「どうして市販の電源ケーブルは依線なのですか?

ご存じでしたら教えて下さい。」


最近は何でも聞かれます。


調べてますよ。


真意はわかりませんが、法律的なもので、電源ケーブル単体での販売は、依線でないといけないようです。

この点はよく調べていません。


(その2に調べて示す。)


あとは、電線のメーカーの販売形態によるのではないでしょうか。


摩擦材の原料もそうなんですが、年間購入量が何100tという量でないと作ってくださらない原料もあります。


特に電線は大量に使う送電線がメインだと思います。


外に使われる送電線は、ほとんど依線のようです。



日刊工業新聞社の電線ケーブルの本によると、


高圧電流を運びますので、太い電線が必要ですが、

①太いもので均一な組織の電線を作るのは技術的に難しい。


②太いものだと、夏冬の温度差での伸び縮みの耐久性がないので、依線にして問題を解消する。


③遠くの距離に電気を流すときに電力が減衰しにくいように、元を高周波変換しておいてから各家庭の近くまで?流すので、高周波交流電流で発生する表皮効果が起きにくい細い線を束て使う必要性がある。


の3点のようです。


「表皮効果っていうのは、オーディオケーブルでも起きるのですよね?」


起きません、それは誤報あるいは無知識だと思います。


以前の日記に"電磁気学を学ぼう"のところで詳しく記載してあります。


表皮効果という現象は、主に高周波の交流電流または高周波の電磁波に対して発生する現象と理解されていて、物理学のマックスウェル方程式で導かれています。


理系の大学で習うことなので、真面目に勉強した方なら聞いたことくらいはあると思います。


ですので、オーディオの50-60Hzという低周波の交流電流や、接続ケーブルの20-20kHz程度の周波数の電気信号で起きることはありません。


GHzあたりで起こる物理現象ですよ。


「そうなのですね?」


はい、この日刊工業新聞社の電線ケーブルの本にも解説があります。






初心者向けの本ですが、ちゃんと高周波なんたらと解説してありますね。


それとも周波数1GHzの電磁波を聴くことが出来るならば超人かコウモリ。


それに発行元も、信頼の於けるものかどうかを考える上で大事です。


個人出版になるほど誤りや偽りに社会的責任はないですから。


「中々、厳しいご意見をありがとうございます。何か論文のような記事をみたことがあるのですが。

あとオーディオマニアの方とか。」


J-stageで検索して出てきますか?


または、どこの学会から発行されていますか?


「そういったものではなかったかと。」


論文は学会から出るものですから、そうでなければ個人的見解であって、誰にも認められていないものですよ。


そういうことを言われないよう、私も以前、日本音響学会に所属して横浜桐蔭大学で年次発表会でインシュレーターの技術論文発表しましたので、国会図書館に行けば、論文本文があるはずです。


あと、オーディオマニアやオーディオ評論家もそうですが、理系なのかバックグラウンドによりますよね、専門家ではないので。


私は大学の同級生で藤倉電線に勤めている友人がいますので。


「なるほど、怪しいものは気をつけなければいけませんね、しかし色々とご存じで。」


いや、理系の常識ですし、わからないことは正規のルートで調べますね。


「そのマックスウェルの方程式ってのは、ケーブルメーカーの技術者に聞けばわかるのでしょうね。」


わかると思いますよ、メーカーさんは専門家なのですから、私と違って。


もう一度簡単な日本語で解説しますね。


交流電流は行ったり来たりしますよね。


高周波になるほど、誘導電場が進行方向の真ん中の電流を、反対方向から来た電流が打ち消そうとするんです。


つまり、中抜きになる。


直流は一方向に電流を流しますから、打ち消す反対方向の電流はないですよね。


それに依線といっても、オーディオのように0.4mmφみたいな極細線を何千本も束ねるわけではないでしょうし、常識的に。


そんな細い線、外なら一発で錆て切れてしまうでしょうから。


被覆材に使われるプラスチックって、顕微鏡で見ると意外に穴だらけなんです。


お菓子に賞味期限があるのは、微量の空気が行き来するからです。


続く。




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