◼まずは初めましての方へ☆
『スサノオと瀬織津姫を巡る旅』。
※これまで掲載済みの話はこちら☆
1話目,『歴史の闇に葬られた女神』
2話目,『新たなる伝説の始まり』
3話目,『瀬織津姫が封印された時』
4話目,『瀬織津姫が愛した神』
5話目,『ニギハヤヒとは何者か?』
6話目,『瀬織津姫…が…現れた…?』
7話目,『瀬織津姫信仰の始まり』
8話目,『イワナガ姫の登場と新たなる謎』
9話目,『神話の裏側を見るということ』
10話目,『再開の音色が響く時』
11話目,『なぜ瀬織津姫を巡るのか?』
12話目,『バカなりに頑張るの巻』
※イラスト from 瑠璃の星☆ミさん
昨日の話で、
スサノオさんにバカさ加減を指摘された僕は、
『古事記成立の背景と、その意図を知ること』を
目的として、
改めての調べ直しを、
余儀なくされていた。
始まりが673年 天武天皇の時代から。
そして持統天皇、文武天皇を経て、
元明天皇の時代、
712年に完成。
これは有名な話。
『しかし、それが作られた意図は?』
そのようなことを考えながら、
改めて神話ではなく、
歴史の観点から、
『古事記』というものを見た時、
驚くべき発見があった。
…それを今ここで、
すぐにお話をしたい所ですが、
スサノオさんが出てきたため、
あ「もぉぉぉぉ…なんですか一体…。
ようやく調べ物も、
軌道に乗って来たというのに…」
ス「何が軌道に乗ってきたや。
楽しそうやな」
ス「そうや!『旅』やろがぃ!!
旅なら旅に出んかい!ドアホッ!!!!」
あ「いや!だから何回も言ってるじゃないっすか!!
夏の古事記を巡る旅と違って、
今の僕は瀬織津姫のことも、
ニギハヤヒさんのことも全然知らないの!!
なら、旅に出ようもないでしょうがっ!!」
ス「やかましい!!
この間も言うたけど、
そうやって閉じこもってるから、
『感じる力』が衰えるんやろがぃ!!
つべこべ言わんと、
外出ろ!!!」
…スサノオさんにまた無理やりそう言われて、
外に出たものの…。
さて、どこに向かおうか…?
時間は今、
午後の二時前。
今僕が『感じる』ままに、
行きたい所と言えば…?
…その時僕は、
無茶なことを考えた…。
…。
……。
………。
…………。
長野県は諏訪大社。
『封印されし強すぎた神』、
タケミナカタさんが鎮まる地。
なぜ今、
ここに行こうと思ったか?
それはやはり、
瀬織津姫さんとニギハヤヒさん。
封印された神さまのことを巡る以上、
同じく古事記の中で、
『タケミカヅチさんに敗北して、諏訪の地に逃げ込んだ神』という、
違ったレッテルを貼られたことによって、
今もまだ封印されている、
タケミナカタさんの言葉を聞きたかったからだ。
…しかし、
もちろん東京から諏訪大社までの道のりは決して、
近いものではなく、
その結果急いで準備して車で行っても、
諏訪大社に到着する頃には17時前になり、
もう日が傾きかかっていた。
僕はタケミナカタさんと直接話は、
出来なかった。
それはタケミナカタさんがまだ、
『封印されていた神』ということもあり、
そしてまだ僕自身もその固定概念から脱け出せていなかった。
要はタケミナカタさんという神さまに対しての、
『正しい理解』が出来ていなかったからこそ、
話が出来なかったように思っている。
改めてこの地に来て、
由緒書きを見たら、
このように記載されていた。
…そう、
タケミナカタさんは、
決してただ『敗北して逃げ込んだ神』ではなく、
見方は違えど、
この諏訪の地に於いて、
『日本国土の守護神』として、
祀られていた。
…ただ、
その存在をそのままにしておくと、
都合の悪い勢力がいた。
それが『古事記』という神話が、
作られたある種の意図だという…。
様々な思いを巡らせながら、
改めてタケミナカタさんの鎮まる、
本殿の前に立つ。
二礼二拍手一礼。
…そして、そこに…?
