今日が今年最後の更新になります!
今年一年ありがとうございます
超多忙の毎日で、例年通り年末年始も仕事で走りまわっております(笑)。楽しいことより、辛いことの方が多い年でしたが皆さんの声援やコメント、いいね!でどれほど勇気づけられたことか・・・大好きな映画と皆さんに感謝したいと思います。来年も「ワンダの映画三昧」をよろしくお願いします!
2016年最後のレビュー作品は前から決めております!
この映画の初見は70年代終わりごろ下町の名画座と記憶しています。そのあと88年にリバイバルで完全版を、さらに2008年ごろに新宿テアトルタイムズスクエアで、そして、最近BSで4Kレストア版を観ております!
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「アラビアのロレンス」
1962年/イギリス(227分)
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デビッド・リーン監督が、実在の人物トーマス・エドワード・ロレンスの率いたアラブ独立闘争を描いた歴史大作映画
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<監督>
デヴィッド・リーン
<キャスト>
ピーター・オトゥール/トーマス・エドワード・ロレンス
アレック・ギネス/ファイサル王子
アンソニー・クイン/アウダ・アブ・タイ
オマー・シャリフ/アリ
ジャック・ホーキンス/アレンビー将軍
アーサー・ケネディ/新聞記者
アンソニー・クエイル/ブライトン大佐
ホセ・フェラー/ベイ将軍
クロード・レインズ/ドライデレ顧問
「逢びき」「戦場にかける橋」などの巨匠デヴィッド・リーン監督の作品で、「冬のライオン」「チップス先生さようなら」「マーフィの戦い」「ラ・マンチャの男」などのピーター・オトゥール主演映画。周りの配役も名優揃いですが、個人的には断然オマー・シャリフです!
当初、ロレンス役にはマーロン・ブランドにオファーがあったそうですが「ラクダに乗れない」ので断られたという逸話もあります
デヴィッド・リーン監督の数ある名作の中でも集大成ともいうべき作品で、紛れもなく最高傑作!この年のアカデミー賞は監督賞、作品賞をはじめ7部門で受賞しています
砂漠とその民族を愛し、しかし、英国人であるがために挫折に追い込まれていく主人公ロレンスの苦悩を中心に、砂漠の一大スペクタルを展開し、「人間と自然」をテーマにした映像迫力は圧倒的です!
物語の舞台は1910年代の半ば、イギリス軍のエジプト基地に勤務するロレンス(ピーター・オトゥール)にある任務が下されたことから始まります
マッチの火を吹き消した後に現れたのは、砂漠に大きな太陽が昇る壮大なシーンでした!
盟友であり、良き理解者であるアリ(オマー・シャリフ)との出会いのシーンは圧巻です!延々と続く広大な砂漠・・地平線のはるか彼方の蜃気楼が、だんだん人影になるまでの長回しでの数分間の素晴らしいこと!
この映画を観る覚悟を問われているようなシーンです
監督、配役、脚本、音楽、映像など全てが凄い!
この映画がきっかけで映画ファン(個人でなく)になった人が多いと聞きますが、それも納得するほどの作品です
人間と自然、そして壮大な音楽
どっぷりと「アラビアのロレンス」の世界観に浸ってください。名優たちの在りし日の姿が、ストーリーに深みを与えます
白衣のロレンス(ピーター・オトゥール)と黒装束のアリ(オマー・シャリフ)との対比が鮮やかでいて面白いですね
砂漠が織り成す圧倒的な叙事詩です!
この映画には妥協がないです!
4時間近くの超大作!
