『 黒い家 』(貴志祐介・著)読みました。 | ふと立ち止まる、空を見上げる、また歩き出す

ふと立ち止まる、空を見上げる、また歩き出す

その好奇心のおもむくままに、映画・スポーツ・音楽・本・お出かけ・日々の出来事などについて書き連ねます。よろしければお付き合いくださいませ。

2012022213320000 平成6年になるんでしょうか?第四回日本ホラー小説大賞受賞作です。以下、ネタばれなし[E:flair]。



 以前からその評判も聞いておりましたし、今回は特に本の帯にありました「あの『ミザリー』より数段怖い。(高橋克彦氏)」とう言葉に惹かれてこの本を手に取りました。映画「ミザリー」は本当に傑作で本当に怖いのですが、それ以上なんて・・・[E:wobbly]。期待に胸を膨らませ、読み始めましたよ[E:coldsweats01]。





 ・・・で、読み終わっての感想は、いや~、とにかく怖かったですわ~[E:wobbly]。途中、犯人が明らかになって、その犯人と主人公が「黒い家」で対峙するところなんかは、本当に怖かった。それから、ラスト近くの、ビルの中でのこれまた犯人と主人公との「対決」のシーンも・・・。ラストは、もっと後味の悪いものになるのかなあと思っておりましたが、それほどでもなく、ちょっと安心しました。いえ、決して「後味のよい終わり方」でもないのですけど、私自身としては「恐怖が後を引く」といったほどではなかった・・・というくらいの意味ですけど[E:sweat01]。





 本作品、お化けも妖怪も出てきません。生命保険の調査員が、いわゆる保険金詐欺のようなものを調査しているうちに少しずつ(この「少しずつ」が怖いですよね)事件に巻き込まれていくというお話です。でもね、映画「ミザリー」もそうなのですけど、なにが怖かったって、結局、どこにでもいそうな人間が豹変し襲い掛かってくるところが「恐怖」なのです。すぐ隣にある恐怖・誰にでも起こりうるかも知れない恐怖、とでも言えばよいのでしょうか。とにかく、世の中で一番怖いのは人間だ[E:sign03]という、ある種の真理を描いた作品であると思います。今までにも世間の高評価は聞いておりましたが、確かにこの作品、すごいです[E:wobbly]。





 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)





 追伸1:物語の主な舞台は京都の中心部。私は大学時代を京都で過ごし、京都に住んでおりましたので、舞台を頭に思い描きながら読むことができ、よりいっそうお話にのめり込むことができました。





 追伸2:物語の中に、重要登場人物である菰田幸子を生命保険に勧誘したかつての外交員が住む町として、大阪狭山市・南海高野線金剛駅が登場します。ここ、私が通っていた高校の近所で、私自身この駅に何度か降り立ったことがあります。知っている場所が出てきて妙にうれしかったといいますか、ちょっと親近感を抱いてしまいました。「駅前にはロータリーがあった。正面は緩やかな上り坂になっていて、両側には団地や建売住宅が立ち並んでいる。」と表記されていますが、たしかに、そんな感じだったかな~。また近々、行ってみたいと思います。





 追伸3:本作品、映画にもなっております。大竹しのぶさん主演ですって。これはいやがうえにも期待が高まります。でも、監督はあの名作「模倣犯」をトンデモ映画にした森田芳光さんなんですけどね[E:coldsweats01]。ついでに聞いた話によりますと、韓国版のほうがより怖いらしいですけど。