昭和の妖怪・岸信介を特集している。
このブログでは、岸のCIAエージェント説について、具体的な情報をアップしたい。
岸信介がCIAのエージェントだったという驚くべきニュースの発端は、ティム・ワイナー氏の著書
「Legacy of Ashes The History of the CIA」
だった。
ティム・ワイナー氏はピューリッツァー賞の受賞経験もある、ニューヨーク・タイムズ紙に在籍するジャーナリストだ。
(ティム・ワイナー)
彼が20年以上もの歳月をかけながら、機密解除され一般公開された5万点にも及ぶ公文書や、CIAに関与した300人以上もの人物に直接インタビューするなどして編集した内容は、すべてが1次資料であり、紛れもなく1次情報であると本人が述べているのだ。
さらに、情報源となった人物はすべて実名で公表されるなど、近年出版されたCIA関連の書籍の中でも、この著作は群を抜いている。
日本では、この翻訳本が2008年11月に
「CIA秘録(上下巻)」
として文藝春秋より出版された。
CIA秘録:
その誕生から今日まで /ティムワイナー【著】,藤田博司,山田侑平,佐藤信行【訳】
また、この問題については当時、週刊文春が2007年10月4日号の中で
「岸信介はアメリカのエージェントだった!」と、国際スクープとして大きく取り上げている。
(週刊文春2007年10月4日号)
ティム・ワイナー氏の著作の、第12章に「自民党への秘密献金」として、岸信介とCIAの密約による不当な金の流れについて言及されている。
読めば分かるのだが、岸信介がやってきたことは完全に違法行為である。
ワイナー氏によれば、かつての日本には、CIAのエージェントとして暗躍した大物日本人が少なくとも二人存在するという。
一人は児玉誉士夫(こだま よしお)であり、そしてもう一人が岸信介なのだ。
児玉誉士夫は戦前から「建国会」なる右翼団体に籍をおき、「天皇直訴」や「斎藤実首相暗殺」を画策し、投獄の憂き目にあったりもしたが、戦時中は海軍や内務省のコネクションを最大限に活用し、中国闇市場のレアメタルの取引で財を成した。
当時のアメリカは、児玉ルートを通じて大量のタングステン(ミサイルを製造する際の必需品)を調達し、児玉誉士夫に多額の報酬を与えていた。
それでも児玉は、諜報部員としての才はあまりなかったようだ。
そこでCIAは、児玉誉士夫に縁の深い岸信介に焦点をあて、マッカーサーを説得し、岸をA級戦犯から除外することにより(戦時中は東条英機内閣で商工大臣を務めていたことから、A級戦犯として巣鴨拘置所に収監されていた)、岸をエージェントとして雇うことに成功したのだ。
その後の岸信介はCIAの闇金を背景に、政治家として日本の首相の座まで上りつめることになるのだ。
ティム・ワイナー『CIA秘録(上)』(文藝春秋):
岸は日本の外交政策をアメリカの望むものに変えていくことを約束した。アメリカは日本に軍事基地を維持し、日本にとっては微妙な問題である核兵器も日本国内に配備したいと考えていた。岸が見返りに求めたのは、アメリカからの政治的支援だった。
ティム・ワイナー『CIA秘録(上)』(文藝春秋)
岸信介がCIAエージェントになって獲得した「アメリカからの政治的支援」とは、「情報」そして「金」である。
岸信介は、日本政界の情報を提供する見返りとして、多額の政治工作資金をCIAから受け取っていた。
そして、CIAのエージェントと化した彼は安保条約を練り直し、新安保条約を制定することをアメリカに約束したのだ。
彼はマッカーサーの甥である、ダグラス・マッカーサー二世と交渉したという。
もしアメリカが岸の権力固めを支持してくれるなら、新安保条約を通過させ、左翼勢力の台頭も抑え込める、と語った。岸はCIAから内々で一連の支払いを受けとるより、永続的な財源による支援を希望した。マッカーサー大使の回想によると、岸は「もし日本が共産化するとアジアの他の国々が追随しないとは考えにくい」と語って、大使を納得させた。フォスター・ダレスもこれに同意した。ダレスは、日本には大きな賭け金を積まねばならないと主張し、岸はアメリカにとって最良の賭けだと言った。
ティム・ワイナー『CIA秘録(上)』(文藝春秋)
そのような経緯から1958年5月、アメリカ大統領アイゼンハワーは岸信介に資金援助することを決定。
これは言うまでもなく、海外から政治資金を受けることにおいて、当時の「政治資金規正法」にも抵触している。
そして、このことはアメリカCIAが主要な自民党員に継続的に資金援助をすることをも意味していた。
この資金援助が、その後の歴代大統領のもとで約15年もの間受け継がれ、日本での一党独裁体制を強化するための大きな推進力となっていたのだ。
岸信介に流れていた金は、実際どれほどの額だったか。
1回につき7千万から2億円に及んでいたことが分かっている。
当時の首相の給料が約25万円、国会議員は約13万円だったことから換算すれば、当時の1億円は現在の約10億円に相当するので、決して少ない額ではない。
ちなみに、これらの違法政治資金については、岸信介の弟である佐藤栄作もアメリカ側に援助を要請したことが分かっている。
これらの金は、主に選挙対策に投じられていたようだ。
岸信介はCIAのエージェントになることにより、自身の権力構造を確立した。
その本質は対米外交放棄であり、対米従属であり、さらには日本への核持ち込みの容認となって、現在まで脈々と受け継がれているのである。
岸信介はアメリカCIAと手を握った。
その結果として、岸は日本の情報を売り、アメリカに従属し、核持ち込みまで容認したのである。
その見返りは「金」と「権力」だった。
これだけの告発を受けている岸信介。
それを全く気にすることも無く、岸信介の孫というステイタスを振りかざして平成から令和にかけて長期政権を築いた安倍晋三。
次回は、安倍晋三の身辺を捜査して行きたい。
乞うご期待!