすがは日本一の美術館数を誇る長野県!
残念ながら現在この美術館は閉館となっているようですが、
国内でこのレベルのローランサンの一連の作品を所蔵しているとは、
何ともすごいことですね。

ということで、楽しく鑑賞することができました。
ローランサンの面白さを再確認するとともに、
長野県の面白さも間接的に(?)再確認できました。
こうなるとやはり長野県の美術館を訪れないわけにはいきませんね。


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<おまけ>

・浜松城

浜松20

浜松市美術館のある公園には、浜松城もあります。
次はこの中にも入ってみようかな・・・。


・出世大名 家康くん

浜松19

家康くんは浜松のゆるキャラです。
これは浜松駅前にある、家康くんをかたどった植物。
浜松の方は徳川家康が好きなのだそうです。
自分は豊臣方の本拠地である大阪出身ですので、
浜松とは敵対関係にありそうです(笑)。


・さわやかハンバーグ

浜松21

前回の浜松行に引き続き、またしてもレストラン「さわやか」にて
げんこつハンバーグを食べてきました。
このハンバーグはなかなかクセになる味で、何度でも食べてしまいそうです。
まるで女子のように(笑)料理の写真を撮影したのが上の画像。
爆弾のような大ハンバーグを2つに切り分け、
オニオンソースをかけたところの写真です。
前回自分はライスのセットを食べましたが、お友達の食べるパンが
おいしそうだったので、今回はパンのセットを購入。
このパンがまたもちもちして美味しかったです。


・まるたやの「あげ潮」

浜松22

前回に引き続き、お土産は「あげ潮」です。
前回は50g入りの小ぶりの袋でしたが、
このお菓子も美味しかったので、今回は180g入りの大袋で購入。
美味しく頂きました。
しかし、このサイズになると袋が何やら業務用的で、可愛げがありません(笑)。

↓ちなみに50g入りは以下の袋

浜松17



ということで、夜遅くまで浜松駅周辺をウロウロし、一泊して帰ってきました。

さわやか、杏林堂、谷島屋書店、ザザシティ、遠鉄百貨店など、
無駄に浜松の店舗にも詳しくなってきました(笑)。
なかなか住みやすそうな街ですし、また何度も訪れたいですね。
あと、浜松の横断歩道の歩行者用メロディは、
唱歌「ふじの山」が採用されていることにも気づきました。
さすが富士山の県、静岡県ですね。