■あらすじ
舞台は、銀河系の各惑星が銀河鉄道と呼ばれる宇宙空間を走る列車で結ばれた未来世界(テレビアニメ版では第1話冒頭のナレーションで西暦2221年と設定)。宇宙の多くの裕福な人々は機械の身体に魂を移し替えて機械化人となり永遠の生を謳歌していたが、貧しい人々は機械の身体を手に入れることができず、機械化人の迫害の対象にされていた。そんな中、機械化人に母親を殺された主人公の星野鉄郎が無料で機械の身体をくれるという星を目指し、謎の美女メーテルとともに銀河超特急999号に乗り込む。
(Wikipediaより抜粋)
文学好きならご存知かと思うが、この「銀河鉄道999」というタイトルは、宮沢賢治氏の「銀河鉄道の夜」と、モーリス・メーテルリンクの「青い鳥」がルーツ。だから、主人公の少年の名前が「星野鉄郎」で、ヒロインが「メーテル」というのもいかにもという感じがする。
現在放送されているアニメの多くは、原作である漫画やライトノベルが売れることによって実現したものだが、本作の場合は違う。作者の松本零士氏が壮大なSFアニメを創ろうとして企画されたものだ。しかし、勧善懲悪なヒーロー物が主流だった70年代において、この企画は実現に至らなかった。仕方なく、漫画として雑誌「少年キング」に連載された訳だ。
そのうち、同氏が制作に関わった「宇宙戦艦ヤマト」のブームが到来。
そのまま流れに乗って本作もアニメ化が実現した。
ただ、シナリオ的には本作「銀河鉄道999」の他に「宇宙海賊キャプテンハーロック」と「クイーン・エメラルダス」の計3本を1本のストーリーにするつもりだった。なので、999のシリーズには、時々ハーロックやエメラルダス、又はその脇役たちが登場する。
■銀河鉄道999
本作はTV版と映画版に大別されるが、ストーリーの土台とするところは同じである。
舞台は西暦2221年の地球を初め、それぞれの惑星群になる。
この時代に生きる人間は、貧富の差がますます激しくなる。
金持ちは機械の身体を購入してそこに自らの魂を宿し、永遠の命を手に入れる。疲れを知らず、餓死することもない。暑さ寒さに困ることもなく、いつでも快適に過ごすことが出来る。定期的に部品交換さえしていれば、半永久的に生きられる。いわば、彼ら機械化人にとって、この地球は天国のような世界である。
一方、貧しい者(主に生身の人間)は、機械化人たちに住む場所を奪われ、光の届かない場所に追いやられる。次第に痩せこけて食べるものすらもなくなってしまうのだ。しかし、そんな彼らの間で、ある伝説が囁かれる。その伝説とは、年に一度だけ地球に停車する銀河超特急999号に乗れば、機械の身体を無料でくれる星へ連れていってくれるという。
それが、彼らに残された唯一の希望だった。
しかし、999のパスを購入するには莫大な金額が必要だった。
そんな貧民のひとりである星野鉄郎は、父親を過労で亡くし、母親と二人で機械の身体を手に入れるために働いてお金を貯めようとメガロポリスへ向かっていた。
吹雪がふき荒れる夜、悲劇は起こる。
凍えそうになりながらも母親が鉄郎を連れて歩いている。そこに、馬に乗って人間狩りを楽しんでいる機械伯爵一味が現れる。必死で逃げる二人。しかし、母親は撃たれて死んでしまう。感傷に浸る暇もなく、一味が追ってくる。鉄郎はやむなく母親を置いて逃げる。
だが、身体が凍りついて鉄郎も吹雪の中に倒れる。
気がつけば、鉄郎は小屋の中で寝ていた。側には、喪服を着た金髪の美女が看病していた。彼女の名前はメーテル。事情を聞いた鉄郎はメガロポリスへと向かおうとするのだが「999のパスなら、あたしが上げてもいいわ」とメーテルはいう。
(映画版の場合は、メーテルがホテルの一室に運びこんで鉄郎を助ける)
そこには、「地球⇔アンドロメダ 経由(オリオン・プレアデス) 無期限」と書かれたパスが2枚ある。玩具を買ってもらった子供のように喜ぶ鉄郎。但し、それには条件があった。メーテルも一緒に乗車するということ。鉄郎は「何だそんなことか」と難なくOKを出す。
話の途中でメーテルの集音機から声が聞こえてきた。
どうやら、声の主は母親を殺した機械伯爵とその一味のようだった。
怒りがこみ上げてきた鉄郎は、母親の仇を討とうと銃を手に取る。
屋敷では機械伯爵とその一味が祝杯をあげていた。
鉄郎は有無も言わさずに銃で一味を皆殺しにする。
命乞いをする伯爵だったが、弱点の頭を銃で叩き潰す。
(映画版の場合は、惑星トレーダー分岐点の時間城まで行って仇を撃つ)
そして、屋敷を丸ごと焼き払った。
鉄郎は世界中から指名手配犯となり、地球には住めなくなる。
警察から執拗に追われる鉄郎。間一髪のところをメーテルに助けられる。
生き延びるには、999に乗るしかない。
発車時刻は午前零時。
999には、一度乗車すれば途中下車が出来ない。
かまうもんかと腹をくくる鉄郎。
二人を乗せた列車は、壮大なアンドロメダへと旅立って行く。
以降、映画版の場合は、アンドロメダへはあっという間に到着してサクサクと進む。
その完成度は他のSF作品を凌駕しているといっていい。
しかし、999本来の魅力を味わいたいのなら、やはりTV版をオススメする。
いわゆる「不細工な顔の鉄郎」が出てくるほうだ。
TV版の場合は、映画と違って、毎回指定された駅(惑星や衛星など)に停車し、そこでサブストーリーともいうべき人間ドラマ展開する。これがいい。
テーマはシビアなものが多く、時には面白く、また暖かく、悲劇もある。それを鉄郎やメーテルらの一方的な視点で映写されていないというところが、このアニメ最大の魅力だ。
だからこそ、多くのファンに支持され113話まで続いたのであろう。
詳しくは、こちらのサイト
「TV版「銀河鉄道999」停車駅案内」
を参照されたし。個人的には
第16話「蛍の街」
第56・57話「冷血帝国」
TVスペシャル3「君は母のように愛せるか!!」
が印象に残っている。
だから、あらゆるSFアニメにおいて、本作を超える作品を僕は知らない。
TVアニメ 銀河鉄道999(スリーナイン) 第1話 投稿者 uncleagent0022