さて。
ちょっと順番違ってしまったけど、本当は最初に書こうと思っていた話を。
ちなみにこの感想の間は、公式ジャンル「フィギュアスケート観戦」の方に戻ってます。
正直、この公演にあまり期待はしていなかったのである。
そりゃスケーターのラインナップは見事だけれど、人数が少ない。
羽生くんのファンではない私にとっては、トークが面白いかどうか分からないし。
ただ羽生選手という人が伊藤みどり並に(それ以上よ!という声が飛ぶのは重々承知)、フィギュアスケートの歴史に残る人物なのは間違いない。
また今現在の社会状況全般で考えても「観てみたい突出した人物」であることも間違いない。
つまり、まさに「羽生くんという有名人の『顔』を観に行こう」という気分でチケット購入したのだ。
だから前日の情報で「ジャンプはしていないけれど滑る」と聞いたときにはラッキー、という感じだった。
羽生選手というスケーターがどういう滑りをするのかが多少分かる。最初の狙いより、この時点で既におつりがくる感じである。
で、当日、ゆっくりと会場に向かう。
飛田給の桜並木は八重桜で、今が盛りだった。花びらが沢山風に舞っていて綺麗だった。
年に一度くらい通った場所だけど夏ばかりだった(一度だけ秋)ので、桜が八重桜だということも知らなかった。
「これ、会場に来たファンの方にとってはこの桜も思い出だろうな。」と思いながら歩く。
で、会場。こんな看板(?)があったので写真を撮る。

私と友人は割と遅くに会場に着いたので、グッズはガイドブック以外売り切れだった。
友人のお母さまが羽生くんにぴょん落ちしたとのことなので、友人はお土産にガイドブックを購入。
そして入場する。
鞄に入れていた上着を着て、使い捨ての座布団を取り出す。アイスショー観戦時のお供である。

子どもが春休みの間はアイスショーの準備まで気が回らず、この座布団の購入に動いたのは入学式が終わってから。
楽天の「あす楽」を選ばないと間に合わない?と思ったら、あす楽対応しているところがなんと底値。思い切って一度に四つ買ってしまった。二つは今回の私と友人の分、一つは夏のフレンズオンアイス用。もう一つは予備(クリスマスオンアイス、今年はあるのか?)。
しかし、パイプ椅子だったせいか終わる前からお尻が痛くなった。アリーナの場合、クッションになる座布団も必要かもしれない。
開演直前に流れたのは「SEIMEI」の音楽だった。
スケーターがいるわけでもないのに、皆さま手拍子。前日SNSで情報仕入れていたので、そうなるという話は聞いていた。
で、私も手拍子。別に周りに合わせたわけじゃない。ノレるのだ、この音楽。テレビで聞くより、和太鼓の音の魅力が伝わる。なるほど、競技会が興奮に包まれるわけである。
会場の音響のこととか私はよく分からない人なんだけど、多分いいんだろうなあ。これだけノレるんだから。
そして、始まった時間。
いい。皆さま、プログラムも演技もいい。さすが「金メダル獲得のお祝い」である。
客に見せたいと思うものを、ボンと的確に客に見せつける。余計なものがない。流石プロスケーターばかりである。
発展途上の物の未完成な魅力、そういうものなしに客を引っ張るのだ。
もちろん、この公演のメインは、羽生選手のトークである。いや、会場にいる人たちのお目当ては既に彼の滑りになっているけれど、元々の売りはそうだった。
しかし、それ抜きでも十分質が高くて楽しいのである。期待していなかった自分の迂闊さを恥じる。トップスケーターの力量というものを見誤っていた。最後の方には「ううーっ、これを羽生ファンしか見ないのは勿体ない…」とすら思ってたりしていたのだ。
それにしても、このショーの、きちんと筋が通った感じ。実にいい演出である。
「羽生選手のこれまでの物語を見せる」というテーマから前半はまったく外れることがなく進んでいく。
実際に観たアイスショー&テレビで観たアイスショー、どちらも、どこかサーカスっぽいというか、「眼を引いて驚かせればいいよな」という見世物的な感じがあるんだけど、それがない。
何が出てくるか分からないカオスな感じ、それも魅力があるのだけれど…。
今回の前半は実験的な物がない。特に、プルシェンコとジョニー・ウィアーの二人の演技は「羽生くんに影響を与えた、名プログラム」である。
そして川口・スミルノフ組のプログラムも、代表作だった。いや、私は詳しいことを知らないけれど、でも、そうとしか思えないドラマティックなプログラムで演技だった。
そして無良くんのは「オペラ座の怪人」。自分の集大成にしようとしたフリーである(もちろん、羽生くんとの縁が深い曲でもあるわけだけど)。
振付師の二人のプログラムも、おそらく「自分らしい」と思えるものを持ってきた感じである。冒険がなくて、鉄板で押してくる。
(あ、さすがに佐野稔さんの演技はちょっと違うけれど。でも、貴重なレアな演技である。生で観るとあれは興奮するのだ、実際。)
で、羽生くんのトーク時間は、その感じと違う部分を刺激してくるので(結構笑いも入れるし)、いいバランスなのである。
前半終了して製氷時間のとき、私が友人にずーっと喋ってたのは「このショーの演出、誰?どんな人?知りたい~」だった。
羽生くんに近いのはファンタジーオンアイスの真壁さんだということは知っている。しかしファンタジーオンアイスはむしろ、ビッグサーカスという感じのショーである。
あの組織、コンセプトに合わせて演出を自在に変えられるだけの人材がいるのか?
