毎日新聞9/20
【 奄美大島の山中で希少野生生物を襲うノネコ (野生化した猫)問題で、環境省は19日、ノ ネコを捕獲後、やむを得ない場合は安楽死させ る処分を含むノネコの管理計画を策定する方針 を明らかにした。計画は県、島内5市町村と連 名で、環境省は「早急に策定したい」としている】
やむを得ない場合とは捕獲したノネコの飼い主が見つからず維持管理ができない場合で、すべてのノネコが殺処分されるわけではないが、奄美大島にはノネコが推定で600~1,200匹、さらにノラネコが数千から1万匹以上いるとされ、捕獲トラップはノネコとノラネコを区別できない以上、相当数が殺処分対象になるのは明白ではないか。

南海日日新聞 9/12

地元の新聞のみならず鹿児島ローカルのテレビ局、さらには『世界猫歩き』を毎週放送しているNHKの全国ニュースまでもがノネコが絶滅危惧種であるアマミノクロウサギなどを襲う問題を取り上げているのには
ありとあらゆるマスコミを使ったノネコ悪のプロパガンダのようで気味が悪い。
こうしたニュースを目にしたあなたが「殺処分には抵抗あるけど絶滅危惧種を護るためにはやむを得ないのだろう」と考えるとしたら、それはまさに洗脳されていると言えるかもしれないのである。
アマミノクロウサギなどの稀少動物をノネコが捕食していることは事実だろうが、どのマスコミもどれほど深刻がクロウサギの頭数の減少を示す数字や消長グラフがまったく報じられないのである。
そしてマスコミの一次ソースになる環境省も2003年のアマミノクロウサギ推定生息数
奄美大島 2,000~4,800頭
徳之島 約200頭
以後毎年調査しているにもかかわらず、ネットも含め公開しているのを寡聞にして知らない。
つまりマスコミは被害の深刻度合いも分からずにノネコ問題を煽っているわけで、これは胡散臭いと云うより、データを意図的に報道しない理由があるように思えるのである。
環境省やマスコミはクロウサギの頭数についてデータを公開してない、しかし研究者は国際向けに配信している。
http://www.iucnredlist.org/details/16559/0
『IUCN REDLIST of Threatened Species
Pentalagus furnessi』
世界自然遺産を調査するユネスコの諮問機関 IUCNのサイトに2016年のアマミノクロウサギのデータが記載されている。
推定数
奄美大島 約5,000頭
徳之島 400頭
環境省のアマミノクロウサギ 保護増殖事業計画の目標では
『アマミノクロウサギは1990年代前半には奄美大島で2,600~6,200頭、徳之島で120~290頭生息してると推定されるが2003年には奄美大島で2,000~4,800頭、徳之島で約200頭 …(中略) 野生個体群の生息数回復を目的…」と記載されており、
奄美大島 環境省野生生物保護センターは今年1月には
【 これまでアマミノクロウサギが生息しなかった場所でも事故が発生し た。同センターは「マングースの防除が進んだことでクロウサギの数が回復していると思われ、
これまで見られなかった場所での出現や交通事故が懸念される」としている。】
(奄美新聞 1 /16)
データこそ示さないがクロウサギ頭数が回復していると思われるとコメントしている。
マングース駆除による稀少動物の増加については日本森林技術協会による目撃個体数調査や環境省によるクロウサギ糞塊調査(2013まで公開)からもうかがえる。


クロウサギ糞塊調査
さらに『ANIMAL INFO & ENDANGERED ANIMALS』
http://www.animalinfo.org/species/pentfurn.htm
にはマングースが導入された1980年のアマミノクロウサギ推定5,000頭とあり、これは2016年と変わらない。
すなわちノネコの影響は限定的と云う事実が地元マスコミらが公開しない理由なのではないか。
ノネコの殺処分を決めたのはIUCNの現地調査に入った10/12のわずか23日前であることから自然遺産登録を実現させるためのアピールパフォーマンスと見られてもしかたあるまい。
かつて環境保護啓発のため行われた全国植樹祭では担当自治体は予定会場の自然林を伐採、更地にすることに何の疑問もなく行われていたが、今回のノネコの人権侵害もよくそれに似ている感がある。
奇しくもIUCNが奄美大島入りした10月12日はアメリカのトランプ大統領がユネスコ脱退を表明した日でもある。
人間のご都合主義にノネコが翻弄されている。