近代の戦闘車両―開発・設計・性能―
入手した
定価2800円のところ、およそ6倍の価格で・・・
ちなみに、原書は
DESIGN AND DEVELOPMENT OF FIGHTING VEHICLES
(直訳:戦闘車両の設計と開発)
これも少し前に入手していた。
以前から翻訳書である本書を手に入れたいとは思っていたのだが
やはりプレミアムな価格が付いてしまっていた
原書は比較的簡単に手に入った
定価の5倍ほどしたけどね
アメリカの出品者に日本語の住所で届くの?
と注文してから気づいたのだが
さすが「熱帯雨林」
ちゃんと届いた
もっとも一般日本人でも読めない変わった名字のために
翻訳?されたアルファベット表記は全く違う苗字だった
それでも届くわけである
さて、原書を翻訳した
「近代の戦闘車両―開発・設計・性能―」
翻訳者の林磐男(はやしいわお)氏は
昭和28年三菱重工に入社、戦車設計一筋の方で
相模原製作所副社長を経て本社特殊車両部長を務め
61式戦車から74式戦車までのほぼ全てにわたる
装甲戦闘車両の開発に関わった方である。
また、防衛大学校の非常勤講師も務めていると
本書の推薦の辞を書かれた
原乙未生氏が述べている。
そう、あの原乙未生(はらとみお)氏である
正直驚いた
試製1号戦車から名車九七式中戦車を開発した
日本戦車の父である
推薦の辞に書かれた氏の経歴(昭和57年当時)は
日本兵器工業会技術顧問
元防衛庁技術研究本部顧問
元陸軍中将
元第四陸軍技術研究所長兼相模原造兵廠局長
戦後も活躍されていたんだなと改めて思った
著者のオゴルキビッチ(本書では「オゴルキィウィツチ」表記)氏について
原氏は
”ロンドン大学理工学部の教授のかたわら、
戦闘車両の研究に携わるその方面の世界的な権威”
と紹介している
原氏とオゴルキビッチ氏は戦後筆友(今でいうメル友だな)
だったというが
オゴルキビッチ氏が来日した際に林氏の紹介で
両氏は10年の時を経て対面したそうである
原著で、オゴルキビッチ氏は
To the memory of my father(亡き父に捧げる)
と記述してある
林氏によるとオゴルキビッチ氏の父親は
在英ポーランド亡命軍の将校であり
彼がこの世界に入ったきっかけの一因であろうとしている
本題に入ろう
翻訳書である
近代の戦闘車両―開発・設計・性能―
であるが、原書に比べ読みやすくなっている
日本語だから当たり前だ!!
という事ではなく原書では図は文書と同じページにあるが
写真は全て巻末にまとめられているのだ
もちろん1967年という出版の時代的なものがあるのかもしれない
2月に書いた当ブログ戦車の操向装置(雑感)で紹介した
オゴルキビッチ氏著の「Technology of Tanks I -II」では
「近代の戦闘車両―開発・設計・性能―」をを真似したんかい
といったような構成になっているのが面白い
(もちろん真似したわけではなく『普通』になっただけだろう)
先のブログで
”ただ、パンター戦車の操向装置である「マルチプルギアードステアリング」の説明が間違っているような気がするのは気のせいなのだろうか?”
という疑問については解消できた
ただ、翻訳書についてはかなりの誤字脱字等があり
また、意訳などがあるので
読み解くのにはそれなりの知識がいる
やはり原書が無いと片手落ちになってしまう