…。
……。
………。
…………。
『封印されし強すぎた神』、
そしてこの地に於ける日本国土の守護神、
タケミナカタさんが現れた。
ス「お前も、タケミナカタと話せるようになったか。
ちょっとはタケミナカタに対して、
『正しい理解』が出来たということやな」
あ「恐縮です…。
まだまだ理解が足りているとは、
思えませんが…」
タケミナカタ「スサノオさん、荒川さん…。
お久しぶりです…。
この夏以来…ですね」
あ「はい、お久しぶりです。
その節は大変、
お世話になりました」
タケミナカタ「お世話になったのは、こちらの方です…。
貴方とスサノオさんがこの地に来て、
感じたこと、
私の姿を、
ブログや本を通して、
多くの方に伝えてくださった。
それによって少しでも、
人々の私に対する思いが変わってくれた、
という事実があるのです…」
あ「本当ですか…。
な、何と言えばいいのか…」
ス「ほれ、
だからこそ夏の時と、
タケミナカタの見た目も変わっとるやろ。
『正しい理解』が進んだら、
お前の中の『感じる』フィルターも変わり、
映し出される神も変わるという良い例よ」
あ「本当に…光栄です…。
神さまに少しでも貢献できたなら…」
タケミナカタ「して…、今日はどうされました…?」
あ「この夏の旅の時と同じように、
今封印された伝説の女神と言われている、
『瀬織津姫』さんを巡る旅をしています。
その中でどうしても、
タケミナカタさんの言葉が聞きたくなって…。
不躾にすみません…」
タケミナカタ「瀬織津姫…ですか…」
あ「はい…」
タケミナカタ「もちろん私もよく存じ上げている神ですが…。
封印された経緯は、
恐らく私と同じようなものでしょう…。
その存在自体が、
当時の権力者たちによっての、
障壁となるという…」
あ「当時の権力者たちと言えば…、
天武天皇や持統天皇の時代…?」
タケミナカタ「えぇ…。
その当時の出来事や、
同時に歴史の裏側、
また調べることだけではわからない、
当時の人間たちの感情を『感じる』ことで、
自ずと見えてくることがあるでしょう…。
その上でスサノオさんも仰る通り、
決して頭で考えることではなく、
神事(かみごと)は『感じる』ことを、
大切になさった上で進まれてください」
あ「ありがとうございます…。
しっかりと調べて、
その上で旅に出て、
その場の空気や神さまたちの存在、
そこから訴えかけることやメッセージを、
感じる大切さを、
忘れないように致します…」
タケミナカタ「…そうですね…。
最後に私から一つだけ…」
あ「…?」
タケミナカタ「いつの時代も、
『封印をした、された』という話になると、
『封印をした』側の者が、
完全な悪として、
吊るしあげられます。
しかしそれを私は、荒川さんには、
してほしくない」
あ「…どういうこと…ですか?」
タケミナカタ「『封印をした者も、
一生懸命に生きていた』いうことです。
役割は違えど、
それぞれの思いと正義のもとに、
そして後の時代のために生きた、
痕跡があるということ。
尚更今この現代に於いて、
これだけ豊かで自由な時代が作られた。
その礎を築いた先人たちの足跡を、
否定するようなことだけはして頂きたくない。
例えその者たちがどんな存在であれ…」
あ「……はい…必ず……。
約束いたします…」
タケミナカタ「私はこの諏訪の地で愛され、
諏訪の地の人々によって、
大切に愛されてきた。
そこにこの地に来ることになった、
過去や経緯に対する、
怒りはございません。
すべての過去があって、
『今』があるのですから」
…。
……。
………。
…………。
『スサノオと瀬織津姫を巡る旅』。
本格的な旅に出る前に、
僕はここ、
諏訪の地に来る必要があった
それは、
これから知ること、
伝えることが
どんな形であれ、
『この時代を築き上げた、
先人たちの足跡を否定しない』
ということ。
そのことを胸に刻み込むために、
今日のこの時間が、
あったんだと思う。
様々な歴史の断片や、
その地の神や人の思いや感情を拾い上げながら、
旅はこれから新たなる未来へと、
進んでいく。
※イラスト from 瑠璃の星☆ミさん