それとも今回は別の人達が関わっているのか?
音響もいい感じだし、照明もいい。お金がかかっているだろうことが想像できる。
これだけの物、羽生くんだけで作れるわけがない。私は彼の才能も、事を成すために必要な執念の強さも評価している。けれど、現役選手である以上、別の人間がメインで動かなければこれだけの物は無理だろう。
いくら怪我をして一月以上練習してなかったとしても拠点カナダなのだから、そうそう日本のスタッフを密に知ることは難しいだろうし。
なんて、そんなことをずっと思っていたのだ。
後半。今度は各スケーター達の「今」を感じさせる演技となる。これもまた、良かった。
そしてその後、いよいよメインの羽生くんが滑るわけだけど…。
今回の記事は、それ以前まで。羽生くんのことは羽生くんでまとめたい。
ちなみに、「Continues with~Wings~」の世界、何かに似ていると思っていて、後日思い出したのは「Ice Legends2016」だった。
名プログラムと、今のプログラム一つづつで品格高く。
で、その間に出演スケーターがコラボする作品が一つ入っていたわけだけれど、その部分が羽生くんのトーク(「選手としての物語」)と滑りになるわけである。
この公演ではフィナーレのその後に、もう一つ「メイントーク」が入ってたけど、まあそれは置いておこう。
とにかく、ショーを観ながら、私はとんでもないことを考えていたのだ。
川口・スミルノフ組の「しもしも~」という平野ノラの声(?)が入った楽しい演技を観ながら。
生で観たジョニー・ウィアーの「Creap」に惚れこんでしまって(テレビで観たときはそれほどでもなかったんだけど)、凄い、とスタンディングオベーションしながら。
このショーを楽しみながら。私、羽生くんのトークも面白く聞いた。ファンじゃなくてもそれなりに楽しめると思う。少し気になるところがあるし、そこが嫌いな人には無理だろうけど。
そうやって、しっかり充実した時間を過ごしながら、一方で、輔オタ以外、考えないようなことを考えていたのだ。
そう、ここから先は他のスケーターのファンには関係ないかもしれない。
私の頭の一部は思っていたのだ。
「大輔さん、これだけのショーに勝てるようなものを造らないといけないんだよね。大変だ。」
「誰のファンでもない私」を、楽しませ満足させたのである、このショーは。
大輔さんが「プロとしてやっていく」のなら、当然この水準以上を目指さなければいけないし、やってのけなければいけないのだ。
本当は「勝つ」必要はない。「匹敵」すればいい。ただ、「現状維持するには新しいことをしなければいけない。同じ事をしていたら下がっていく。」のである(ええと、誰だっけ。ミュージカルスターが大輔さんとの対談で言ってたよね)。
今のこれを「超える位」を目指して、はじめて「匹敵する」水準になるのではないだろうか。
そして…悔しいけれど、おそらく大輔さんは今の羽生くんほどスポンサーを集めることは出来ないと思う。資金や人材が潤沢に使えるわけではない状況でやっていくわけである。
とはいえ、悲観はまったくしていない。大輔さんならやれる、と、おそろしいくらい楽観的に信じていたりする。
ただ「大変だね。」と思っただけである。というか、これだけのハードルが出てきたのなら、それ以上のものにいつかなる、と期待してすらいるんだよね。
真央さんも新機軸のショーを打ち出している。今までの枠組みでは収まらない世界が生まれつつある。当然、やってくれるよね、と思ったのである。
もっとも、大輔さんはサーカス的な洗練されていないカオスも似合う人である。今までの枠組みを「生かす」のでも全然かまわないけれど。
ただ、いずれ何らかの形で「これ以上」に行こうとするはずなのだ。そして、やれない人だとは思わない。
今後が楽しみ、という話なのである。
(この最後の部分を大輔ファンに読んでもらいたくて、ハッシュタグ#高橋大輔も入れたりして)
ちょっと順番違ってしまったけど、本当は最初に書こうと思っていた話を。
ちなみにこの感想の間は、公式ジャンル「フィギュアスケート観戦」の方に戻ってます。
正直、この公演にあまり期待はしていなかったのである。
そりゃスケーターのラインナップは見事だけれど、人数が少ない。
羽生くんのファンではない私にとっては、トークが面白いかどうか分からないし。
ただ羽生選手という人が伊藤みどり並に(それ以上よ!という声が飛ぶのは重々承知)、フィギュアスケートの歴史に残る人物なのは間違いない。
また今現在の社会状況全般で考えても「観てみたい突出した人物」であることも間違いない。
つまり、まさに「羽生くんという有名人の『顔』を観に行こう」という気分でチケット購入したのだ。