夜となく昼となく表情を変える砂漠の美しさとスケールに圧倒され、どのシーンを切り取っても素晴らしいの一語です。最も美しい映画のひとつで、構図の美しさは群を抜いています。したがって。この映画は絶対に映画館で観るべきで、大画面で観るために計算しつくされています
あのスピルバーグが
「奇跡の映画だ!」と絶賛した作品です
主演ピーター・オトゥールの188センチの長身と緑青色の眼が印象的です
彼との初めての出会いの映画は、ヘプバーンとの「おしゃれ泥棒」だったか「ラ・マンチャの男」だったか思いだせません。この映画を含め、生涯8度のアカデミー主演男優賞にノミネートされていますが、残念ながら一度もオスカーを手にしておりません(2003年に名誉賞を贈られています)
砂漠の持つ美しさと残酷さ、純粋さと人間のエゴの醜さ
大掛かりな撮影だけでなく、人間ドラマとしても見ごたえがあります。前半の見せ場である、軍港アカバ攻略のため不可能といわれたネフドの砂漠横断目前でロレンスは、ある男を助けるために来た道を戻ります
「彼が死ぬのは運命だ」
「運命などないんだ!」
助けだして、ロレンスが皆に認められた瞬間でした
永遠に続く砂漠・・・
横長の大スクリーンに砂漠と青い空の絶妙なバランス
ラクダに乗ったロレンスの動くシーンの美しいこと!
今のCGにはない画面の力強さがあります
かなり以前、何かの雑誌で読んだことがありますが、当時の機材とあの環境の中でこの画像を撮れたのは奇跡といっていいそうです。何度も言いますが、この映画は絶対に映画館で観るべきです!
単純に画面の大きさだけの問題でなく、構図の美しさが際立っています
アカバの街へ左から右へ流れ込んでいくシーンは圧巻です!そして、灼熱の太陽と砂漠
壮大な砂漠の映像美とスケールは圧巻で、某映画通の言葉を借りれば「この映画を観ないうちには映画を語るな!」この言葉が少しもオーバーに感じられないほど、全てにおいて高いレベルの映画です!
昨年の12月にレビューさせていただいた「ベン・ハー」の中でも言わせていただきましたが、もう二度と作られないであろう映画の中の1本だと思います
美しくも哀しい歴史物語
アラビアの砂漠の過酷な旅とアリとの出会い
オスマン帝国からの独立闘争の手助けのための港湾都市アカバ陥落の指揮
列車爆破などのゲリラ作戦
指令部の命令によるダマスカス侵攻と挫折
もう少し歴史を知っていれば、また違った感動があったかもしれませんね
映画後半は暴力と狂気が強調されます!
観るのが少しつらくなります
「理想と現実」
ダマスカスの病院で殴られて狂気から目覚めます
戦いの中で美徳を見出しながら、戦う場所を失っていく無情さが刹那的です
62年の初公開から20年以上経た88年に、オリジナルより20分長い「完全版」が制作され、その後も何度かリバイバル上映されています
彼の銅像は、ロンドンのセントポール大聖堂(聖パウロ大聖堂)に建てられ、アラブの英雄と知己のある方々を多数招いて本葬が行われました
大聖堂の司祭/「あなたは、ロレンスさんとお知り合いですか?」
ブライトン大佐/「私の戦友です。並外れた人物でした」。
大聖堂の司祭/「しかし、この立派な大聖堂に、銅像を飾るに値する人物だったのでしょうか?」
この映画は、バイクで始まりバイクで終わります!
ラストは、車で追い抜くラクダの一隊に盟友アリ(オマー・シャリフ)を探したロレンスの寂しさ・・・さらに、ラクダを追う抜くロレンス、そのロレンスを追い抜くバイクの一団。それは新しい時代の幕開けの象徴なのでしょうか?
映画の中でも、あらゆるジャンルを超越した数少ない映画です!
大好きなアリ(オマー・シャリフ)の叫ぶ声が耳に残ります
「オレンス!(ロレンス)」
一度は観ておくべき映画の一本です!
砂漠の織り成す奇跡の映画を是非ご覧ください!
それでは皆さん、よい年を!
新年は元旦に「シネマDEクイズ」を予定しております