人類は、海に放り込まれて、深部体温を下げていった。
体温が1℃下がると、酵素分解能力が50%落ちる。物を食べても、栄養を摂取できないと言うことであ
る。人類は、生存の大ピンチに陥った。ピンチを回避できたのが、尻尾を退化させ、尾骨を身体の中に取り込んで、内尻尾化することであった。
内尻尾化は、尻尾が無くなった海生動物のアザラシ・アシカに見られる現象である。
尾骨というのは、背骨に連接しているだけに、血流が良い部位である。血流がよい尻尾を体内に取り組むことで、直腸をガードする、囲壁ができた。また、女性の卵巣も深部体温低下による、不妊の脅威から解放されることになる。
内尻尾化というのは、尻尾の退化と言うよりも進化と捉えることもできる。
(尾骨の湾曲が直腸を取り囲むように保護すると共に、女性の産道口を前に移動させた。チンパンジーは産道口が背骨に平行であるが人類は傾斜ついた)
内尻尾化による影響は以下の通りである。
① 内尻尾化により、直腸温度の低下を防止できるようになった。
血流の良い尻尾を体内に取り込み、尻尾の周りの血流を足を動かすことで、殿筋で熱を発生させ、直腸を寒冷から防止できるようになった。
二足歩行と水中で、お尻の穴を常に塞ぎ、直腸の冷えを防止できるようになった。
② 卵巣温度をある程度コントロールできるようになり、女性が、発情という本能の呪縛から逃れ、「性と生殖」の分離が進行していくようになる。
水陸往復行動の都度、女性の卵巣は温度の上下を繰り返し、その都度、発情をして対応しておれなくなった。動物の発情というのは、卵巣周辺の温度上昇が脳下垂体に感知されて起きると思われ、深部体温の上昇と脳下垂体の発情指令は一致している。動物のメスは発情によって排卵がわかり、交尾をする。水陸往復行動で深部体温と脳下垂体の連結が切れたことが、人類女性に、「性と生殖の分離」をもたらしていく。
人類女性は、内尻尾化によって深部体温をコントロールできるようになり、随意発情できるようになっていく。
③ 内尻尾化により、産道口が尾骨で押されて、前方に移動し、男女が正面で向き合って性行動をする正常位が可能になった。内尻尾化は海生動物特有の現象で、正常位は付随的に起きたものである。海水中の性行動であれば、「強姦」は起きない。水中では、行動の独立性が高く、男が幾ら力が強くても、他をコントロールすることはできない。
起きるのは陸上である。オスがマウントする後背位は、メスが、前方に位置さえずらしてしまえば強姦することは不可能である。だから、ほとんどの動物では強姦は起きない。正常位の場合、男性の体重を乗せることができるため強姦ができる。人類は、強姦が起きる旺盛な繁殖力を持つ動物になった。強姦は、現代的問題であると共に、進化上は、種の繁殖に関わってくる。
④ 産道口の前方移動により、背骨と産道口の平行性が失われた。産道口が背骨に傾斜を持つようになった。二足歩行で、妊娠した女性が、胎児の重みで、早産を起こす確率が減ってくる。しっかりと胎児に重量で子宮口を塞ぐことができるようになった。
早産を起こさず10ヶ月の妊娠期間に耐えられる構造になった。
チンパンジー型頭脳発達メカニズムからは、妊娠期間が8ヶ月から10ヶ月に延びたことは大変な頭脳発達であるが、女性に、とんでもない、難産をもたらした。
霊長類には、尻尾がないが、人類の尻尾は退化でなく、内尻尾化という新たな機能が要求された進化である。チンパンジー・ボノボ・ゴリラ・オランウータンの尻尾が、どのような形で無くなっているかが、それら動物の進化上の問題である。ボノボとゴリラは内尻尾化しているのではないかと想像している。
(人類の進化理論の解明で手一杯でチンパンジーなどにそれ以上は関与する余裕がないのが残念)
シーシャトル理論というのは、これまで、人類史学者が適当に歴史学説を唱えていたのを、歴史学説と進化理論を分離させて捉え、進化理論は、現代人の成長プログラムと行動から組み立て、進化の連鎖性を検討して、進化プロセスの解明に至ったものである。
人類学者が「人類史は謎に満ちている」と表現しているのは、進化理論という背景が無くて歴史学説を論じているからである。
人類の進化理論は、進化の連鎖性の解明がメインとなる。
尻尾の退化(進化)は、栄養摂取機能、発情機能、繁殖機能、頭脳発達に連鎖している。
進化の相関性を提示できなければ、進化理論としてはなり立たない。
性と生殖の分離・・・女性が、生殖以外の目的で性行動が可能になった進化をいう