だから前日の情報で「ジャンプはしていないけれど滑る」と聞いたときにはラッキー、という感じだった。
羽生選手というスケーターがどういう滑りをするのかが多少分かる。最初の狙いより、この時点で既におつりがくる感じである。
で、当日、ゆっくりと会場に向かう。
飛田給の桜並木は八重桜で、今が盛りだった。花びらが沢山風に舞っていて綺麗だった。
年に一度くらい通った場所だけど夏ばかりだった(一度だけ秋)ので、桜が八重桜だということも知らなかった。
「これ、会場に来たファンの方にとってはこの桜も思い出だろうな。」と思いながら歩く。
で、会場。こんな看板(?)があったので写真を撮る。

私と友人は割と遅くに会場に着いたので、グッズはガイドブック以外売り切れだった。
友人のお母さまが羽生くんにぴょん落ちしたとのことなので、友人はお土産にガイドブックを購入。
そして入場する。
鞄に入れていた上着を着て、使い捨ての座布団を取り出す。アイスショー観戦時のお供である。

子どもが春休みの間はアイスショーの準備まで気が回らず、この座布団の購入に動いたのは入学式が終わってから。
楽天の「あす楽」を選ばないと間に合わない?と思ったら、あす楽対応しているところがなんと底値。思い切って一度に四つ買ってしまった。二つは今回の私と友人の分、一つは夏のフレンズオンアイス用。もう一つは予備(クリスマスオンアイス、今年はあるのか?)。
しかし、パイプ椅子だったせいか終わる前からお尻が痛くなった。アリーナの場合、クッションになる座布団も必要かもしれない。
開演直前に流れたのは「SEIMEI」の音楽だった。
スケーターがいるわけでもないのに、皆さま手拍子。前日SNSで情報仕入れていたので、そうなるという話は聞いていた。
で、私も手拍子。別に周りに合わせたわけじゃない。ノレるのだ、この音楽。テレビで聞くより、和太鼓の音の魅力が伝わる。なるほど、競技会が興奮に包まれるわけである。
会場の音響のこととか私はよく分からない人なんだけど、多分いいんだろうなあ。これだけノレるんだから。
そして、始まった時間。
いい。皆さま、プログラムも演技もいい。さすが「金メダル獲得のお祝い」である。
客に見せたいと思うものを、ボンと的確に客に見せつける。余計なものがない。流石プロスケーターばかりである。
発展途上の物の未完成な魅力、そういうものなしに客を引っ張るのだ。
もちろん、この公演のメインは、羽生選手のトークである。いや、会場にいる人たちのお目当ては既に彼の滑りになっているけれど、元々の売りはそうだった。
しかし、それ抜きでも十分質が高くて楽しいのである。期待していなかった自分の迂闊さを恥じる。トップスケーターの力量というものを見誤っていた。最後の方には「ううーっ、これを羽生ファンしか見ないのは勿体ない…」とすら思ってたりしていたのだ。
それにしても、このショーの、きちんと筋が通った感じ。実にいい演出である。
「羽生選手のこれまでの物語を見せる」というテーマから前半はまったく外れることがなく進んでいく。
実際に観たアイスショー&テレビで観たアイスショー、どちらも、どこかサーカスっぽいというか、「眼を引いて驚かせればいいよな」という見世物的な感じがあるんだけど、それがない。
何が出てくるか分からないカオスな感じ、それも魅力があるのだけれど…。
今回の前半は実験的な物がない。特に、プルシェンコとジョニー・ウィアーの二人の演技は「羽生くんに影響を与えた、名プログラム」である。
そして川口・スミルノフ組のプログラムも、代表作だった。いや、私は詳しいことを知らないけれど、でも、そうとしか思えないドラマティックなプログラムで演技だった。
そして無良くんのは「オペラ座の怪人」。自分の集大成にしようとしたフリーである(もちろん、羽生くんとの縁が深い曲でもあるわけだけど)。
振付師の二人のプログラムも、おそらく「自分らしい」と思えるものを持ってきた感じである。冒険がなくて、鉄板で押してくる。
(あ、さすがに佐野稔さんの演技はちょっと違うけれど。でも、貴重なレアな演技である。生で観るとあれは興奮するのだ、実際。)
で、羽生くんのトーク時間は、その感じと違う部分を刺激してくるので(結構笑いも入れるし)、いいバランスなのである。
前半終了して製氷時間のとき、私が友人にずーっと喋ってたのは「このショーの演出、誰?どんな人?知りたい~」だった。
羽生くんに近いのはファンタジーオンアイスの真壁さんだということは知っている。しかしファンタジーオンアイスはむしろ、ビッグサーカスという感じのショーである。
あの組織、コンセプトに合わせて演出を自在に変えられるだけの人材がいるのか?
