なるたるのカテゴリーには収録されてないけど、日記に書いた通り、水嶋君が泣いた理由についてです。

正直、僕も最初彼が何故泣いているのかは分からなかった。

でもまぁね、これもしっかりとなるたるの描写を確認していけばわかります。

まず、水嶋君が泣いているシーンがこれ。






(『なるたる』12巻pp.7-11)

まぁ、見ればわかると思うのだけれど、唐突に泣き出す

一回読んだ程度だと、なんで泣いているのかがイマイチ分からない。

けれど、彼が泣いているのはなんでだろう、と思ってなるたるを読んでいけば案外わかる。

何故、なんで泣いているか分からないかと言えば、説明と描写不足。

ここで彼が泣いている理由は、「貝塚ひろ子が死んだことが分かって悲しいから」。

ふざけんな。

ということで、なるたるに描写されている内容を検証することにする。

水嶋君は最初、シイナのことが気になっていたのだけれど、酷い目にあっているひろ子を見て、庇護欲をかきたてられて好きとまでは言えないまでも、気になる存在になっている。

あんまりいい画像がなかったけれど以下がその描写。


(六巻 pp.30-31)


(六巻pp.38-39)

これを見ればわかるように、水嶋君は最初、シイナに気があった。

けれど、ひろ子があんまりに惨めなので、そののちにひろ子を守ると宣言する。





(六巻pp.94-103)

まぁなぁ。ミミズジュースとか比じゃないからなぁ。

ちなみに、実際にあった事件だと電球で、実際は蹴りいれて割ったらしいです。

良かった…鬼頭先生が思いついたわけじゃないんだね…

で、水嶋君はこの後に、


(六巻pp.110-113)

と言う風に、情にほだされてひろ子を守ると宣言をしたけれど、もう遅いと言われる。

実際、もう遅い。

下手な希望がひろ子をさらに追い詰める。

で、「鬼」が現れてひろ子を苛めたクラスメイトを虐殺して回るのだけれど、これは結局僕ら読者が竜の子の存在を知っているから、それを貝塚ひろ子と結び付けられるのであって、そうではない登場人物にとっては、巨体の男が小学生を虐殺して回ったという事件でしかない。

貝塚ひろ子が竜の子を使って、その復讐の為に殺して回ったという一枚の絵に組み立てることは出来ない。


(七巻p.5)

読者からしたら、ひろ子が復讐の為に殺しまくって、それを止めるためにホシ丸がひろ子を殺したという出来事だけれど、登場人物、要するに水嶋君にとっては、怪物が暴れまわって、それと同時期にひろ子が行方不明になったという別々の出来事があったに過ぎない。

だから、水嶋君は女の子に告白されても、「行方不明の」ひろ子のことを見捨てることが出来ずに、それを探し続けている。

と言っても、中学生に出来ることなんてほとんどないから、ひろ子のことを気にしながら日々を暮している程度だと思うけれど。

で、なんで冒頭の画像の様に急に泣き出したかと言えば、シイナがホシ丸と一緒にいたから。

水嶋君は、教室で鬼とホシ丸が戦うのを見ている。



(六巻pp.164-167)

ここで、ホシ丸がこの事件と何らかのかかわりがあるという事が、いや、その程度のことしか水嶋君は知ることが出来なかった。

この後、水嶋君が知ることが出来たのは、鬼が急に動かなくなったことと、ひろ子が行方不明になったことだけ。

それも別々の出来事としてしか認識しようがない。

だから、悲しいけれど水嶋君はひろ子を探し続けるんだけれど、その事が明らかになるエピソードがある。




(九巻pp.159-160,162)

要するに、水嶋君はひろ子を行方不明程度にしか考えていない。

そりゃあそうなんだけれど、読者にそれを分かれと言うのが酷。

で、その直後にシイナに、



(九巻pp.163-165)

てな事を言われる。

けれど、水嶋君にとってはただ意味深なことにしか聞こえない。

シイナが変なことになっているという事くらいしか分からない。

ひろ子についてシイナが何か知っているという事までは分かりようがない。

ちなみにだけれど、ここで言っている電話と言うのは、シイナがひろ子の首を絞めている時に鳴った電話のことです。

一応、水嶋君が電話を借りる描写あったりします。


(六巻pp.182-183)

どうでも良いけれど、鬼が普段乗っているバスのルートを辿っているのは、シイナと一緒に本木航空に行ったことがあるからです。

あれは鬼が本木航空へ行く伏線だったんですね。

そんなもん分かるか。

で、シイナは意味深な事を言って、ひろちゃんは帰ってこないとか言いますけれど、水嶋君にしたらなんのこっちゃなわけです。

けれど、シイナとホシ丸が、あの鬼と戦っていたよく分からない生き物が一緒に、それも使役しているところを目撃してしまう。


(九巻p.8)

この直前までは、水嶋君はシイナを同じように事件に巻き込まれているだけの一般人だと思っていたのだけれど、これを見たことによって、シイナがあの事件について密接に関わっていて、自分の知らないことも知っている事を痛感してしまう。

そして、シイナの言っていた「どんなに待っても ひろちゃんは帰ってこないよ」と言う言葉が憶測なんかじゃなくて、真実だという事を知ってしまう。

だから、ひろ子の死が悲しくて、

(12巻p.11)

泣いてしまうんです。

と言う風に、順番に見て行けば水嶋君が泣いている理由なんてわかるんだけれど、それを伝えようとする気持ちが足りない。

上の最期のページに、ひろ子のカットを一枚でも挟めば、誰も何も悩まずに済んだ問題でしかない。

鬼頭先生、いや、なるたるに読者に分かってもらおうという気持ちはない。

そして、僕以外にもなんで水嶋君が泣いているか分からない人はいるらしい。

検索ワードであったからね。

水嶋君についてはこれくらいです。

あとね、アキラが何をしたかったか書く予定だったけれど、別に彼女はセックスしたいだけなので、特に書くことはないです。

強いて言えば、セックスしたいけれど性格の問題でセックスできないから、それを変える力を竜の子に求めたって感じです。

・2015年8月18日追記
以下には色々書いてあったのですが、ちょっとサイトマップからこの記事に来ると意味が通り辛いので削除しました。

一番古い記事から順々に読めば、別に混乱はないと思うのですが、サイトマップからこの記事に来ると意味不明になりかねない事が書いてあったので修正します。

あと、ここで書いている推論は一つ大きな見落としがあって、全体としての流れは間違っていないんですが、水嶋君はホシマルの事を認知しています。

ここのコメント欄にある通りですね。

詳しくはここに書いてあります。