それとも今回は別の人達が関わっているのか?
音響もいい感じだし、照明もいい。お金がかかっているだろうことが想像できる。
これだけの物、羽生くんだけで作れるわけがない。私は彼の才能も、事を成すために必要な執念の強さも評価している。けれど、現役選手である以上、別の人間がメインで動かなければこれだけの物は無理だろう。
いくら怪我をして一月以上練習してなかったとしても拠点カナダなのだから、そうそう日本のスタッフを密に知ることは難しいだろうし。
なんて、そんなことをずっと思っていたのだ。
後半。今度は各スケーター達の「今」を感じさせる演技となる。これもまた、良かった。
そしてその後、いよいよメインの羽生くんが滑るわけだけど…。
今回の記事は、それ以前まで。羽生くんのことは羽生くんでまとめたい。
ちなみに、「Continues with~Wings~」の世界、何かに似ていると思っていて、後日思い出したのは「Ice Legends2016」だった。
名プログラムと、今のプログラム一つづつで品格高く。
で、その間に出演スケーターがコラボする作品が一つ入っていたわけだけれど、その部分が羽生くんのトーク(「選手としての物語」)と滑りになるわけである。
この公演ではフィナーレのその後に、もう一つ「メイントーク」が入ってたけど、まあそれは置いておこう。
とにかく、ショーを観ながら、私はとんでもないことを考えていたのだ。
川口・スミルノフ組の「しもしも~」という平野ノラの声(?)が入った楽しい演技を観ながら。
生で観たジョニー・ウィアーの「Creap」に惚れこんでしまって(テレビで観たときはそれほどでもなかったんだけど)、凄い、とスタンディングオベーションしながら。
このショーを楽しみながら。私、羽生くんのトークも面白く聞いた。ファンじゃなくてもそれなりに楽しめると思う。少し気になるところがあるし、そこが嫌いな人には無理だろうけど。
そうやって、しっかり充実した時間を過ごしながら、一方で、輔オタ以外、考えないようなことを考えていたのだ。
そう、ここから先は他のスケーターのファンには関係ないかもしれない。
私の頭の一部は思っていたのだ。
「大輔さん、これだけのショーに勝てるようなものを造らないといけないんだよね。大変だ。」
「誰のファンでもない私」を、楽しませ満足させたのである、このショーは。
大輔さんが「プロとしてやっていく」のなら、当然この水準以上を目指さなければいけないし、やってのけなければいけないのだ。
本当は「勝つ」必要はない。「匹敵」すればいい。ただ、「現状維持するには新しいことをしなければいけない。同じ事をしていたら下がっていく。」のである(ええと、誰だっけ。ミュージカルスターが大輔さんとの対談で言ってたよね)。
今のこれを「超える位」を目指して、はじめて「匹敵する」水準になるのではないだろうか。
そして…悔しいけれど、おそらく大輔さんは今の羽生くんほどスポンサーを集めることは出来ないと思う。資金や人材が潤沢に使えるわけではない状況でやっていくわけである。
とはいえ、悲観はまったくしていない。大輔さんならやれる、と、おそろしいくらい楽観的に信じていたりする。
ただ「大変だね。」と思っただけである。というか、これだけのハードルが出てきたのなら、それ以上のものにいつかなる、と期待してすらいるんだよね。
真央さんも新機軸のショーを打ち出している。今までの枠組みでは収まらない世界が生まれつつある。当然、やってくれるよね、と思ったのである。
もっとも、大輔さんはサーカス的な洗練されていないカオスも似合う人である。今までの枠組みを「生かす」のでも全然かまわないけれど。
ただ、いずれ何らかの形で「これ以上」に行こうとするはずなのだ。そして、やれない人だとは思わない。
今後が楽しみ、という話なのである。
(この最後の部分を大輔ファンに読んでもらいたくて、ハッシュタグ#高橋大輔も入れたりして)